にしな、天真爛漫なパフォーマンスが演出したカオティックな夜 歓声と歌声が交差する最新ツアー最終公演を観て

 その後も、「FRIDAY KIDS CHINA TOWN」「U+」「透明な黒と鉄分のある赤」と多彩な楽曲を次々に披露。今年3月にリリースしたばかりの「春一番」は、淡く切ないラブソング。青春の日々を想起させるような歌詞と透明感のある歌声は、観客の胸に大きな感動を届けた。「青藍遊泳」は、にしな の歌声を思う存分味わえる名曲。ドラマチックなメロディと共に押し寄せる、迫力満点の生歌に圧倒された観客は、身動きすることもなく聴き入っていた。

 ここからライブはラストスパートへ。余韻に浸る観客を、ギターの鋭いリフから始まる「スローモーション」で熱くさせ、苦い恋愛模様を歌った「ヘビースモーク」で切なくさせる。ファンタジックなイントロから始まる「1999」は、物語性のある歌詞に夢中にさせられ、まるで映画を観たあとのような充実感が心に残る。

 そんな風に揺さぶられ続けた感情を、最後に昇華させてくれたのが、ツアータイトルにもなっている新曲「クランベリージャムをかけて」。アッパーなサウンドに合わせて会場は揺れる。フロアには光るバルーンが投げ込まれ、ステージ上では にしな が小さな犬のぬいぐるみのオモチャを走らせるというカオスな空間に。会場にいる全員が自分を解き放ち、最高潮の盛り上がりを見せながら、ライブは幕を閉じた。

 「東京マーブル」や「U+」、アンコールで披露された「ケダモノのフレンズ」では観客側に時折マイクを向けながら共に歌い、曲間のMCでもソファーで転びそうになったことや歌詞を間違えたことを明かして会場の笑顔を誘うなど、声出し解禁となったライブだからこそできる観客とのコミュニケーションが多々見受けられた本公演。彼女自身も様々な小道具を使ってステージを演出したり、「(観客と)一緒に歌えるって最高だ」と喜びを露わにしたりと、実に楽しそうな様子が窺えた。最後には2024年からスタートする全国ツアーを発表。全国11箇所で12000人超動員という、にしな史上最大規模のものだ。彼女の持つ天性の歌声は、さらに多くの人を魅了し続けるだろう。

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