asmi、ありのままの自分を音楽で表現する大切さ 『ポケモン』の物語への共感、シンガーとしてありたい姿勢も明かす
「『ずっと』は何も作ってない、私そのものです」
――「ずっと」に関しても聞かせてください。この曲を「ドキメキダイアリー」「PAKU」と一緒にシングルに入れて残したのは、きっとそれだけasmiさんとって大事な1曲だからなのだろうなと思ったんです。
asmi:正直、この曲に関してはあまり自信がなかったんですよ。でも、いざリリースしたらめちゃくちゃ反響がよくて、それで安心しましたね。自分で書いた曲をリリースするタイミングがなかなか難しかったんですけど、一番最近書いた曲でそれができてよかったです。この曲をこのシングルに入れようと思ったのは、「ドキメキダイアリー」も「PAKU」もお子さんたちから人気なので、このシングルは家族でお出かけする時の車の中とかで聴いてもらうのかなと思って。ということは、きっとお母さんとかお父さんにも聴かれるやろうなと。「ずっと」は私なりの大きな愛の歌だと思っているので、家族がいる人たちの心に深く響けばいいなという想いがありました。この曲を入れてよかったなって、リリースしてから改めて強く思いましたね。
――恋愛関係のラブソングだけでなく、親が子をハグしたり涙を受け止めたりすることも内包した曲ですもんね。
asmi:はい。たしかに私の気持ちで書きましたけど、彼氏彼女を思う気持ちだけじゃなくて、家族を思う気持ち、いろんなパートナーを思う気持ちに通ずるものがあると思ったので、このシングルに入れるしかないと思ったんです。
――昨年9月にインタビューさせてもらった際、「最近は人を大切にする気持ちを書きたい」「どうすれば人を大切にできるのか」「どう自分を開いていけばいいか、どう閉ざしてどこまで隠していいのか」といったことを曲で表現したいとおっしゃっていて。
asmi:え、すごい!
――だから「ずっと」を聴いた時、この曲のことだったのかなと思ったんですよね。
asmi:そうですね。この曲を最初にスマホのボイスメモに入れたのが、たしか9月とかで、まさに「ずっと」を書いていた時に取材していただいていたのかもしれないです。
――そういう気持ちを曲にしたいと思ったのはどうしてだったのでしょう。
asmi:常にいろんな形の恋を書いているけど……たぶん、正直になりたかったのかもしれないですね。この曲は本当に自分に素直になって、「作っていく」ではなくて「生んでいく」というか。心の底からこぼれてきた言葉たちを紡いで曲を作ろうということだけを決めて書いた曲でした。この曲は何も作ってない、私そのものです。歌い出しの〈きみを想うと涙が少しでるの/悲しいとかじゃなくもっと/私の中でも特に柔らかい気持ちが/温もって顔を出すから〉は特に、何も考えずに生まれましたね。今見てもいい歌詞だなと思います。
――本当に。しかも〈時々人とはこわいものと思うから/閉ざす心/開かずしても既にここに居てくれたみたい〉とか、リコの心情を歌ってるというふうにも捉えられるなと思って。
asmi:おお! やっぱり被るところがあるんやなあ。
――〈きみの肩に落ちた涙のシミ ハートなのかおしりか桃かそれともなんなのか〉もすごくasmiさんらしいなと思いました。
asmi:(笑)。やっぱりそれが私なんですよね。ただただ真っすぐはいけないというか。私には遊び心とか、いたずら心が常にあるので……うーん、いや、いたずら心じゃないねんけどなあ。普通に思ったんですよね。〈きみの肩に落ちた涙のシミ〉をイメージした時に「ハートみたいやなあ……あ、おしりみたいやなあ」って(笑)。「ここで〈おしり〉とか入れたらちょっと面白いかな」みたいな計算とかも特になく、頭に浮かんだからそのまま書いちゃった感じです。
――それがasmi節ですよね。整ってる中に、この1行があるかないかで曲の印象が結構変わると思って。愛とか温もりの尊さを美しく歌っている中で、最後に「クスッ」となれるし、泣き腫らしたあとに笑い合ってる感じが思い浮かぶというか。
asmi:たしかに! そうや、笑わせたかったのかもしれないですね。この曲の1行目を書いた時に自分も涙がポロッとなったし、聴いてくれた人が最後にちょっと笑えたらいいなと思って入れました。それはちょっと思ってたかも。
――「ずっと」では、「ドキメキダイアリー」「PAKU」とはまた違う歌い方をされていると思ったのですが、そのあたりはいかがですか。吐息のニュアンスとかまでグッと伝わってくるような、人間味が溢れる歌だと感じました。
asmi:そうですね、たしかに歌い方は全然違いますね。想いが丸ごとそのまま伝わるように、自分をさらけ出して歌おうと思ってました。
――「ずっと」で他に気に入っているポイントはありますか?
