Dannie May、音楽と言葉に宿る確かな熱量 全身全霊の想い届けたサプライズワンマン

 「KAMIKAZE」「OFFSIDE」でギアを上げると、各メンバーのソロパートを挟み、ライブはついにクライマックスへ。「ええじゃないか」と「ぐーぐーぐー」とキラーチューンを立て続けに投下し、この日一番の盛り上がりを見せる。観客はタオルを振り回しながらフリーダムに暴れて踊り、メンバーはイキイキとした表情でアグレッシブなパフォーマンスを見せる。誰もが己を開放し、音楽に身を委ねることで、ライブはどんどんと勢いと熱さを増していった。

 ラストの曲が始まる前、マサはマイクを取り、「もう治ってるから全然心配しなくていいんだけど」と前置きしながら、ここ最近の自身の近況について話し始める。

「人がいっぱい居るところに行くと過呼吸っぽくなっちゃうというか。ストレスがあるわけでもないんだけど、漠然とした不安みたいなものがどこかに積もり積もっていたみたいで。本当に音楽ができなくなるんじゃないかって思った。電車にも乗れないし、外に出たらおかしくなっちゃうし、音もすごいデカく聴こえちゃったりとか。電車乗ってたらおかしくなっちゃってタリラが駅に迎えに来てくれたこともあったよね。いつもヘラヘラしてる奴ほど変に溜め込んでたりとか考えすぎちゃうこととかあると思う。でも最終的にみんながすごい助けてくれたの、スタッフもメンバーも。だから今日のライブができたことは、『コレクション』のリリースイベントってだけではなくて、すごく僕にとって特別な日になりました。一人でコンビニに行く練習をした日も、一人で電車に乗る練習をした日も、今日に繋がっていたんだなと。今日を迎えられて本当に良かった。それは皆さんのおかげです、本当にありがとうございます」

 ここに至るまでの不安や苦悩を包み隠さずに明かしたマサに、観客からはとても長くあたたかい拍手がおくられた。

 全ての思いを乗せて、彼らがラストに届けたのは、「朱ノ歌」だった。後のMCで明らかになったことだが、この「朱ノ歌」は、Yunoが“この曲の歌詞が、今のマサの背中を押してくれるだろう”という思いからセットリストに組み込んだのだという。〈声はバタつく 足はもつれる かなり不器用な道乗りさ 王様なんかなれんから作ろう 僕らの国を〉。弱さを曝け出し、それでも前へ進もうとする力強い歌を、すべての力を振り絞るようにして歌うマサは、今にも零れそうな涙を必死にこらえているようにも見えた。

 アンコールでは、新たなEP『青写真』のリリースと、それを携えて行う東京・大阪でのワンマンライブの開催を発表。新たな未来への期待を予感させながら、この日のライブは幕を下ろした。

 夢に向かって走る青春のきらめき、人生の苦悩、仲間を思う美しさ。さまざまな思いを全て音楽にのせて届けたDannie May。これまでのライブでも見せ続けてきた多彩な音楽性と確かなパフォーマンス力に加え、強いメッセージ性を放った今回のステージは、多くの観客にとって特別な記憶となったに違いない。

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