いきものがかり 吉岡聖恵×三瓶由布子、「プリキュア」への想い 楽曲に感じたメッセージも語る

いきものがかり 吉岡聖恵×三瓶由布子対談

 いきものがかりが、プリキュア20周年記念ソングおよびTVアニメ『キボウノチカラ〜オトナプリキュア’23~』オープニングテーマとして「ときめき」、『映画プリキュアオールスターズ F』主題歌として「うれしくて」を書き下ろした。前回の水野良樹とプロデューサーの鷲尾天へのインタビューに続き、今回は吉岡聖恵と『キボウノチカラ〜オトナプリキュア’23~』で夢原のぞみ役を演じる声優・三瓶由布子による対談を届ける。声を仕事にする二人に、お互いへの印象や「プリキュア」への想い、「ときめき」「うれしくて」を聴いて感じたことなどを語り合ってもらった。(編集部)【インタビュー最後にプレゼント情報あり】

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「プリキュア」はいつの時代もみんなを熱狂させるキラキラした存在

ーー三瓶さんは、いきものがかりの楽曲に対して、どのような印象を持っていましたか?

三瓶由布子(以下、三瓶):人生で生きていたら当たり前のように聴く音楽というか。それこそ学生の応援歌とか、普通に学校で歌われている曲もあるし、テレビでもよく流れているので、身近にある曲の代表、みたいなイメージがあります。

 私がいきものがかりさんの曲を認識したのは「ブルーバード」(2008年/TVアニメ『NARUTO -ナルト- 疾風伝』OPテーマ)が最初なんですけど、アニメを観ていた当時、歌声と歌詞がストレートに入ってくるなと思っていたんです。ものすごく流行っていたし、人気の曲だったので、みんなカラオケで歌っていた記憶があります。

ーーということは、うずまきボルトを演じている三瓶さんにとって、『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』で、いきものがかりがOPテーマを歌っているというのは感慨深いですね。

三瓶:そうなんです! OPテーマで「BAKU」を歌ってくださっていて! スタッフの方から「次のOPはいきものがかりさんだよ」って聞いたときは「エモーい!!」って、現場でも盛り上がったりしていました(笑)。アニメのOPって特殊だと思うんですけど、歌があって、絵がつくと、それだけでものすごい力が生まれるんですよね。OPを観れば、そのアニメの内容が想像できたりもするし、作品の顔の一つでもあるので、曲の力ってすごいなって、いつも思います。「BAKU」は、私が知っているいきものがかりさんのイメージとも少し違っていて、カッコよくてテンポがいい曲でした。

ーー吉岡さんは、アニメや声優に対してどんなイメージを持っていましたか?

吉岡聖恵(以下、吉岡):小さい頃はアニメも観ていましたし、アニメの曲がやっぱりすごく好きで、その頃聴いていた歌で、今も歌えるものが結構あるんです。アニメと一緒にテーマ曲を覚えるのが普通だったから、大人になっても覚えているんですよね。そのくらいセットになっていました。

 声優さんというところでは、先ほど三瓶さんとラジオでお話したんですけど、みんなが好きなキャラクターの役に、毎回どうやって入っていくのかというのが気になっていて。プロ具合がすごいじゃないですか! みんなが好きなあの声に、どう辿り着くのかとか、コンディションはどうしているのかとかを考えると尊敬しますね。この前イベント(『Amazon Music Live』)に、キュアブラック/美墨なぎさ役の本名陽子さんとキュアスカイ/ソラ・ハレワタール役の関根明良さんが来てくださったんですけど、声を出すだけで、そこに(キャラが)いる! っていう、本当に惹きつける主役の声をしていたので、どうやって磨いているんだろうと、興味深かったです。

三瓶:「プリキュア」シリーズとか、青春をしている役柄だと、毎回すごく成長していくし、戦う理由も毎回違うので、その時その時のキャラクターの気持ちになって臨んでいる、という感じなんですよね。

ーーでも、いつ演じてもキャラクターってその年齢のままだから、常にあの声を出せるすごさというのはあるし、かなり技術職なイメージがあります。

三瓶:そうかもしれないです。

吉岡:ベースが絶対にあることがまずすごくて、その中で、キャラクターの気持ちになって入っているというところに感動してしまうんでしょうね。

ーーそれで言うと、歌も毎回感動しますよね。

三瓶:それは本当に思います! コンディションについては、こちらも話を聞きたいくらいです(笑)。

ーー続いて「プリキュア」シリーズについても聞いてみたいのですが、吉岡さんはどんなイメージを持っていましたか?

