aimi×JASMINE「日本でもR&Bは死んでいない」 シーンへの愛と反骨心を剥き出しにした初コラボ作『Risk It All』を大いに語る

aimiとJASMINEをつなぐ“姉妹愛”の共通点

――2曲目の「My Girl」は、「Risk It All」制作後に「もう1曲作りましょう」と始まったんですか?

JASMINE:そうです。もともと2曲くらいはやろうかと話していて。

――これもModesty Beatsがトラックを手がけていますが、こちらはリクエスト通りのビートだったんですか?

JASMINE:そうです。最初に私たちが渡したリファレンスに乗っかってました。

――懐かしい匂いがするトラックでした。

JASMINE:2000年代辺りの。

――そう。アシャンティとか。

aimi:クリスティーナ・ミリアンとか。今、UKのFLOのような若くて勢いのある海外のR&Bアーティストたちが2000年代をオマージュしたものを作ってるんですよ。

――ファッションもY2Kリバイバルですしね。K-POPもそう。

aimi:それを日本語でやったのが「My Girl」です。サウンドはどこからどう聴いても2000年代オマージュ。メロディもそこを意識して書いていきました。というか、考えなくてもそうなっちゃった(笑)。

JASMINE:子供の頃から聴いていたものをやっただけ(笑)。

――2000年代のR&Bは二人の青春時代にどんぴしゃでしょ?

aimi:そう。青春時代。大好きでした。私たちからすると、これはめちゃナチュラル(笑)。

――歌詞はどのように作っていったんですか?

aimi:JASMINEさんが「aimiちゃんって二人姉妹だよね」って、私がインスタに載せてた妹と映ってる写真を見せてくれて。「私も二人姉妹なんだよね」って教えてくれたんです。そこが共通点だっていうことを拾い上げてくれて、じゃあ、次は姉妹をテーマにしようと。

――JASMINEさんはやっぱり名プロデューサーですね(笑)。

aimi:さすがです(笑)。

JASMINE:aimiちゃんって、堅い人に感じてたんですよ。堅物だなって(笑)。

aimi:あはは。

JASMINE:で、どうしたらもうちょっとやわらかくなるかなと思っていて。そのときに姉妹というのは共通のポイントだし、これについて歌ったらナチュラルなところが出るんじゃないかと思ったんです。

――JASMINEさんはお姉さんがいるんですよね。

JASMINE:そうです。私は3つ上にお姉ちゃん。

aimi:私は4つ下に妹。

――JASMINEさんのヴァースに出てくる〈君〉はお姉さんのこと?

JASMINE:そうです。お姉ちゃんをイメージして書きました。

aimi:私は妹に向けて書いてるんです。ただ、書いたあとに、妹が思ってることと姉が思ってることはいつも完璧にマッチしてないんだなと思って。

――姉妹にもよるんじゃないですか?

aimi:私と妹はチームみたいな関係性だったんですね。仲良しという次元とかではなく、私は妹を守りたいって思ってたんです。だけど、妹は別に守られたいと思ってなくて。むしろ「aimiは無理をしすぎちゃうからこういうときは私が力を貸すね」みたいなことを言ってくれたり。守り・守られじゃないんですよね。そこで思いがマッチしてないというか、お互いに支え合っているような関係性なんだなって。

JASMINE:私もめっちゃチームだけど、お互いにないものを補い合ってるような感じ。私は守ってもらってる側ではあるんですけど、守ってくれてるなっていうよりは「姉ちゃん、すげえな」って。

aimi:それ、妹にすごく言われる(笑)。

――しっかり者という意味で「すげえな」っていうこと?

JASMINE:そう。

aimi:お姉ちゃんって「私がお姉ちゃんだから」って思ってるんですよ。だけど「お姉ちゃんだから守ってあげるね」とは言わなくて、その思いを行動で示してるだけ。それを見て妹は「お姉ちゃんに守られてるわ」とは思ってなくて、「頼りになるわ」とか「すげえな」みたいに思ってる。それは妹によく言われます。

――ただ、この曲のJASMINEさんのヴァースを読むと、お姉さんと喧嘩しているように見えるけど?

