藤井 風、Mrs. GREEN APPLE、MISIA & Rockon Social Club……スポーツ中継テーマソング、令和の新機軸とは

嵐 - BRAVE (ARASHI Anniversary Tour 5×20)[Official Live Video]

 9月8日からフランスで開催される『ラグビーワールドカップ2023』の日本テレビ系中継イメージソングは2019年に引き続き嵐の「BRAVE」。ゴージャスなホーンセクションが鳴り響くロックテイストのサウンドはラグビーの泥臭くも熱を帯びたスポーツ性を感じさせる。この「BRAVE」もまた、人生とも重ね合わせることのできる歌詞が印象深い。〈明暗に左右されず 結んだ絆 We're the one〉どんなチームでも、絆は結果ではなく目標へ向かう過程でこそ強くなるものだ。スポーツにおけるチームの結束はもちろん、友人や仕事仲間といった人間関係全般に置き換えることができる。

MISIA & Rockon Social Club - 傷だらけの王者 (Official Music Video)

 NHKラグビーテーマソングはMISIA & Rockon Social Clubの「傷だらけの王者」。先日、日比谷公園大音楽堂でラストライブを行った男闘呼組のメンバーが中心となり、寺岡呼人プロデュースのもとで結成されたロックバンド、Rockon Social ClubとMISIAのコラボレーションソングだ。Rockon Social ClubのギラギラとしたロックサウンドとMISIAのソウルフルな歌唱がラグビーにピッタリな楽曲となっている。〈世界は いつの日にも/勇気あるものだけに 開かれる〉何事も足を踏み出さなければ始まらない。作詞を担当したMSIAは、何かを始める勇気こそが人が生きる場所を更新するのだと説いている。

 それぞれ異なる4つのテーマ曲を紹介してきたが、どの曲にも共通しているのは、スポーツにおける勝ち負けだけでなく目標に至る過程や選択を肯定するメッセージが込められている点だ。それはスポーツだけでなく、やはりこれまで聴き手が生きてきた人生の肯定でもある。単一の目標達成そのものではなく、なにかに取り組む過程こそが自分の糧になるというメッセージは、それぞれの個性や選択の自由を尊重する現代の社会が進むべき未来とも重なる。

 結果ではなく過程を肯定することですべてのリスナーの心を揺り動かす普遍性。それこそが、令和的スポーツテーマソングの新機軸と言えるかもしれない。

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