連載『lit!』第51回：XG、MOONCHILD、私立恵比寿中学、ももくろちゃんZ、ARCANA PROJECT……初夏を思わせる新曲

　だいぶ暖かくなったものの、昼と夜との温度の差もあって体内のコントロールが難しい今日この頃。メンタル的にも不安定になりがちで、そうこうしているうちに梅雨が到来……。となると、せめて音楽を聴いているときぐらいは落ち着いて過ごしたいものです。今回ピックアップしたのは、初夏の爽やかな風を思わせる日本のガールズグループの新曲。これらを聴いて心も体もパワーアップしてください！

XG／LEFT RIGHT REMIXX (FEAT. CIARA & JACKSON WANG) [PROD BY JAKOPS]

　グローバルな活動で知られる7人組・XGの最新曲は、海外（特にアメリカ）で好評を博したナンバーのリミックスバージョン。オリジナルのゆったりとしたグルーヴを鮮明にしつつ、シンギングラップをさらに加えて甘いムードを濃厚にしたといった感じでしょうか。リミックスは大抵の場合、まったく異なるリズムや音色、和音で作ったりするものですが、原曲との違いが大差ないのは、元のアレンジが完璧だったということかもしれません。

　先日、幕張メッセで行われた大型イベント『KCON JAPAN 2023』で彼女たちの勇姿を鑑賞しましたが、ステージをにこやかに走り回るメンバーらは日本初のパフォーマンスとは思えないほど堂々としていました。デビューから1年ちょっと。早くもサウンドカラーとビジュアルイメージを確立して“恐れるものなし”の彼女たちですが、その勢いと輝きがこの曲からしっかりと伝わってきます。

MOONCHILD／DELICIOUS POISON

　MOONCHILD というと筋金入りのロックファンは「ESCAPE」で知られる日本のバンドを思い浮かべるでしょうが、こちらはLDH JAPANとHYBE LABELS JAPANが共同プロデュースする注目のガールズグループで、LDH JAPANのオーディション『iCON Z ～Dreams For Children～』で合格した女性5人からなります。本作は5月にリリースしたデビューEP。XGと同じくメンバーらが視野に入れているのは日本のみならず海外なのでしょう、親しみやすいちょっとレトロなダンスミュージックは間違いなく国境を越えた人気を獲得するはずです。

　かつてEXILE HIROは、自分たちのオリジナルアルバム『ASIA』（2006年）に関して「日本人、アジア人として僕たちが子供の頃からいろいろな音楽を聴いてきた環境をEXILEのフィルターを通して表現」しつつ、「日本人的ソウルとはこういうものだろうと伝えたかった」と語っています。そうした音楽的な方向性をプロデューサーのØMI（三代目 J SOUL BROTHERS）が引き継ぎ、今後はMOONCHILDのフィルターを通して見せていくのではないでしょうか。

私立恵比寿中学／kyo-do?

　新しい“エビ中”は桜井えまと仲村悠菜が加入して、なんと10人組に！ 公式資料によると今回のシングルは「お互いの個性を発揮しながらキョウドウ作業で世の中を良き世界に変えていこう！と、そんな希望と野望が入り混じったキュートなアイドルポップソング」だそうです。Jackson 5の一連のヒット曲に似た明るいR&Bなのですが、本格的すぎず、可愛さを引き立たせる要素が強いところが良い意味でJ-POPらしいと思いました。ポジティブなワードを散りばめたクセのある歌詞も素晴らしいと思ってチェックしてみると、作詞・作曲・編曲はヤマモトショウ。フィロソフィーのダンスやCIRGO GRINCOの作品を通じて彼のセンスを高く評価しておりましたが、私立恵比寿中学でもいい仕事ぶりを見せてくれました。