吉岡:まず存在を知ったのは親族の姪がきっかけなんですけど、公園で遊んでいるときに、ずっと「プリキュア」の技を披露していて、「憧れているんだなぁ」っていうのが伝わってきました。それと最近知り合った小学1年生の女の子がいるんですけど、やっぱり「プリキュア」が大好きで、私がテーマ曲を歌っているんだよと言ったら、急に尊敬の眼差しで見てくれて(笑)。あと、男の子も好きだったりするんですよね。私の知っている男の子のファンは幼稚園ぐらいでしたけど、みんなをときめかせているし、いつの時代もみんなを熱狂させるキラキラした存在なんだなと思いました。

 それに『キボウノチカラ~オトナプリキュア’23~』を観ていると、自分で決めて自分を信じて進んでいくという姿勢が、すごく参考になるというか。そこについ感動してしまう要素があるので、毎回楽しく観ています。

吉岡聖恵
吉岡聖恵

ーー三瓶さんはキャストという立場ですが、どんなイメージを持っていますか?

三瓶:私が演じたときはまだ4作目(3代目)(『Yes!プリキュア5』『Yes!プリキュア5GoGo!』)で、自分はもう大人で、タイトルは聞いたことがあるという感じでした。自分も子どもの頃に『美少女戦士セーラームーン』を観ていた世代なので、女の子が変身して戦う女の子向けの作品というイメージがありました。

 それから実際に演じる側になってみると、ドラマがあるし、彼女たちがそこでどんなことを感じているのかがちゃんと描かれているんです。普通の女の子がいろんな困難に直面して、負けそうになったりもするけど、そのたびに自分の気持ちだったり、周りの仲間に背中を押してもらって戦ったり、前を向いたりする。その姿勢がすごくカッコいいし、大事なことがいっぱい詰まっているなと感じることが多かったです。

 もちろん子どもは、ただ楽しんで観るのが正解だと思うんですけど、私も今、自分の子どもと改めて違うシリーズを観ていると「良いこと言うじゃん!」って思うんですよね。大人だからこそ、セリフの裏にこういう気持ちがあるんだろうなって感じ取ることができて、それがまた素敵だなって思います。

ーー実は大人が観てもグッと来るところが多いんですよね。

三瓶:そうなんです。今の子どもたちがいつか振り返って観たときに、裏に込められたメッセージを拾ってくれたらと思うと楽しみがひろがります嬉しいなと思います。

ーー吉岡さんは、「プリキュア」シリーズの主題歌のお話をもらった時はどう思いましたか?

吉岡:とにかく歴史がすごくある作品じゃないですか。だからとてもありがたいことなんですけど、同時に重みがあるなって思いました。でも、リーダー(水野良樹)が作品の核になる部分を探して曲に反映してくれたので、私もポジティブな部分を乗せたいというのがありつつ、その裏にある繊細な部分、影の部分もちゃんと歌っていきたいなと思いました。基本的に前向きで肯定感は強いんだけど、悩んでいる部分もちゃんと歌えたらなって。

「ときめき」は歌詞のどこを取っても「プリキュア」っぽい

ーープリキュア20周年記念ソングであり、『キボウノチカラ~オトナプリキュア’23~』のOPテーマ「ときめき」は、本当に素晴らしい楽曲、歌詞でしたけど、三瓶さんは、聴いたときにどう感じましたか?

