怒髪天、柳家睦とラットボーンズとの“WBC”ファイナル 信念を持った2組による最高のエンタメショー
本家の“暗転”を挟んで、最新アルバム『more-AA-janaica』から「OUT老GUYS」へ。上原子の無国籍なフレーズとヘヴィなグルーヴが猛り狂う。もちろん、チューニングも下げなければ、それほど歪んでいるわけでもないのに、このヘヴィさには度肝を抜かれる。トライバルなリズム展開といい、大迫力のアンサンブルはキャリアの浅いバンドには出せないものだ。そう嘲笑うように〈我老いてなお害する者なり〉と、来年40周年のバンドはひたすらの叫ぶのだ。と思えば、「令和(狂)哀歌~れいわくれいじぃ~」で〈明るい歌だけ歌わせろ 楽しい気分で踊らせろ〉と歌い騒ぐのである。
「ラットボーンズは人気出ると思うんだよね。俺たちも大概バカですけど、下には下がいるじゃないですけど……」と増子が愛のあるイジりを饒舌に語り、「10年くらい前にヒットすると思って出したけど、掠りもしなかった」という、どこかラットボーンズと共通するテイストのある曲「真夏のキリギリス」を披露。軽やかなリズムとカッティングギターに合わせて、爽やかな夏のメロディが響いた。
ラストは「ハイ、お待たせいたしました歌舞伎町、手を挙げろ!」と「オトナノススメ」をどどーんと投下。フロアいっぱいに手が上がり右へ左へのバカ騒ぎ。〈オトナはサイコー!〉の大合唱が歌舞伎町の夜に響き渡った。
最後の最後は2バンド、怒髪天と柳家睦とラットボーンズによる「また逢う日まで」(尾崎紀世彦)で大団円。「俺たちじゃ到底辿り着けないようなステージに立たせてもらった怒髪天の兄貴分たちへ」ということで、メンバーが割り勘で買ってきたという花束と優勝トロフィーが、ラットボーンズから怒髪天へ贈られる。これには増子も「泣くって」と、目頭を熱くさせながら、記念参加メダルをラットボーンズのメンバー1人ひとりの首にかけた。増子が伝えたかったもの、逆に柳家が伝えたもの、それぞれのバンドに対する想いが伝わるエンディングだった。
2マンツアー『怒髪天 presents 2023 WORLD BAKA CLASSIC 決勝』、“WBC”はこれにて閉幕。しっかりとした信念があってロックを、バンドをやっているから、何をしようが最高にカッコいいのである。そんな男たちの生き様をこれでもかというほどに魅せつけられた、最高の2マンだった。
「勝負つかないから、来年に持ち越しということで!」(増子)
来年の持ち越し開催にも期待が高まる。