YOASOBI、DXTEEN、Aimer、iri、平井大……5月10日リリースの新譜5作をレビュー
Aimer『あてもなく』
4月から放送が始まったアニメ『王様ランキング 勇気の宝箱』(フジテレビ系)のエンディングテーマとして制作された表題曲「あてもなく」。シリーズ第2期にあたるこのアニメには、「ボッジやカゲ、彼らの周りに集いし仲間たちの、知られざる“勇気の物語”が描かれる」というキャッチコピーが授けられており、彼女自身が作詞を手掛けた同曲は、数々の勇気の物語に優しく寄り添う役割を担っている。『王様ランキング』シリーズが謳う大切な要素が勇気の他にもう一つあるとしたら、それは優しさであり、Aimerは、たおやかなメロディにのせて〈笑っていて 笑っていて 強くなくていいんだよ/優しいままの笑顔が 笑顔があればいいよ〉と歌う。彼女の深い願いや祈りが託されたこの歌は、まさに優しさの結晶であり、アニメのエンディングテーマという本来の役割を超えて、リスナーの日々を温かく包み込むような肯定性を放っている。デビュー11周年を経た今もなお多彩な広がりを続ける歌唱表現を示すカップリング曲「空噪wired」「Life is a song」も素晴らしい。(松本)
iri『PRIVATE』
「会いたいわ」(2017年)の驚異的なロングヒット、Sexy Zone「Cream」の楽曲提供などでも話題を集めるシンガーソングライター・iriからニューアルバム『PRIVATE』が届けられた。リラックスしたポップネスと〈どうやらそれほど/悪くないこの世界は〉という前向きな思いが交差する「Season」、切なく、美しい夜の情景を描き出した「moon」、ガットギターの響きを活かしたサウンド、微熱的な恋愛を映し出すリリックが心に残る「boyfriend」など、リスナーの日常に馴染み、心と身体を緩めてくれる楽曲が並ぶ。プライベートかつ内省的な歌詞、音数を抑えたオーガニックな音像、そして、豊かな中・低域をたっぷり含んだボーカルなど、iri本来の魅力がナチュラルに感じられるアルバムだ。(森)
平井大『LOVE+PEACE』
2011年のデビュー当初の楽曲から最新曲まで、これまでのキャリアのなから50曲をセレクトしたベストアルバム。『LOVE』(Disc1)には、愛する人との何気ない日常の素晴らしさを綴った「Stand by me, Stand by you.」、〈You’re 世界一の相方さ〉というラインがSNSで話題を集めた「Buddy」など19曲、『PEACE』(Disc2)には、平井のライフスタイルや音楽観をダイレクトに刻んだ代表曲「Slow & Easy」、『映画ドラえもん のび太の月面探査記』主題歌「THE GIFT」など18曲を収録。『+』(Disc3)には、未来への祈りを込めた最新配信シングル「Symphony」など13曲が収められている。ストリーミングを中心に幅広い支持を得た平井大の軌跡をじっくりと追体験してほしい。(森)