乃木坂46、“継承と革新”によるアンダーライブの新たな始まり 個々の力強い成長でエネルギッシュなステージに
今回のアンダーライブはダブルセンター制ということもあり、伊藤率いる青組(伊藤、黒見、佐藤、冨里、中西、矢久保、吉田)、林率いる赤組(林、池田、小川、奥田、北川、阪口、清宮、向井)の2チームに分かれて楽曲披露するブロックを用意。伊藤による圧巻のソロ歌唱で客席が湧き上がる「音が出ないギター」、センターの吉田が気迫に満ちた表情を見せる「命は美しい」、林の情熱的なボーカルが観る者を惹きつける「ショパンの嘘つき」、阪口が艶やかな表情とダンスで魅了する「ごめんねFingers crossed」が矢継ぎ早に繰り出され、曲間はダンストラックでつなぐなどしてノンストップな演出に。そして、「ありがちな恋愛」で2組が勢揃いして以降は、センターの佐藤が荒々しい煽りで場を盛り上げる「狼に口笛を」、向井が中心に立って会場の空気を掌握する「13日の金曜日」で、ライブはこの日何度目かのハイライトを迎える。
ライブ中盤にはユニットブロックも用意され、ここでは黒見を中心に池田、冨里、矢久保という組み合わせによる「Out of the blue」、北川&林がラップパートのみならず歌唱パートまでをもこなす「アトノマツリ」、5期生の小川が早くもセンターを務め、阪口や佐藤、清宮、向井といった先輩たちが脇を固める「もしも心が透明なら」、伊藤や奥田、中西、吉田と安定感の強いメンバーが揃った「パッションフルーツの食べ方」と、個性的な組み合わせ&楽曲を連発。バラエティ方面で注目される機会が増えた黒見が可愛らしさに全振りしたかと思えば、『新・乃木坂スター誕生!』(日本テレビ系)や過去のアンダーライブでの経験を見事な形で反映させた北川&林の輝き、グループ最年少ながらも大人びた表情で観客の目を釘づけにした小川、伊藤&吉田という先輩に負けず劣らずのボーカルワークを見せた奥田&中西ら5期生の躍進ぶりなど、(もちろん、ここに挙げられなかったメンバーも含め)一人ひとりの急成長ぶりがダイレクトに伝わる貴重な場となった。こういったうれしい発見が豊富にあるのも、アンダーライブの醍醐味と言える。
ライブ後半は清宮の笑顔が楽曲と見事にマッチした「自惚れビーチ」を筆頭に、新旧アンダー楽曲のオンパレード。声出しが解禁されたことで新たな魅力を生み出すこととなった「口ほどにもないKISS」や、北川&矢久保がかつて見せたことのない、切なくも情熱的な表情とパフォーマンスで場の空気を一変させた「嫉妬の権利」、1年前の座長公演を経てより逞しく成長した佐藤が自信みなぎるダンスを提示する「届かなくたって…」、普段は柔らかな空気を纏う日常から一変して鬼気迫る表情で全身全霊のパフォーマンスを叩きつける「日常」など、原曲の空気を引き継ぎつつも、現メンバーの魅力を強く打ち出した形に更新されていることにも気づかされる。そして、今回のアンダーライブで伊藤とともに座長を務める林が、「アンダーライブはうれしいとか楽しいだけじゃなくて、不安とか焦りとか悔しさ、プレッシャーを全部パフォーマンスに乗せられる場所だと思っていて。もしそれが私たちからの一方通行なものだとしても、気づいたら皆さんは私たちの気持ちをいつの間にか受け止めちゃっている、そんな強い力がアンダーライブにはあると信じています。だから、皆さんにはひとときもこぼさずに、私たちの気持ちを受け取ってほしいです」とメッセージを伝え、メンバー一人ひとりのソロパートで歌いつなぐ「誰よりそばにいたい」でライブ本編を締め括った。
アンコールでは「そんなバカな…」「ガールズルール」「乃木坂の詩」の3曲が披露され、ここでライブは終了したかと思われたが、メンバーの気合い溢れるパフォーマンスを受け取った観客のクラップと声援が鳴り止むことはなく、これに応える形で「ロマンスのスタート」をダブルアンコールとしてプレゼント。こうして2時間半近くにおよぶ、新体制による初のアンダーライブは大成功のうちに終了した。
過去のアンダーライブの特徴を踏襲しつつ、3〜5期生ならではの見せ方が随所に散りばめられた『32ndSGアンダーライブ』は、結果として「伝統を継承しつつも新たなものを生み出そう」とするメンバーの前向きさが伝わる、新たなスタートにぴったりな内容だったのではないだろうか。1〜2期生からのバトンを受け継ぎ、グループを牽引しようとする3期生、もはや新人とは言わせないほど堂々とした姿を見せつけた5期生、その先輩後輩の間に立ち自分たちならではの視点でグループをまとめようとする4期生。このパワーバランスを保ちつつ、乃木坂46のさらなる進化に期待したい。
■セットリスト
乃木坂46『32ndSGアンダーライブ』
4月27日(木)東京ガーデンシアター
01. 新しい世界
02. マシンガンレイン
03. 左胸の勇気
〜Overture〜
04. さざ波は戻らない
05. ここにいる理由
06. あの日 僕は咄嗟に嘘をついた
07. 音が出ないギター
08. 命は美しい
09. ショパンの嘘つき
10. ごめんねFingers crossed
11. ありがちな恋愛
12. 狼に口笛を
13. 13日の金曜日
14. Out of the blue
15. アトノマツリ
16. もしも心が透明なら
17. パッションフルーツの食べ方
18. 自惚れビーチ
19. 口ほどにもないKISS
20. 嫉妬の権利
21. 届かなくたって…
22. 錆びたコンパス
23. 日常
24. 誰よりそばにいたい
<アンコール>
25. そんなバカな…
26. ガールズルール
27. 乃木坂の詩
<ダブルアンコール>
28. ロマンスのスタート
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