安田レイ、ビルボードライブ東京で見せた10年間での進化 溢れる熱量とともに届けた歌声

 安田レイのデビュー10周年記念ライブ『Rei Yasuda 10th Anniversary Special Live "Turn the Page"』が、7月3日、ビルボードライブ東京で開催された。デビュー曲「Best of my Love」をリリースしたのがちょうど10年前のこの日であり、まさに特別感溢れる一夜となった、記念すべきステージの模様をお伝えしよう。

 筆者が見た2ndステージが幕を開けたのは20時30分。ドラムス、ベース、ギター、キーボードの4人からなるバンドメンバーに続いてステージに上がる安田レイ。この日が特別な日だということを強く感じさせる、華やかなピンクのドレス姿にファンの期待はさらに高まる。最初に披露されたのは「Just for you」。“あなた”との新しい始まりを歌う曲であり、安田がこの日のライブに込める思いが伝わるような選曲だ。続く2曲目も2ndアルバム『PRISM』収録曲「Tweedia」。この日の会場によく合う、「大人モード」のバンドアレンジが、10年の月日を経て成熟した主役の歌声を際立たせていく。

 「デビュー10周年のライブに皆が集まってくれて、すでにもう胸がいっぱいです」。最初のMCでそう客席に伝えると、「us」「フォゲミナ」「blooming」とアップテンポの曲を3つ続けた。手拍子で応える客席との一体感も心地よく、会場は盛り上がりを見せる。近年の2曲に挟んで、1stアルバム『Will』収録の「フォゲミナ」を披露したのは、「夢に向かい、何度でも立ち上がろう」というこの曲の歌詞が、やはり今の安田の心情にあらためてフィットするからなのだろう。

 「20代前半は、常に完璧であることを追い求めすぎていた。28、29歳になってようやく、いつも完璧である必要はないと思えて、完璧であることを追い求めないようになり、ようやく気が楽になりました。ライブも、その日ならではの、その瞬間の私を、みんなも感じたいでしょ?」。そう吐露した2度目のMCに続けた「赤信号」は、3rdアルバム『Re:I』収録の、彼女が愛するR&Bスタイルの曲に初めて挑戦したもの。この日のセットリストが、“この特別な日に歌いたい曲”、“安田レイの10年の歩み、さまざまな作風を余すことなく伝えられる曲”からなっていたことが特に察せられた選曲だ。ピアノをフィーチャーし、ジャジーなバンドアレンジで歌われた「赤信号」は深みのある歌声が印象的だった。

 続く「Not the End」は、最近のライブではハイライトの一つとなっている曲。今の安田のソウルフルな歌声と、メロディ・曲調との相性が抜群で、この夜も圧巻の歌声で魅せてくれた。この後の「きみのうた」も含めて、特にスロウ〜バラードでの表現力は10年間で大きく進化したことを実感させられた。

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