BAD HOP、¥ellow Bucks、ちゃんみな、PUNPEE…総勢50組以上が奇跡を繋いだ『THE HOPE 2023』振り返る
国内最大級のHIPHOPフェス『THE HOPE 2023』が9月23日にお台場THE HOPE特設会場にて開催された。当日までにチケットは完売しており、50組以上のパフォーマンスをこの目に焼きつけようと、約3万人のHIPHOPヘッズが集結した。メインステージの他にも、DJステージ、グラフィティ、バスケットボールといったイベントスペース、そしてフードエリアも用意されており、国内主要ロックフェスと比較しても遜色ないレベルの盛り上がりだったのは間違いないだろう。
約9時間に及んだ本フェスは、観客、そしてすべてのHIPHOPヘッズに“奇跡”と“希望”を見せた。
正午より開始したメインステージ最初のブロックは、オーディション通過者のCarzに始まり、eyden、CYBER RUI、Bonberoが登場。『ラップスタア誕生2021』の出演メンバーが奇跡的に集結した(百足&韻マンはアーティストの都合により出演キャンセル)。
それぞれ約5分間という短い持ち時間のなか、卓越したパフォーマンスで会場をロック。その後もXansei with Friends、Only U、ralph、Hideyoshiと、新進気鋭のアーティストたちが圧巻のパフォーマンスを見せた。
シークレット枠として登場したSELF MADEもそのうちのひとつだろう。KOWICHI、Candee、ERASER、Merry Deloからなるこのクルーはステージ上を縦横無尽に駆け回り、ラストには新EPに収録される一曲をライブで初披露した。
15時頃にはDADA、JP THE WAVYらがパフォーマンスを終え、観客のボルテージも高まっていた中でTohjiがステージに上がった。若い世代を中心に絶大な人気を誇るTohjiのライブは「カモメ」から始まり、観客の視線を釘づけにした。そこからクルーメイトのgummyboyも登場し、Mall Boyzの楽曲「My Life」、「mango run」を立て続けに披露。特徴的なダンスを踊る観客が多く見られたのが、Tohjiの人気ぶりを現している。
ラストは「Do u remember me」を歌い上げ、その場を去りかけたTohjiの前に、DJ CHARIが満面の笑みで登場。勢いそのままに「GOKU VIBES feat. Tohji, Elle Teresa, UNEDUCATED KID & Futuristic Swaver」を披露し、観客を熱狂の渦に包んだ。
ライブの様子をより鮮明にするために、ここで当日の天候について触れておく。この日の前日まで降水予報が出ており、それを裏切ることのない曇り空であった。午前中にはパラパラと小雨も降っていた。
だが、これもHIPHOPが成した「奇跡」というべきか、16時頃にはなんと晴れ間が見えた。それと同時に、ジャパニーズマゲニーズが「ドラえもんのうた」をかけながら陽気な雰囲気でステージに登場。晴れ間を見てすかさず孫GONGが、「全員が願ったから晴れたんやろ? このまま晴れさそうぜ」と観客を煽り、「MIC CHECK」などを披露した。時刻は16時20分。奇しくも絶好のタイミングでのライブとなっていた。
そしてジャパニーズマゲニーズの盟友である紅桜がサプライズで登場し「悲しみの後」を熱唱。ラストはJ-REXXX、D.Oもステージに現れ、「最後の一本 feat. J-REXXX (Prod.Dodge Noledge)」を3万人の観客とともに歌い上げた。
空はすっかり日が落ち、終幕が迫る中でステージに上がったのはAK-69。3万人で埋め尽くされたフロアを目の当たりにして、「こんなステージでライブができるとは」「日本のHIPHOPもここまで来た」と、驚きと喜びの言葉を口にしていた。この日のAK-69はバンドセットで「Flying B (DAWN ver.)」などを披露。HIPHOPにかける情熱や、変化し続ける日々に疲弊する現代人へのメッセージを語り、ラストは「START IT AGAIN」で締めくくった。
時刻は19時を回り、残すところあと4組となった。ヘッドライナーの1番手はPUNPEE。「夜を使いはたして」から始まり、日本語ラップクラシックのリリックを盛り込んだ「お隣さんより凡人 remix」を披露。ここでPUNPEEは12時からの長丁場であることを鑑み「BGM代わりに聴いてもらえたら」と語った。それを聞いて安心したのか、移動したりその場に座り込む観客が増え、オーバーヒート気味だったボルテージを整える様子が見られた。そして直前にパフォーマンスを終えたBIMを呼び込み、「Night Rider」で共演。ラストは「タイムマシーンにのって」を披露し、足早にステージを後にした。
PUNPEEが整えたステージに立ったのはちゃんみな。観客の前に姿を見せると、この日いちばんの黄色い歓声が各方面から聞こえた。「美人」から始まり、「Picky」、「Doctor」、「B級」と、バックダンサーとともに一糸乱れぬ圧巻のパフォーマンスを見せた。MCでちゃんみなは「ようやくこういうイベントに出れた」と喜びを言葉にした。というのも、彼女は『ROCK IN JAPAN』や『SUMMER SONIC』への出演を経験しているものの、『THE HOPE』、『POP YOURS』のような国内HIPHOPフェスへの出演は今回が初めてだった。そして最後は「Never Grow Up」を美しく歌い上げた。
残すところあと2組となり、当然ながら観客は大きな盛り上がりをみせていた。ちゃんみなの退場から矢継ぎ早に¥ellow Bucksが登場し、「Higher」、「Balls Out」、「My Resort」などを披露。楽曲を口ずさむ観客を見て笑みをこぼしていた¥ellow Bucksが印象に残っている。ここでステージにバイブス満タンのANARCHYが登場し、「I Know What feat. ¥ellow Bucks, ANARCHY」を披露した。ライブ終盤、同じ東海エリア出身であるAK-69をステージに迎え、「Bussin’ feat. ¥ellow Bucks」を歌い切る。そしてAK-69が、¥ellow Bucksと名古屋日本ガイシホールにてスペシャルライブ『AK¥B』を2024年2月24日に開催することを発表した。両名の本拠地であるエリアでの凱旋ライブを発表し、AK-69に「かませんの?」と煽りを受けた¥ellow Bucksは「Yessir!」と力強く返答。ラストの楽曲「Yessir」へと入り、盛り上がりは再び最高潮となった。