私立恵比寿中学、ダンスパフォーマンスはなぜ強靭なのか? 卒業した仲間たちの想いを背負うことで“今”へ繋げたステージの魅力
星名美怜の豊かな演技力はダンスにも還元
ただそれでもやはり、現在のエビ中のなかで特にダンスパフォーマンスの部分で目を釘付けにするメンバーがいる。ひとりは星名美怜だ。星名は、2021年にミュージカル『「オープニングナイト」〜桜咲高校ミュージカル部〜』に出演し、翌年には舞台『ドラマチックハイスクール』で主演を務めた。
昨年、筆者が星名をインタビューした際も「お芝居への興味がどんどん強くなっています」「自分自身のいろんな経験を役に生かしたり、想像を広げたりして役を作るのも楽しかった。年齢も重ねてきましたし、“こういう自分になりたい”というものをどんどん作り、いろんな場所でも頑張れるようになって、その経験をエビ中に還元していきたいです」と答えていて(※1)、グループのオフィシャルYouTubeチャンネルでも演技レッスンの一環で食リポにチャレンジしていたほどだ。
ダンスと演技の関係性は非常に密接であると筆者は考えている。その時々の心情や状況を身体でどのように表現し、観客に届けるのか。その点がエビ中はグループ全体で優れているのだが、特に星名は、言葉に頼らない形であっても、ダンス=演技で笑わせたり、泣かせたりできる。その表現力の豊かさがあるからこそ、舞台の主演を任されたと言えるだろう。
風見和香がオーディション合宿で見せた飛躍
そんな星名とともに『ドラマチックハイスクール』へ出演した風見和香も、ダンスの面でメキメキと頭角をあらわしてきた。星名同様に“役者”としても目を見張るものがあり、今年1月クールで放送されたドラマ『夕暮れに、手をつなぐ』(2023年2月14日放送/TBS系)の第5話では、ゴスロリシンガー役という歌唱難、見た目が地味など癖ありのキャラクターに変貌してみせた。その高い表現力はダンスにも生かされている。
風見は、YouTubeチャンネルでも配信された2021年実施の「新メンバーオーディション」に参加した際、山積みとなった課題を前に、一時は「自分はエビ中に合わない」と混乱。そして大粒の涙を流していた。ところが、合宿オーディションの最終審査(2021年5月4日配信回)では「合宿に来たばっかりの時は本当に不安で早く家に帰りたくて、ダンスとか覚えていくうちに楽しくなった」と話していたように、誰よりも高く飛び跳ねるなど明らかに見違える動きを披露。一方で、歌やダンスで間違えた箇所があったことを自分から指摘して、「そこは反省して」と口にしていた。そういったハングリーさは、エビ中に転入してからも失われておらず、ダンスの部分でもたった2年ほどで大きな飛躍を遂げている。
エビ中の楽曲「サドンデス」(2016年)の間奏には、メンバーたちがダンスバトルを繰り広げる名物パートがある。同曲は、パフォーマンスごとにバトルの勝敗が変わる。それだけではなく、マイナーチェンジも重ねられるなど、予定調和で進んでいくことはまったくない。そういったアレンジを行うことができるのは、個々の能力のハイレベルさはもちろんのこと、グループの一体感があるからこそ成り立つものである。
かつて“キレのないダンス”が謳い文句とされていたのが嘘のように、エビ中のダンスは心踊るものになっている。
※1:https://www.lmaga.jp/news/2022/04/426323
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