たかはし智秋、『ヒプノシスマイク』勘解由小路 無花果を通して届けたいメッセージ コンテンツとしての存在感も語る
『ヒプマイ』で果たすことができた過去へのリベンジ
ーー次に中王区のユニット曲「Verbal Justice」についてですが、こちらもAwichさんによる楽曲ということで、トレーラーが公開されるとファンの皆さんはすごい盛り上がりでした。前回とはまた違うタイプの楽曲ですよね。初めて聴いた時、どう思われましたか?
たかはし:まず、あのAwichさんが楽曲提供をしてくださるなんて……『ヒプマイ』はやっぱり凄いなと思いました。どんな曲になるのか聴く前からワクワクしていましたね! そして聴いてみると……前作の「Femme Fatale」は、中王区の名刺的な、“ザ・敵の女達が出てきたぞ!”というような登場曲のイメージでしたが、この「Verbal Justice」は、その敵の女達が一体何をするのか、真の目的は何なのかという、中王区のより深い部分に焦点を当てているような気がしました。「Femme Fatale」は〈右へ左へ〉。「Verbal Justice」では〈中王へ〉。というように、歌詞にもそれが反映されているのかもしれません。まだまだ謎が多い中王区ですが、ストーリーや世界観が進むに連れて、楽曲も今までとは違う展開になっているのかなと。そして、Awichさんが、中王区の世界観をものすごく理解して手がけてくださったのが伝わってきて……本当に感動しました。特に(碧棺)合歓ちゃんの〈合歓の絶妙Flowは空前絶後〉から、無花果様の〈ペスト滅亡 デストラクション〉への韻のバトン。「合歓の」「絶妙」「絶後」と(碧棺)合歓ちゃんが母音「E/U/O」で踏んでいて、無花果様も「ペスト」「滅亡」「デスト」と、同じ「E/U/O」でライミングを引き継ぐという……このアツい展開はまさにプロの技。それだけではなく、一言でインパクトのあるパンチラインを生み出すAwichさん節にも痺れましたね。〈勘解由小路、雑魚を料理 お行儀よく首を洗え〉とか……もう鳥肌がたちました。そう……このように、『ヒプマイ』は本格的なラッパーの皆様に楽曲提供をしていただき、そのキャラクターソングを声優陣がハイクオリティでお届けするという、なんとも尖ったコンテンツ(笑)なので、声優陣はラップをものすごく勉強して、練習を重ね、キャラクターソングの域を超える楽曲をいくつも歌いこなしています。本格的なブラックミュージックやラップのジャンルを、アニメ・ゲームの業界に起用するという前代未聞の尖った作品……それがまさに『ヒプマイ』なのです。その尖った画期的なコンテンツを通して、普段はブラックミュージックやラップを聞かない方にはその良さを届けることができて、逆に普段はアニメやゲームに興味のない方にはその良さもお届けすることができるという、文化の広がりも期待できますよね。本当に素晴らしいことだと思います。
ーー『ヒプマイ』は尖っていて、ラップやヒップホップを全力でみなさんが研究して……というお話で気になったのですが、『ヒプマイ』の楽曲には、普段歌われているキャラクターソングとは違う部分が多いのでしょうか?
たかはし:まったく違いますね。求められていることも楽曲も全て。そもそも、アニメソングやキャラクターソングのルーツは、童謡から始まっていて。あとはロック、ポップス、クラッシック音楽のような壮大なイメージの曲など……ジャンルは幅広いですが、『ヒプマイ』で求められているようなブラックミュージック系の曲はほとんどないと思います。なので、その感覚を掴むのがおそらく大変ですね。ここ数年でアイドルコンテンツも多くなってきてだいぶ変わった気がしますが、基本的には、ロックやポップス系の曲が主流だと思います。また、キャラクターソングは、演じる役によって声の出し方、滑舌、トーンが違ってきます。さらに曲調やその作品の世界観によっても様々な対応力が必要なので、意外と難しいですね。そういう意味では、『ヒプマイ』も同じと言えるでしょう。
ーー音楽にキャラクターに乗せる前段階で、それだけの技術が必要なんですね。本当に素晴らしいと思います。次に、今回のCD全体で注目してほしいところや、聴いてほしいところを聞かせていただけますか?
