R&Bイベント『STAY READY vol.2』aimiインタビューとライブレポートで振り返る 開催までの舞台裏とステージ上で感じたこと
『STAY READY vol.2』ライブレポート
9月15日、東京・代官山のSPACE ODDでR&Bシンガーのaimiが主催するイベント『aimi presents ‘STAY READY vol.2’ supported by BACARDI』が開催された。aimiは今年、BACARDIによる新企画「BACARDI Sound Distillery(音楽蒸溜所)」の第1弾フィーチャリングアーティストに抜擢され、プロデューサー/DJのtofubeatsと楽曲「No One Is」をリリース。その縁もあり、今回のイベントのバーではBACARDIが提供するドリンクメニューを楽しむことができた。会場に集結したR&Bラバーたちが幸福感に包まれた空間の中で音楽やお酒を楽しみ、4人のシンガーと2人のDJがそれぞれの持ち味で魅了、最高潮の盛り上がりを見せたこの夜のステージをレポートしたい。
DJ AKITOのプレイで早くも客席が盛り上がる中、最初に登場したのはEMI MARIA。ダンサーふたりを従え、「GIRL LIKE GANGSTA」、「Lemuria」と2曲を立て続けに披露。コール&レスポンスも交えた、さすがのステージ運びで客席との一体感を高めていく。「私の人生のライド・オア・ダイ(相棒といった意)、SEEDAと作った曲です」と伝えて歌い始めたのは「91」。しっとりと、しかし力強い曲調に合わせたボーカルは説得力抜群。ギタリストをステージ上に迎え入れ始めたキーシャ・コール「Love」の日本語詞カバーでも、あたたかなボーカルが会場を包み込む。
「去年、出産後に初めて出したシングルで、ライブで歌うのは初」と言うのは「もしもし」。90s R&B的なメロディと、今のトラップやドリームポップ的なサウンドを融合させたかわいらしい曲が、主役のボーカルを引き立たせる。最後は、彼女の代表曲のひとつ「Nobody Like You」。イントロの途中で思わず「ライブって最高」と口にしていたが、主役の歌声どおりのあたたかな空気に包まれたフロアはとても心地よくて、もっと続いてほしいと思わせるステージだった。
DJ DaBookのプレイに続いては、2番手、Sincereのステージだ。キーボーディストとふたりで現れた彼女がまず歌うのは「Are You」。ドラマティックなメロディに魅せられて、客席はすぐ主役に釘付けになっていく。続く「Lucky」は90s R&B的なメロディと今のサウンドの組み合わせに心が弾む曲で、「I'll be」はブレイクビート的なドラムスを用いた、90sのヒップホップ・ソウルをそのまま想起させる曲。サビでは皆でハンズアップと客席もノリノリだ。
「Like no one's done」、「Slow Motion」と続けたスロウな曲では、日本語をきれいに聴かせる、高音が主役のキュートな歌声が際立っていた。「9月27日にリリースするEP収録曲です」と言って始めた新曲「no pride」と、ディスコブギー調の「water」は、さまざまな曲調を歌いこなすボーカルの柔軟性と、拡がる可能性を強く感じる好曲。客席も楽しそうに盛り上がる中、最後に歌われたのは「Our Way」。ライブでの盛り上がりを想定したような、ソングライト、アレンジのうまさが光る曲だ。2021年に本格的に活動を始めた彼女。フレッシュな歌声と、長身を活かしたステージングには華があり、この夜も客席を存分に盛り上げていた。
続いて登場したのはMIREI。當山みれいが、英語詞の曲を歌う際の名義で、MIREIとしてのライブはこれが初だ。「1998」で幕を開けたステージは、「Let Me Be」へと続く。2020年に海外で発表したアルバム『Take Me Away』中の、ブレイクビートを用いた90s R&B調の曲だ。この夜、英語ネイティブの、R&Bが本職だろう男女コーラスふたりとステージに上がったMIREIは、ブルーのタイトドレスをまとい、100% R&Bシンガーモード。英語詩をフェイク(ソウル/R&B特有のボーカルのアドリブ)も入れて、コーラスふたりと実に楽しそうに歌う姿に引き込まれる。
「愛って売ったり買ったりできるの?」という思いを歌った「Sell Me Your Love」でも、コーラスふたりと三位一体となってR&Bボーカルの魅力を伝えるMIREI。一転して「命をかけるほどの純愛」を歌った詞が心に響くシャーデー「No Ordinary Love」の、そしてロバータ・フラック「Killing Me Softly」のカバーも心に響く。後者はローリン・ヒルの歌をフィーチャーしたThe Fugeesによるバージョンで披露。フロアを大いに沸かせた。「Lazy Boy」に続けて最後に聴かせたのはMIREIの「日本デビュー」曲「Lonely in Tokyo」。どの曲も今の世界標準であるトラップ以降のビートでクールに聴かせつつ、ボーカル勝負でしっかりと客席を沸かせていたMIREI。當山みれいとしての活動と合わせて、どちらの歌声も聴かせ続けてほしい。
最後に登場したのはaimi。DJ大自然とキーボーディストの竹田麻里絵をバックに、「R&B is alive!」と宣言するSEに乗って現れると、1曲目「Lovesick」から全開。続く「Best of Me」でも常に自ら身体を動かして、トラップ調のビートへのノリ方を客席に伝えるように歌い踊る。「SNS疲れした際に、自分を癒してあげようと書いた曲」だと言う「How's The Weather?」ではデュエット相手のEMI MARIAも登場。キュートなボーカルのかけ合いで客席を沸かせた。バラードの「Fight No More」を短く聴かせた後は、新たなアレンジの「Good Without You」、イントロが流れると歓声が上がった人気曲「No One Is」で再び客席を盛り上げる。そうして、「ジャパニーズR&Bクイーン」の呼び声とともに登場したJASMINEと、ふたりのデュエット曲「Risk It All」を披露。いきなりの登場でもさすがのボーカルを聴かせるJASMINEもすごいが、負けずと歌い上げるaimiもすごい。この夜のハイライトといえるふたりの熱唱だった。
続く「(wanna vibe) with you」は「この日のために作った新曲」で、客席の皆に捧げられる。ファンキーでノリノリな「KMHH - Cali Remix」で盛り上がった後のMCでは、「インディで活動している私にとっては、皆さんが私のチーム。R&Bをもっと広めていくために、これからも力を貸して欲しい」と熱い思いを語ったaimi。「Chosen One」で最後の盛り上がりを見せた後も、出演者全員でステージに上がると、客席から大きな拍手が寄せられていた。
思い思いに音を感じて、それぞれが楽しそうに体を揺らす客席からは、R&Bラバーの成熟といったものも感じられたこの夜。ブームはもういらない、こんなにも楽しいR&Bのイベントが続いていくだけでいい。
・aimi Official Website
https://www.aimimusicofficial.com
・BACARDI Sound Distillery 音楽蒸溜所Official WebSite
https://bacardi-rum.jp/music/