リアルサウンド連載「From Editors」第5回:『仮面ライダービルド』は今こそ観るべき重厚な作品!
「From Editors」はリアルサウンド音楽の編集部員が、“最近心を動かされたもの”を取り上げる企画。音楽に限らず、幅広いカルチャーをピックアップしていく。
第5回は、特撮とメタルが好きな信太が担当します。
涙なしには観られない『仮面ライダービルド』
行楽地がたくさんの人で賑わうゴールデンウィーク、東京キャラクターストリート内にある仮面ライダーストアで買い物をしました。
当日は、令和5年5月5日。ちょうど『仮面ライダー555』(2003年)の20年越しの続編制作が発表されたこともあってか、店内は大盛況。『555』も平成を代表する傑作なのでオススメですが、今回は最近全49話を観終えた『仮面ライダービルド』(2017年)の話をしたいと思います。こちらもとんでもない傑作なので!
主人公・桐生戦兎(仮面ライダービルド)を演じるのは犬飼貴丈さん、その相棒・万丈龍我(仮面ライダークローズ)を演じるのは赤楚衛二さんです。火星から持ち帰られた“パンドラボックス”という物体の影響で巨大な壁が現れ、日本が3つの国に分断されたところから物語がスタート。対立する国家同士で戦争が巻き起こったり、もっと巨大な陰謀に巻き込まれていきながら、仮面ライダーたちが運命を切り拓くために戦いを繰り広げていきます。
本作の奥深さをここで全て語り切ることはできませんが、個人的に好きなポイントをいくつか紹介します。まずは前述の通り、戦争をテーマにした作品であること。『シン・ゴジラ』(2016年)が東日本大震災を強烈に想起させる作品だったように、『仮面ライダービルド』は戦争が再びリアルになった今こそ、もう一度目を向け、考え直さなければいけない作品だと思います。
2つ目は「科学で進化し、愛で強くなる」こと。ビルドのいくつかのフォーム強化(ビルドアップ)は、主人公・桐生戦兎が発明するアイテムによって科学的に行われます。対して、そのフォームを使いこなす強さの指標(ハザードレベル)は、“誰かを守りたい”という熱い気持ちによって上がっていく。その科学的/非科学的な仕掛けのバランスが、非常によかったのです。一貫してシリアスな空気をまとっているものの、各話冒頭のコミカルなあらすじ紹介をはじめ、腹を抱えて笑えるシーンも多数。あらゆる設定の“緩急”も本作の魅力でしょう。
そして3つ目は、キャラクターを引き立たせる演出の素晴らしさ。本作に登場するライダーたちは皆、目の前で大切な人を奪われていきます。そうやって無力感や後悔に襲われ、時には選択を間違えることもありますが、常にそれを正し、自分らしさを思い出させてくれる仲間と過ごすことで、ライダーたちの心にも変化が生まれていきます。敵対したまま死んでしまうことも、ある意味歴代シリーズの魅力なのですが、『ビルド』では手を取り合いながら戦っていくライダーたちの姿に、何度泣かされたかわかりません。
もちろん、これら以外にもさまざまな切り口で語れる『仮面ライダービルド』ですが、脚本・武藤将吾さんの描く重厚なストーリーがとても面白いので、まずはそこを存分に楽しんでほしいです。第22話に大きな感動が訪れますが、それ以前もそれ以降も、1話も見逃せないほど面白く、勢いも止まりません。「仮面ライダーってどこから観たらいいの?」という方にもぜひ、オススメしたい作品です。
記事内には、仮面ライダーストアで購入した『ビルド』のクリアファイル写真を貼っておきます。う〜ん、カッコよすぎる! ニヤニヤしながらゴールデンウィーク最終日を締めくくりたいと思います。
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