新しい学校のリーダーズ、まとまりながらもはみ出すメンバーの個性 独創性に富んだ4人の武器
名振付師が驚愕「そんな踊り、あるんや」
そんなグループを形作っているのが、メンバーの個性である。前述したように活動当初はそれほどメンバーのパーソナリティは表に出されていなかった。ただ、それぞれの個性がうかがえるようになってから、グループもどんどん良くなっていったように思える。
MIZYUは小学生からダンスを習い始め、小学6年生の頃にはきゃりーぱみゅぱみゅのバックダンサーもつとめるように(※3)。そういった確かな実力と実績がグループの土台になっていることは間違いない。また実際に接してみて、グループのあり方を冷静に見ているようにも感じられた。
KANONは、TikTokへの動画投稿を担当していることもあって、ある意味、グループのバズを生み出した立役者と言っても良い。ただバズを狙っているのではなく「とにかく純粋に観てほしい動画を選んで更新している」と話していたことから、感性が抜群に良いのではないか(※4)。
RINはヒップホップ好きの家庭で育ったというバックボーンを持ち、一挙手一投足が音楽的(※5)。またインタビュー時「マーベルの映画が好き」と語っていたが(その影響で何度も「フェーズ」という言葉が飛び出していた)、その好みの傾向が頷けるほど、ダンスなどもダイナミックさがある。
SUZUKAはグループのリードボーカルを担い、前述した「毒花」や、TikTokなどでバズった「オトナブルー」(2020年)では「昭和のにおい」を歌い回しで見事にあらわしている。大阪が出身地とあって関西弁の喋りもおもしろく、また高身長なので存在感もたっぷりだ。
4人それぞれ、とにかくキャラクターが濃い。普通であればまとまりに欠けそうなものだが、まるで『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のように奇跡的なまでの融合を果たしている。それを印象づけるのが、やはり楽曲の振付である。
メンバーが考案しているという振付は、マネしてみたいと思っても一筋縄ではいかないものばかり。たとえば「Pineapple Kryptonite」(2021年)では途中、メンバー同士が殴り合っているような寸劇的振付が挿み込まれている。「オトナブルー」は「首振りダンス」と称される特徴的な動きが中毒性を生み、一方でメンバーのアイソレーション能力の高さに驚かされる。2022年10月に大阪で開催されたイベント『アカネクラブぶっかまLIVE vol.2』では、イベントの主宰であり、”バブリーダンス”の振付も担当したakaneが、あまりに特殊な振付の数々を目の前に「そんな踊り、あるんや」と驚愕。「4人ともダンスが上手すぎる」と絶賛していたほどだ(※6)。
4人が一つにまとまらなければ、一級品のテクニックかつ唯一無二な振付は完成しないはず。彼女たちがグループとして作用している要因は、そうやって成し遂げるべき「物事」があるからではないか。ただ、それでもやはり「はみ出す」ほど強烈な個性が各自から放たれている。まとまりながらもはみ出している――。これが、新しい学校のリーダーズが現在の音楽シーンにおいて際立った活躍を見せることができている理由だ。
※1、2、4:https://spice.eplus.jp/articles/314654
※3:https://neutmagazine.com/interview-atarashiigakko-mizyu
※5:https://neutmagazine.com/interview-atarashiigakko-rin
※6:https://spice.eplus.jp/articles/308944
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