9月30日、東京・日本青年館にて『緑川裕宇Birthday天色と摩天楼、夜長月が目覚める刻。』が開催された。この日は、ボーカル・緑川裕宇のバースデーワンマンツアーのファイナル公演であり、0.1gの誤算にとって念願のホールワンマン。それだけに、メンバーを始め、ファンから見ても期待度の高い公演だった。その証拠に1階席はもちろんのこと、2階席もチケットが完全ソールドアウトしたというのだから、彼らの人気の高さが窺える。また、この日のステージは、新曲「被告人Aの告白」のミュージックビデオの舞台をそのまま持ってきたかのような作りになっており、ホールワンマンだからこそできる豪華絢爛な仕様に驚いた観客も多かったことだろう。

　赤いライトがステージ上を照らす中、新しいSEと共に新衣装を着たメンバーが順番に登場すると、客席のボルテージも上がっていく。「0.1gの誤算です！　日本青年館にようこそ！」と緑川が高らかに宣言すると、「被告人Aの告白」からライブはスタートした。まず、鋭利なシェイプが特徴的な水田魔梨（Gt）の音に目を奪われる。エッジの効いたイントロから流れるように繋ぐ和風な曲調に合わせ、観客はグッズの扇子を振りながら曲を盛り上げていく。華やかな景色の中、中盤では一気にジャズテイストへと変貌を遂げるあたり、曲に対しての遊び心が垣間見えた。こうした難易度の高い楽曲をセンス良く歌いこなしてしまう緑川の歌唱力と、その個性に負けないほどの力強さを持った楽器隊のパフォーマンスには脱帽する。

　その後は、「必殺！からくり七変化！」「桜花爛漫！天晴とサムライ応援歌」「アストライアの入滅」と続いていった。「嘘とシアン」は先程までの煽り曲での雰囲気とは打って変わって、切なくも美しいメロディが会場いっぱいに広がる。そこから「オオカミ男と月兎」に入ると、「踊ってちょうだい！」と緑川が叫ぶ。途中には眞崎大輔（Ba）と向かい合って歌う場面もあり、ホールでのライブをとても楽しんでいるように見えた。

　場面は目まぐるしく変化していく。「男、いけるのか！」と男性ファンを煽ったかと思えば、「女、いけるのか！」「2階！」と全方向に目を配る緑川。畳みかけるように「見せつけてやりましょうよ！」と言い放つと「救済バタフライ」へ。その後には圧巻ともいえるドラムソロを挟み、「NEVER ENDING」を披露する。本編ラストをポップとダークが共存する「絶望メンブレガール」で締めくくると、メンバーは颯爽とステージを後にした。