サザンオールスターズ、なぜ他の追随を許さないポップミュージックであり続ける? キャリアにおける“変化と一貫性”を考察
この機会に、改めて彼のバックグラウンドについても考えた。その特色として、洋邦の垣根も越え、様々な時代の音楽と交信できる、強靱かつパラレルなアンテナを有することが挙げられる。なかでもハッキリしているのは、「歌謡曲」との距離感だ。
普通、幼少の頃からなんとなく親しんできたものからは卒業し、ロックなりヒップホップなり、自分でつかみ取ったものにこそ惹かれるものである。ところが桑田は、一度でも自分を魅了した音楽は、ずっと大切に体内に蓄積し続けている。
彼らのライブにも着目した。ステージにおいて、数々の伝説を打ち立ててきたバンドだが、その歩みを辿ってみて、こんなことを感じた。そもそも初期から、バンドの演奏を基軸としつつも、総合的なエンタテインメントを意識してきた人たちだということだ。その都度持てる力を発揮し、時に援軍も得て、多彩なアイデアで観客を楽しませてきた。そのことは一貫しているのだ。僕自身、デビュー直後は観てないものの、1980年代前半からの主要なものはすべて観ているが、ライブの根本的なやり方が、ある時点でがらっと変化した、という印象はない。新たな楽曲が生まれ、それが新たな武器となり、セットリストに新たな可能性が……という場面なら、何度も何度も観てきたが。
番組では最後に、今後のことにも触れている。45周年の次は50周年……などというのは気が早いが、今後のサザンオールスターズに何を期待するのかといえば、「これから」も、「これまでのように」である。芸術祭参加作品のようなものではなく、街やお店で流れ、時代の中で消費されるからこそ時代を映しもする、逃げも隠れもしない「ポップミュ−ジック」を、彼らには目指し続けていただきたいと思う。いや、僕なんかが言わなくても、きっと彼らはそうするだろう。
■番組情報
Spotify Music+Talk『ArtistCHRONICLE』完全版
https://open.spotify.com/show/7ENAg894BUX86x0x2xB5lu?si=d13b346b53d94124&nd=1【特集内容】
ArtistCHRONICLE サザンオールスターズ
第1回: 8月6日(日)放送・公開「サザンオールスターズ・イントロダクション」
第2回: 8月13日(日)放送・公開「時代を超える、サザンオールスターズ」
第3回: 8月20日(日)放送・公開「サザンオールスターズのライブ」
第4回: 8月27日(日)放送・公開「2023年のサザンオールスターズ」
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