モーニング娘。'23 譜久村聖卒業を見送るファンの声援 互いの絆を確かめた横浜アリーナ公演

 11月29日、横浜アリーナで開催された『モーニング娘。'23 コンサートツアー秋「Neverending Shine Show ~聖域~」譜久村聖 卒業スペシャル』で譜久村聖は研修期間を合わせて15年にわたるアイドル人生に幕を閉じた。25年の歴史を持つグループの中で、譜久村は同期の生田衣梨奈と共に12年の月日をモーニング娘。に捧げ、9年もの間リーダーとしてグループの顔を務めてきた。この12年間の間にリリースされたモーニング娘。の楽曲は常に譜久村の歌声と共にあったと言っても過言ではない。これまで実に多くのメンバーの卒業を見送ってきたモーニング娘。だが、その中でも彼女の卒業は大きな意味を持つだろう。そうして迎えた2DAYSの横浜アリーナ公演は、卒業を迎えた譜久村の存在と、そんな譜久村を支えるメンバー、ファンとの支え合う強い絆を感じられる公演となった。

 オープニング映像が流れるとモーニング娘。'23のメンバーが一同に登場。譜久村を先頭にした形のV字のフォーメーションを取る姿は、譜久村リーダー体制を象徴するような形で、もう何度も見てきた隊形ではあるが、この形のグループを見るのもこれが最後となる。一曲目に披露されたのは「Wake-up Call~目覚めるとき~」。これまでのグループの歴史を散りばめたような歌詞は、その歴史の半分近くを過ごしてきたメンバーがいるからこそ強い説得力が生まれる。

 VTRでメンバーの紹介とソロダンスを挟む中で一瞬ピアノの旋律が聞こえ、ジャジーな雰囲気を感じさせながら「セクシーキャットの演説」へと繋がる。リリース時は譜久村、小田さくらと共に猫の衣装で披露していた今作。工藤卒業後は横山玲奈が引き継ぎ、気まぐれな猫とそれに振り回される人々の世界観を見事に披露していた。「気まぐれプリンセス (23 Ver.)」、「What is LOVE? ((23 ver.)」、「恋愛Destiny~本音を論じたい~」とライブの定番曲ではいつも以上に熱く客席を煽り、ホットピンクに染まった横浜アリーナを盛大に盛り上げる。特に大きな歓声が上がったのは本公演からの追加曲、「Only you」。譜久村、生田にとっては2枚目のシングル楽曲で、北川莉央、岡村ほまれ、山﨑愛生ら15期にとってはオーディションの課題曲でもある大切な曲だ。

 MCでは小田が挨拶。客席に向かって「譜久村さんのことが好きですかー?」と問いかけ、ファンは全力で応えた。それに対し譜久村は「卒業する実感が全くなくてアセアセしていましたが……」と独特の表現で心境を語り、「いつも通りの私たちでいい公演を作っていければ」と冷静に意気込みを伝えた。

 続けてストリングの音色が響く「時空を超え 宇宙を超え」をしっとりと披露。このグループが持つ明るいだけではない、どこか切なさを感じるような曲もいつもより広い横浜アリーナという会場だとより鮮明な色を持つように感じる。一方「元気ピカッピカッ!」「なんざんしょ そうざんしょ」「グルグルJUMP」といった楽曲で横浜アリーナを縦横無尽に駆け回るような楽曲もあり、膨大な楽曲を持つグループだからこその幅の広さを感じる。

 MCのコーナーでは櫻井梨央が中心となり、牧野真莉愛、井上春華、弓桁朱琴と共に譜久村との思い出を振り返った。弓桁はラジオ収録で緊張していたら譜久村から梅をもらったエピソードを披露し、何気ない優しさが嬉しかったと話した。井上は髪型をお揃いにしようと誘われ、譜久村にヘアセットをしてもらったと思い出を語った。そんな2人と比べて長い時を共に過ごした牧野は加入してすぐの頃に「いっぱい迷惑かけてたくさん成長してね」という言葉が嬉しかったと話し、その時のような気持ちで現在は新メンバーを迎えるようにしていると話した。櫻井は譜久村が楽屋にスマホを置いて充電器だけを持って帰ろうとしたところを目撃したと話し、会場に笑いを届けた。

 続けて披露されたのはユニットのコーナー。今年5月に加入したばかりの17期の井上・弓桁が新メンバーの定番曲「好きな先輩」を元気に披露。歴代メンバーは加入してすぐ、この楽曲を初々しく披露することが定番となっているが、先程まで先輩メンバーに負けない堂々としたパフォーマンスを披露してきた2人も、新メンバーらしくフレッシュな姿を披露した。「Moonlight night ~月夜の晩だよ~」では牧野、北川、山﨑、櫻井がパフォーマンス。今日も気合い十分の牧野を中心に、もうパフォーマンスの核を担う存在になった北川・山﨑、2年前はまだステージに立ったことすらなかった櫻井によるこの楽曲は、モーニング娘。のこれからに期待が高まる。

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