asmi:1番のサビで〈おかえり今日も頑張ったねってハグして/離れないでそのままでいて 今変な顔してるの〉って、〈変な顔してる〉という言い方をしたのはお気に入りです。号泣してる時ってまあブサイクやし見られたくないから、ちょっと待って、そのままでいて、今変な顔してるの、って。こうやって書けてよかったです。
「“形”としてそばにいられることに安心した」
――大きく分けると、asmiさんの中では「自分をさらけ出した、書きたいと思って書いてしまう曲」、「ソングライターとして、作ろうと思って作った曲」、「誰かから提供されて歌う曲」の3つがあるという感覚ですか。
asmi:そうですね、たしかに。作ろうと思って作った曲は楽しんで歌えるんですけど、「ずっと」とか、他にもその類に当てはまる「例えば」とかは、歌うのが楽しいというよりも自分の身を削って歌う感じで。自分をさらけ出さないと歌えないからこそ、削れていく部分もあったりして。だからこそ大切な曲なんですけど。そういう違いはたしかにあります。3種類ですね。
――「ずっと」「例えば」みたいに自分を削って歌う曲は、伝わり方も違うという実感がありますか。
asmi:あります。ライブでやった時に、聴いてくれる人たちの表情が変わったりするのを実感します。
――3種類の中で、これから特に力を入れていきたいのはどれでしょう? それとも全部?
asmi:このままごっそりいきたいです(笑)。全部楽しんでやらせてもらっているので。「作ろうと思って作った曲」はファンタジーも含まれていたりするので、「提供していただいた曲」と、ジャンルとしては一緒かもしれないです。「自分をさらけ出した、書きたいと思って書いてしまう曲」だけちょっと独立してるのかもしれない。
――楽しい曲と、自分をさらけ出して削って歌う曲と……まあ、楽しい曲もある意味身を削ってはいるんだろうけど、削り方がちょっとまた違うみたいな感じですよね。
asmi:その通りですね。
――大事な3曲が1枚にコンパイルされたシングルになったと思うのですが、今作はデジタルとCDでリリースされています。そもそもasmiさんにとってCDとはどういうものですか?
asmi:シングルとしては初めてCDでリリースするんですけど、今回出してみてまたちょっとイメージが変わりました。普段「asmiの曲に元気づけられています」と言ってくれるみんなのもとに、CDという“形”でそばにいられることに、逆に私が安心したというか。形であるかないかって、全然違うと思うんです。これがみんなのものにあるということは大丈夫だって、根拠のない安心を得ることができました。お子さんたちがCDで手に入れてくれたということは、大人になってから発掘してもらえる可能性があるので、今はまだ「ずっと」の曲の意味がわからないと思っていても、いつか大人になって聴いた時にこのCDが特別になることを祈っています。
――次は、どういう曲を書きたいモードですか?
asmi:2023年は「SNSを通じて出会ってくれた人たちに会いにいくぞ」という気持ちでライブを回っていたんですけど、応援してくれる人たちの存在を直接感じて、もうちょっと力になりたい、もうちょっと強い存在になりたいと思ったんですよね。恋の曲だけじゃなくて、「日常がちょっと疲れた」ということを書いた「fu〜」みたいな曲もまた書いていきたいなと思っています。応援してくれる人の存在を改めて一人ひとり実感したので、みんなが力を抜いて休みたい時に聴ける曲とか、ちょっと心を軽くできるような曲もまた書けるようになりたいです。
■リリース情報
asmi feat. Chinoz『ドキメキダイアリー』
2023年5月31日(水)発売
CD購入
https://asimi.lnk.to/DokimekiWN
ストリーミング&ダウンロード配信
https://asmi.lnk.to/8p5s74WN
・完全生産限定盤:¥6,600(税込)
CD+アクリルスタンド(テレビアニメ「ポケットモンスター」のイラストを使用)
・期間生産限定盤:¥3,190(税込)
CD+BD(テレビアニメ「ポケットモンスター」ノンクレジットオープニングを収録)
・通常盤:¥2,310(税込)
CD
<CD収録内容>
1. ドキメキダイアリー
2. PAKU
3. ずっと
4. ドキメキダイアリー Anime Size
5. ドキメキダイアリー Instrumental
6. PAKU Instrumental
7. ずっと Instrumental
■ライブ情報
『asmi special live 「Wonder Closet」』
11月23日(木)東京・LINE CUBE SHIBUYA
開場17:00 開演18:00
11月26日(日)大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール
開場16:00 開演17:00
<チケット料金>
指定席(一般)、チケット代:¥6,600(税込)
指定席(学割)、チケット代:¥5,500(税込)