GACKT、稲垣吾郎、細美武士……節目を迎え、“知命”を持ちながら活動し続けるアーティストたち

 ELLEGARDEN、the HIATUS、MONOEYESといったバンドのメンバーとしてロックシーンを牽引する細美武士も今年2月に50歳を迎えたばかり。昨年ELLEGARDENとして16年ぶりにリリースしたアルバム『The End of Yesterday』を携えたライブハウスツアーも好調で、夏には全国のアリーナとスタジアムを巡るツアー『Get it Get it Go! SUMMER PARTY 2023』を開催、さらに『FUJI ROCK FESTIVAL'23』への出演も決まっている。彼は、バンド活動の傍らでトレーニングやランニングを欠かすことなく行っており、2019年にはランニングカルチャーマガジン『走るひと』の表紙を務めたほどランナーとしても知られている。その強靭な身体は歌声にもポジティブな影響を与えており、特に細美の力強くも繊細な歌声は、彼がボーカルを務める各バンドでも存在感を遺憾なく発揮している。

 細美武士のストイックな姿勢は身体性だけではなく、思わぬ場所にも波及している。それは彼の所属するバンドのチケット料金だ。例えば、前述したELLEGARDENのライブハウスツアー『The End of Yesterday Tour 2023』のチケット料金は2600円。この規模のライブハウスでのチケットの相場は5000~6000円前後とされている中で、半額近い価格でライブを開催しているのだ。これは若いロックファンにもライブに足を運んでほしい、そうでないと文化の発展は望めないという細美の信条によるものと言われている。

 恐らくこの価格で全国津々浦々のライブハウスを廻るのは想像以上に難しいことだろう。バンドメンバーだけでなく、ローディや照明といったスタッフも必要なライブツアーをこの価格で賄うには、細美自身の動きにも相当の制限があるはずだ。それでもこのチケット価格を維持していることこそ、細美武士最大のストイックな一面といえるだろう。

 GACKT、稲垣吾郎、細美武士。それぞれ全く別のステージでそれぞれのシーンと対峙している3人だが、共通していることは皆、孔子が言うところの「知命」を持ちながら活動しているところだろう。活動のためにストイックな生活に身を置いたり、自身を客観的に見つめながら惜しまない努力を見せたり、未来のシーンのために若者への還元を惜しまない姿勢を貫いたり。その形は三者三様ながら、自分の人生の在り方を考え抜いてそのスタンスを果たしている。

※1、2:https://jisin.jp/entertainment/interview/2220313/
※3:https://eiga.com/news/20221101/19/

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