マカロニえんぴつを強くする確信と余裕 ライブの醍醐味詰め込んだ『マカロックツアーvol.16』

 おふざけギリギリのユーモアを思い切り発揮した後、ライブは後半へ。EDMのテイストを取り入れた「ネクタリン」、〈大人の涙だぜ。〉という歌詞が会場全体に響いた「だれもわるくない」、心地よい疾走感に貫かれた「はしりがき」、「懐かしいやつやります!」(はっとり)とコールされた「メイビーネイビー」(2016年に会場限定盤で発売/2017年のミニアルバム『s.i.n』収録)、メロディックパンク直系のアッパーチューン「Frozen My Love」(人型のバルーンが客席に投下され、似非モッシュが繰り広げられました)。さらにライブアンセム「洗濯機と君とラヂオ」で爆発的な盛り上がりを生み出し、〈意味がないな 君が居ないと〉という歌詞が広がる「星が泳ぐ」でエモーショナルの度合いをグッと引き上げてみせた。

「ロックバンドはここに立って、そっちに向かって届けているわけじゃない。あなたと一緒に感じて、傷ついて、そのたびに考えて。一緒に歌いたい生き物なんだ。そういう意味では、そっちのほうがロックバンドかもしれない。カッコいいロックバンドになってきたな、お互い」「あなたが拾い上げたマカロニえんぴつという音楽でした。どうもありがとう」

 そんな言葉とともに放たれた本編のラストは、「悲しみはバスに乗って」。はっとりの死生観、人生観を色濃く反映しながら、悲しみを背負って生きる覚悟を歌ったこの曲は、アルバム『大人の涙』の核であり、まちがいなく今回のツアーのハイライトだった。

 アンコールでは「ヤングアダルト」「ミスター・ブルースカイ」を続けて演奏し、ライブはエンディングを迎えた。演奏時間はジャスト2時間。アルバム『大人の涙』と既存の代表曲、レア曲を巧みに組み合わせたセットリストも良かったが、何よりも心に残ったのは、はっとりをはじめとするメンバー全員の自信。ロックバンドらしい緊張感とダイナミズムを増強させつつも、“自分たちの音楽を真っ直ぐに届ければ、それでいい”と言わんばかりの確信と余裕がステージからはっきりと伝わってきたのだ。多くの試行錯誤と挫折を体験しながら、マカロニえんぴつはさらにスケールを上げている。そのことを強く実感できたライブだった。

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