いきものがかり「ときめき」|Music Video 【プリキュア20周年記念ソング・TVアニメ『キボウノチカラ~オトナプリキュア’23~』オープニングテーマ】

三瓶:〈世界はいまきらめくよ わたしがそう決めたから〉という歌詞は、「決めたってことは悩んでたんじゃん!」って思いました。前を向くときって、やっぱり悩んだり凹んだりすることがあって、それでも前を向くというのが「プリキュア」っぽいんです。だからこの曲の歌詞のどこを取っても「プリキュア」っぽい。今回初めてご一緒したいきものがかりさんが、この曲を作ったというのもすごいし、いきものがかりさんが歩んできた歴史と重なる部分があるような気がして、感動しちゃいました。だから歌詞は全部好きです。

ーー『キボウノチカラ~オトナプリキュア’23~』にも通じるところがありますしね。

三瓶:多分私だけが、ふふってなるところなんですけど、歌詞に〈うららかに〉ってあるんですよ。『Yes!プリキュア5』に春日野うららってキャラクターがいるので、聴くといつも「ふふっ」ってなっています(笑)。「隠れキャラ見つけた!」みたいな。

ーー〈たたかうことの意味は 何度だって変わるの〉という歌詞はいかがでしたか?

三瓶:「プリキュア」では本当にそうで、毎回戦う意味が違うんです。だから変身シーンは、毎回同じ絵を使っているんですけど、声は毎回収録しているんですね。「もしかしてそういうのも知ってました!?」って思いました。それに、自分たちともリンクするようなところがある歌詞だから、いろんな意味に捉えられて、何度でも泣けてしまうというか。今回のアニメが始まって、第1話のオープニングを観たときに、何度も聴いていたはずなのに、また感動してしまいました。

三瓶由布子
三瓶由布子

ーー吉岡さんは、「ときめき」には、どんな思いを込めて歌ったのですか?

吉岡:この曲は、自分を認めるという気持ちや、この手で幸せになるという意思がすごく強いんです。いろいろな人との関わりがあるんだけど、私が決めてる! という感じで。その芯の強さがすごくいいなと思いました。〈世界はいまきらめくよ わたしがそう決めたから〉の〈わたしが〉は、特に、こんな強い気持ちなんだ! っていうのが出ている感じがします。

 落ちサビでも〈わたしはわたしのために わたしを信じてあげたい〉って3回出てくるんですけど、でもすごく軽やかに聴こえるし、イヤな感じがしないのがこの曲の良さだと思いました。自分で自分を認めるというのは、本当は誰でもできることだし、していいよね! っていう気持ちになって、自分自身も励まされるんです。

 この曲を歌ったレコーディングしたのは、私が子どもを産む前だったんですけど、その自分も肯定されているなと感じられて。今を生きている自分自身が肯定されている歌詞で、とてもポジティブだと思ったので、明るい気持ちで歌いました。

三瓶:それが吉岡さんの声で歌われているのを聴くと、すごくストレートに入ってくるんですよね。

ーーアニメで流れているのを観て、いかがでしたか?

吉岡:アニメの冒頭でいきなり流れたじゃないですか。OPテーマだから当たり前ではあるんですけど、いいのかな? と思って(笑)。

三瓶:いやいやいや! いいんですよ。

吉岡:重要なところで流れているから興奮しちゃって(笑)。でも内容は、大人が観ても、ちょっとシリアスに感じたりして、リアルだからこそ考えさせられちゃうんです。主人公たちが本当にリアルなことで悩んでいるから、「そうだよね!」って思って、力がこもっちゃいました。

ーー外では上手く行っているように話すけど、実はそれぞれ悩みを抱えて仕事をしている。大人ってそうだよなって思いました。

三瓶:リアルな女子たちみたいな。だから観た皆さんの反応は、ドキドキ半分、怖い半分みたいな感じなんですよね(笑)。普段の「プリキュア」シリーズと全然色が違うから、私たちも受け入れてもらえるのかな? って、不安とか緊張があったんです。でも、毎週楽しく観ていただけているみたいなので良かったです。もちろんいろんな意見はあるとは思いますけど、これも20年やってきた作品だからできる、ひとつの試みなのかなって思いますね。

ーー毎回、共感しすぎて怖いって感じかもしれないですね(笑)。

三瓶:これからもいろんな大人が出てくるので(笑)。

吉岡:こんなシーン、あっていいんだ! って思っちゃうくらい、すごくリアルに感じられました。

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