May J. 暗闇の時間を経て到達した“ユニバーサルラブ”の精神 「今はもう全く負のものは入れずに、光だけでいたい」

「Spread Love」に感じたユニバーサルラブ

ーー新しいMay J.=現行のR&Bということですよね。今回の新曲「Spread Love」はプロデュースは今井さんで、作詞と作曲はisseiさんと前田佑さんの共作になってます。

May J.:isseiさんと前田佑さんは、今井さんがセレクトしてくださった方々です。でも、たまたまisseiさんのことは知っていたんですよ。彼はZinee&isseiというシンガーユニットを組んでいるのですが、2年くらい前にたまたまInstagramで見つけて、面白いなと思ってフォローしていたんですね。そうしたら、すぐにメッセージをくださって。どこかでいつか一緒になれたらなと思っていたら、ここでisseiさんと一緒にできることになりました。そういう出会いでしたね。

ーーZinee&isseiのどんなところに惹かれてました?

May J.:私にドンピシャでハマるR&Bの歌い方だったんです。たぶん聴いてきた音楽も一緒だったんだろうなってわかるような歌い方だったので、繋がるものをすぐに感じましたね。

ーー今回、作詞もお任せしてましたけど、May J.さんから何かリクエストはしたんですか?

May J.:とにかく光に向かっていくポジティブな気持ちを歌いたかったので、もうそれだけを伝えました。今井さんとも事前に色々とお話ししていたので、今まさに歌いたい楽曲だと思いました。

ーーでは、最初に楽曲を受け取ってどう感じましたか。

May J.:まさに今、私が伝えたいことだなと思いました。私が好きなのは〈怖がらずに Spread Our Love〉というフレーズ。2番のラップでも〈広げた両手/どうせ手遅れ/なんて思わないで〉と言ってるけど、コロナ禍で握手もできない、触れ合うこともできない、それがもう当たり前のようになってしまっている子たちもいると思うんですよね。でも、もうそんなの関係なく、自分から近寄ってあげることがすごく大事だなと思って。みんな遠くから伺ってるというか、本当は仲良くなりたいのに、それさえわからないっていう状況になっている。だったら自分から行こうよ、みたいな気持ちがあったので、まさにそういうことが表現されてます。

ーー前作アルバムの制作過程も知っているのか、という歌詞になってますよね。

May J.:そうですね。今井さん、どれだけ私のことを理解して伝えてくださったんだろうって思いました。

ーー自分の後悔や過去とか向き合った後に、全てを受け入れて、肯定して、みんなにも愛を分け与えていくっていう流れになってます。

May J.:ひとりじゃないっていうことですよね。自分だけで抱え込まなくていいっていう。頼っていいんだよっていう意味もあると思うし、それこそ家族っていう意味でも捉えられるし。いろんな意味があると思うんですけど、すごいユニバーサルラブだなと思いましたね。

ーー今井さんから言われて覚えてることは何かありますか。

May J.:レコーディングのときに言われたのは、すごくきっちり歌うねって(笑)。みんな歌えるのはもうわかってるから、もうどんどん崩していこうって。

ーーそれは必ず言われますね、クラブミュージック界隈の人たちからは。

May J.:言われますね(笑)。でも、もともと、そんなにきっちりな人じゃなかったと思うんですけどね。

ーーたくさんのカバー曲を歌ってきたので、原曲にリスペクトして歌うっていう作業をしてきたことも関係してるかもしれない。

May J.:その積み重ねもあるかもしれないです。だから、崩すのが一番大変なんです(笑)。でも、この曲、すごくカッコいいんですけど、難しくもあるんですよ。R&Bはフリーで歌ってるようで、フェイクもめっちゃかっちりと細かく当てながらやるんですね。だから、いつもは1テイクで1曲をまるまる歌うんですけど、この曲は、ワンフレーズずつ、「こっちの方が響きがいいよね」っていうのを探りながら、何回も録ってみて。久々だったんですけど、レコーディングはすごく大変でしたね。

ーーR&B特有の大変さってなんですか?

May J.:全部ですね。声の色、リズムの乗り方、ビブラートの切る場所、ビブラート入れるか入れないか。どこでシャクるか。本当に一つのニュアンスで全てが変わるので、手探りでやっていたら、むちゃくちゃ時間かかったんですけど、やりがいはありましたね。あとは、今伝えたい思いはあるんですけど、あえて思いを入れようとして歌わないようにしました。

ーーそれはどうしてですか?

May J.:熱くなっちゃうし、今までの自分になっちゃうから(笑)。あえてクールっていうか、さらっと歌うことがすごく大事だなって。

ーー先ほど、ジャネットを見に行った話がありましたけど、May J.さんはパワー系の歌い方も素敵ですけど、シルキーな声でサラッとソフトに歌う時の声も魅力的なんですよ。

May J.:嬉しいです。それ、今井さんも言っていて。J-POPはサビが必ずハイトーンで、バキッて歌うものが多いけど、それだけじゃないんだよね、みたいな。ビートもなくて、ドロップとか、低いキーでもサビが成立するもの面白いなって思っていて、この先はそういう曲もやるかもしれない。この曲では、力で持ってこうっていうのを止めた感じですね。

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