THE BACK HORN、アジカン、ACIDMAN……キャリアバンドは過去楽曲をどうアップデートする? 原曲と異なる新たな世界観も

 キャリアの長いバンドが過去作品/楽曲をリアレンジし、改めてリリースすることも珍しくはない。何故、彼らは“名盤”“名曲”と呼ばれる作品のリアレンジにチャレンジするのだろうか。

 1998年に結成したTHE BACK HORNは、今年25周年を迎えることを記念し、アルバム『REARRANGE THE BACK HORN』をリリースした。これまで発表してきた12曲を新たに編曲し、原曲とは異なる作品として生み出した。例えば、「罠」は、大人たちへの反抗心を剝き出しにした猛々しい楽曲であるが、今アルバムではメロウで妖艶な雰囲気となっている。つまり、原曲とはテイストが全く異なり、聴き手の想像力が掻き立てられることで、新たな世界観が生み出されているのだ。一方で、山田将司(Vo/Gt)の歌声は原曲と同様に、心からの叫びを体現したような荒々しさが垣間見える。THE BACK HORNの根底にあるものは依然変わってはいないということを示しているようだ。7月に開催が予定されている『THE BACK HORN「KYO-MEIワンマンツアー」~REARRANGE THE BACK HORN~』では、古くからのファンは楽曲のさらなる進化を、新たなファンは彼らの目指している本質を目撃することができるだろう。

THE BACK HORN「罠」MUSIC VIDEO
THE BACK HORN 「罠(Rearrange)」MUSIC VIDEO

 リアレンジアルバムに挑戦しているのはTHE BACK HORNだけではない。ASIAN KUNG-FU GENERATIONも2008年にリリースされたアルバム『サーフ ブンガク カマクラ』の完全版を7月5日にリリースする。『サーフ ブンガク カマクラ』は、江ノ電の駅名を冠した楽曲を収録したコンセプトアルバムである。元々同作は後藤正文(Vo/Gt)が音楽性のルーツとしているOasisのメロディ進行やWeezerなどに代表されるパワーポップに振り切ったアルバムで、ファン人気が高い。今作は、既存曲の再録版に、リリース当時に楽曲になっていなかった江ノ電の残りの駅をモチーフとした新曲5曲を加え、完成した。原点に立ち返りながらも、15年前とは異なる音作りと、年を重ねて洗練度が増した完全版に期待が高まる。

ASIAN KUNG-FU GENERATION 『西方コーストストーリー』Music Video

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