櫻坂46、SUPER BEAVER、SEKAI NO OWARI、佐藤千亜妃、ジェニーハイ……6月28日リリースの新譜5作をレビュー

 毎週のリリース作の中から注目作品をレビューしていく連載「本日、フラゲ日!」。今回は6月28日リリースの櫻坂46『Start over!』、SUPER BEAVER『儚くない』、SEKAI NO OWARI『ターコイズ/サラバ/バタフライエフェクト』、佐藤千亜妃『BUTTERFLY EFFECT』、ジェニーハイ『ジェニークラシック』の5作品をピックアップした。(編集部)

櫻坂46『Start over!』

 冒頭は鮮烈なスラップベース。さらに足を踏み鳴らす音とギターフレーズ、濃密なグルーヴをたたえたトラックが加わり、楽曲全体がドライブしはじめる。藤吉夏鈴がセンターを務める表題曲「Start over!」は、一瞬でリスナーの耳を惹きつけ、中毒性のあるメロディに巻き込んでいく、独創性と大衆性を併せ持ったナンバーだ。ロック、ジャズ、ラテンなどを融合したサウンドメイク、大胆な転調やクラシカルなピアノを挿入する展開など、音楽的な意匠にも注目してほしい。共通カップリング曲は、山下瞳月がセンターの三期生楽曲「静寂の暴力」。繊細で切ないピアノ、抑制の効いたエレクトロ系トラック、“静寂のなかの自己との対話”をテーマにした歌詞のコントラストが美しい。(森)

櫻坂46『Start over!』

SUPER BEAVER『儚くない』

 「名前を呼ぶよ」「グラデーション」に続き“SUPER BEAVER×東リベ”のコラボレーションが実現した。映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』主題歌として制作された「儚くない」は、生々しいバンドサウンドに加え、ピアノや弦楽器などを取り入れたミディアムバラード。人と人の関係は永遠に続くわけではなく、必ず終わりを迎える。大切な人を失うのはもちろん怖い。しかし、我々は悲しみや痛みを受け入れながら生きていくべきなのだーーそんな普遍的なメッセージが渋谷龍太(Vo)の声を通し、真っ直ぐに突き刺さってくる。カップリングには「グラデーション」のアコースティック・バージョンを収録。楽曲の本質を剥き出しにする演奏に心を強く打たれる。(森)

SUPER BEAVER「儚くない」MV (映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』主題歌)

SEKAI NO OWARI『ターコイズ/サラバ/バタフライエフェクト』

 軽快なギターのカッティング、洗練されたポップネスを感じさせるメロディ、ジャズとソウルを行き来するメロディが一つになった“セカオワ流シティポップ”「サラバ」(作詞:Saori/作曲:Nakajin)、Saroiがメインボーカルを担当するカントリー調のナンバー「バタフライエフェクト」(作詞/作曲:Saori)は、ドラマ『わたしのお嫁くん』の主題歌とオープニング曲。さらに、バグパイプの音色で幕を開け、骨太にしてしなやかなベースライン、気持ちよく歪んだギターととともに前進する「ターコイズ」(作詞/作曲:Fukase)を収録したキャリア初のトリプルA面シングル。現在のSEKAI NO OWARIの音楽的な多様性と豊かさ、あらゆる人を置いていかない普遍的なメッセージ性を存分に体感できる作品だと思う。(森)

SEKAI NO OWARI「サラバ」

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