ももいろクローバーZ 高城れに、笑顔の裏には苦悩の連続「このまま続けても意味あるのかな」 自問自答の末に見つけた答え

「どんなことがあっても自分は幸せでいようって思う」

「“アイドル=笑顔”って、そういうことなんじゃないかなって。まぁ、これは自分の中で勝手に『アイドルとはなにか?』ということを追求したときに出てきたものなんだけど」

 高城れには、雑誌『Quick Japan vol.112』(2014年/太田出版)のなかで、ももいろクローバーZの一員として、誰かが自分の幸せに気づくきっかけを与えたいと語っていた。同インタビューではさらに「ちゃんと内面的な部分もしっかりしていないと、本当のアイドルになれないと思う」と続けている。

 アイドルとはなんなのか? それは高城がずっと自問自答しているテーマではないだろうか。書籍『ももクロ流 5人へ伝えたこと 5人から教わったこと』(2014年/日経BP)でも彼女は、当時メンバーだった早見あかりの脱退を受けて「あかりちゃんが言った『自分はアイドルに向いてないから辞める』という言葉がすごく引っかかりました。改めて、自分たちってアイドルなんだって思って」と実感し、さらにザ・ドリフターズやプロレスの要素を振り付けに取り入れた楽曲「Chai Maxx」を歌ったときに「これってアイドル? って思ったんです」と戸惑いがあったと明かしていた。どちらの言葉も「アイドルとは?」を模索する高城らしさが感じられるものである。

【ももクロMV】Chai Maxx / ももいろクローバーZ(MOMOIRO CLOVER/Chai Maxx)

苦悩の日々——「本当はももクロを続けたくないと思っていた」

 高城はもともとアイドルを、ももクロを長く続けたいとは思っていなかったという。ライブでも「オチ担当」になったことに対しては「あの頃は本当にイヤだった」と、偏ったイメージをつけられることに心配が募り、さらにはじめはリーダーを務めていながら途中で百田夏菜子にその役割が変わったことについては「すごいショックでした」「いつ『辞めなさい』って言われるかって、ビクビクして、過ごしていました」(『ももクロ流』)と当時の落胆を振り返っている。

 そういったことも重なってか、「自分の居場所はここではないのかもしれない」と考えることも多かったはず。しかも、マネージャー兼プロデューサーの川上アキラ曰く「ベースが人見知りなんですよ。マジメな性格だし、周りに気配りもできるんだけど、場面によっては『もっと出ていけ』と思うことはあります」「たとえ出て行きすぎたとしても、怒られるだけ、(テレビだったら)使われないだけなんですから。出て行かなかったら、向こうだって使いようがない」と、人一倍引っ込み思案な性格。たしかに、たとえば『Quick Japan vol.95』(2011年/太田出版)のインタビュー記事を読み返しても、高城の発言数、言葉数は他のメンバーに比べて極端に少ない。あまりに「前に出てこない」ためか、インタビュアーは高城を名指しして質問し、なんとか彼女から発せられる言葉を引っ張り出そうとしている印象もあるほどだ。

 従来からあるアイドル像に沿っているとは決して言えなかった高城は、「高校を卒業する前まで、本当はももクロを続けたくないと思ってたから、実は大学に行くプランを勝手に進めていたんですよ」「歌もトークも人前で喋ることもいつまでも慣れないから、このまま続けても意味あるのかなって」(『Quick Japan vol.112』)と早い段階で見切りをつけようとしていた。

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