JASMINE:喧嘩してる時期があったんですよ。私が中学生のときに反抗期になっちゃって、そうなった私を受け入れられないお姉ちゃんみたいな。

aimi:あったー、それ(笑)。

JASMINE:私が高校生になったくらいで、お姉ちゃんとは仲直りしたんですけど、干渉してくるっていうんですか。お母さんが二人いる、みたいな。

aimi:あぁ、耳が痛い(笑)。ごめんね。仰るとおりです。

JASMINE:けど、それって私の1個1個に責任を感じてくれてたんだなって思うから。たぶん長女だから突っ走ってるんですよね。

aimi:それもよく妹に言われる(笑)。

JASMINE:「前を走らなきゃいけない」みたいな思いに駆られているというか。

――私が引っ張っていかなきゃ、みたいな。

JASMINE:そう。私は妹なんで、わりといつもリラックスしてるんですよ。安心しているというか。で、後ろから全部見えてるんですよ。突っ走ってる親と姉の姿が。それを後ろから冷静にずっと見てる妹という感じでした。そういう生活をしてきたからaimiちゃんにはアドバイスしやすいんですよね。

――姉妹がお二人の共通項だったわけですが、今回の楽曲制作を通じて、他にも「私とここが似てるかも」と思った部分はありますか?

JASMINE:声だね。

aimi:そう。びっくりしました。「Risk It All」も「My Girl」も声を重ねて混ぜたときにどっちがどっちかわからなくなるポイントが出てくるんですよ。曲を聴いていただければ、いちばんわかる。

――声の成分が似てるんですか? 発声が似ているんですか?

aimi:発声だと思います。声の出し方。音域で言うと、私は結構低いところがふくよかで、JASMINEさんはパワフルな高音が出るので違う声だと思ってたんです。だけど、二人で同じ帯域をユニゾンで歌ったら「あれ、すごく似てるな」っていう発見があったんですよね。

JASMINE:ピッチに到達するまでのスピードが一緒なんだと思う。

aimi:今の若い人はオートチューンをかけるから、しゃくらないじゃないですか。すぐにピッチに当てる。そういう音楽を聴き慣れている若い子たちが曲を作るとピッチの当てが早くなる。でも、私たちの青春時代のR&Bは、下から当てに行く。そういう曲をいっぱい聴いてきたので、そのボーカルスタイルがベースにある二人が、こういう曲を歌うと同じになるっていう。

――じゃあ、反対に「ここは違うな。ここは似てないな」っていうところは?

JASMINE:性格(笑)。

aimi:基本的に全部違います。全部反対だと思う(笑)。

――そこはやっぱり姉と妹っていうこと?

JASMINE:完全にそうだと思う。あまりにも姉妹愛が強い同士だから、そこで養われた性格がバキッと出てる。THE姉。THE妹みたいな(笑)。

aimi:あはは。わかりやすく出ちゃう。でも、それが良さ。

JASMINE:たぶん姉同士、妹同士だと面倒くさい。まとまるものもまとまらなくなる可能性があるから(笑)。

aimi:そういう意味で言うと、今回は性格が違って良かったです(笑)。

R&Bシーン全体にアグレッシブさを 『STAY READY』で目指したいこと

――前回の取材時、aimiさんは夏に自主イベント『STAY READY』を開催すると話していましたが、どんな内容になりそうですか?

aimi:去年の1回目はライブイベント色が強くてDJタイムとかがなかったんですけど、今回はDJも入れて、もう少しR&Bパーティみたいな感じなるんじゃないかと思っています。夏だし、パーティ色を強めていきたい。R&Bのアーティストを応援したいし、その人たちと手を取り合うためのイベントにしたいです。

――JASMINEさんは、aimiさんのこういう動きや姿勢をどう見ていますか?

JASMINE:すごい行動力だなって思います。ここまで音楽以外のところを頑張れるアーティスト、しかもR&Bで、いないじゃないですか。

――裏方的な立ち回りができる人が。

JASMINE:そう。みんなこういう動きに刺激を受けて、それぞれが新しい行動が取れるようになっていけたらまた変わってくるのかなと思います。私が思うに、R&Bアーティストってアグレッシブさがないんですよ。ヒップホップやロックのアーティストは何がすごいってアグレッシブなんですよね。あと、R&Bってちょっと音楽すぎる。音楽として硬派すぎるんですよ、たぶん。

――どういうことですか?

JASMINE:歌が上手くなきゃできないとか、R&Bをよく知ってないとできないとか、音符がわかってないとできないとか、敷居が高い。でもヒップホップって、気合いが入っていればたぶん誰でも始められるんですよ。

aimi:でも、そこが大事な部分だもんね。

JASMINE:極端に言ったら下手でもいいし、ともすればそれが味やキャラになったりする。けど、R&Bをやる人たちって、もうちょっとまっすぐにいろんなことを受け止めちゃう。扉を自ら閉ざしちゃってる人が多い印象。だから、いろんな考え方ややり方があるんだっていうことを理解した方がいいし、そういうのもR&Bに必要なんだと思う。

aimi:それはあると思うな。

JASMINE:『BreakingDown』のオーディションに出てくるような気持ちというか。恥をかいてダサい自分をさらけ出してでも売れたいっていう、あのハングリー精神。形はなんでもいいと思うんです。やれば何でもいい。萎縮して何にもやらないという人が多いから。

aimi:あと、私は、誰かがやってくれるのを待ってる場合じゃないと思ってるんですよね。だから自分でイベントを催して、私の思いに共感してくれる人たちと繋がりたい。それはリスナーもアーティストも関係者も。共感できないんだったら無理にとは思わないんです。今すぐ参加しなくていいし、いつかこれが良い形になったときに「一緒にやりたい」という人がいたらやればいい。そこはすごくオープンに考えてるんです。

――なるほど。

aimi:「私、R&B好きなんだよね」「あなたもここにいるっていうことはR&B好きなんでしょ」っていうことをみんなで集まって体感する場所があまりに少ないから。私はそこから生まれる音楽の力を信じてるんです。それはリスナーだけじゃなくて、アーティストの自意識の部分も変えてくれると思うから。「これだけR&Bが好きな人がいたんだ」っていうことでもっと曲を作る人もいるだろうし、「こんなアーティストがいたんだ。コラボしてみたい」っていう人もいるだろうし、「R&Bって死んだと思ってたけど元気にやってるな」って思う関係者もいるかもしれない。だから、リスナー、演者、関係者が一堂に会することが大事だと思っています。それが『STAY READY』で目指したいことなんですよね。

aimi × JASMINE コラボシングル「Risk It All」

■リリース情報
New Single「Risk It All」
アーティスト:aimi, JASMINE
収録曲:M1. Risk It All M2. My Girl
発売日:2023年7月12日(水)
ダウンロード・配信:https://orcd.co/riskitall_aimiJASMINE

■リリース記念対談映像
リリースを記念して制作を振り返った対談映像が前編・後編、それぞれのYouTubeチャンネルにて公開。また7月15日(土)20時にはYouTube生配信が行われる。

・前編のプレミア公開リンク(JASMINE YouTubeチャンネル)
https://youtu.be/qzJCSKJBZOs

・後編のプレミア公開リンク(aimi YouTubeチャンネル)
https://youtu.be/6ki65_L1vYk

・YouTube生配信 7月15日(土)20時〜
https://youtube.com/live/xPzmWx6JK4o?feature=share

■関連リンク
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