たかはし:なぜ言の葉党ができたのかなど、原作のドラマトラックでは色々と語られていますが、まだ謎の多い中王区。表題曲の「Verbal Justice」で中王区の芯の部分を見せて、それぞれのソロ曲で、各々のあまり語られていなかったプライベートな部分が垣間見えます。このアルバムが出ることで、『ヒプマイ』の世界観に新たな展開が生まれそうな予感がしますよね。
中王区は敵役ですが、私達にも、ヒールになってしまった深い理由があるので、そんなところにも注目して聴いていただけると嬉しいです。
ーー2017年に『ヒプマイ』が始動してから約6年。着実にファンを増やしていって、キャラクターも増えて関係性や裏側が少しずつ明らかになって……と、独自の世界を広げていったと思うのですが、演じられているたかはしさんは今『ヒプマイ』という世界をどのように感じていらっしゃいますか?
たかはし:ユニット活動や様々な企画、キャラクターソングなど……声優として、今まで色々な歌を歌わせていただきました。もちろん、私の希望でブラックミュージック系の曲も歌う機会はありましたが、私にその才能がなかったのと、昔はルーツの違う曲は好まれず、制作側の理解も得られませんでした。あれから20年……時代は変わり、『ヒプマイ』のようなコンテンツがヒットする世界がやってくるとは……とても感慨深いです。そして、ありがたいことに、私は今も、奇跡的に声優として活動させていただいていて、こうして『ヒプマイ』というコンテンツとご縁をいただき、20年前にできなかったことをリベンジする機会にも恵まれて……本当に感謝です。人生、何があるかわかりませんね。
また、今はラップコンテンツがたくさんあり、キャラクターソングはもちろんですが、男性も女性も、声優さんがグループでラップをやる企画が増えています。『ヒプマイ』が他のコンテンツと違うところは、先ほども語らせていただいた、“尖った存在感”だと思います。本格的なラッパーの皆様に楽曲提供をしていただいて、声優陣も、キャラクターソングの域を超えた楽曲に切磋琢磨しながらもカッコ良くラップをしていくというストロングなスタイルは『ヒプマイ』ならでは。女性声優さんが演じるキャラクターソングでフィメールラッパーの方々に楽曲提供をお願いするコンテンツは、他に類を見ないですからね。これからも、錆びつかないように、ほかとは違う魅力を鋭角に磨きながら、良い意味で尖り続ける『ヒプマイ』の世界を、楽しみにしていきたいと思います。
ーーライブの開催が近く、ファンの皆さん楽しみにしていらっしゃると思います。意気込みをお聞かせいただけますか?
たかはし:ライブに出演させていただくのが約2年ぶりということで、少々緊張しております。中王区は本来、敵のヒール役なので、パフォーマンスをするような立場ではないと思うのですが、皆様が応援してくださり、このような機会をいただきました。各ディビジョンを推しながら……中王区も無視できない……というこの鬩ぎ合いも、『ヒプマイ』の醍醐味かもしれませんね。今回は、碧棺合歓役の山本希望ちゃんが出られないので、彼女の分も、東方天乙統女役の小林ゆうちゃんと一緒に、中王区の役目をしっかりと果たせるように頑張ります!
■リリース情報
『Verbal Justice』
発売:2023年4月12日(水)
価格:2,500円(税込)
【収録内容】
M1:Verbal Justice/中王区 言の葉党
作詞:Awich 作曲:Awich, Chaki Zulu 編曲:Chaki Zulu
M2:Just do it/東方天乙統女(CV.小林ゆう)
作詞:MARIA 作曲:A.G.O・MARIA 編曲:A.G.O
Strings Arrangement : Kyoshi Ikegami Violin:Mio Abe
M3:No Pain, Not to be Strong/勘解由小路無花果(CV.たかはし智秋)
作詞:大門弥生 作曲:SUNNY BOY・大門弥生 編曲:SUNNY BOY
SUNNY BOY for TinyVoice,Production
M4:Independence day/碧棺 合歓(CV.山本希望)
作詞:あっこゴリラ 作曲:あっこゴリラ・Nobuaki Tanaka 編曲:Nobuaki Tanaka
M5:Drama Track「No one lives forever」
CAST:東方天 乙統女〈CV.小林ゆう〉 勘解由小路 無花果〈CV.たかはし智秋〉 碧棺 合歓〈CV.山本希望〉 天谷奴 零〈CV:黒田崇矢〉 飴村 乱数(クローン)〈CV.白井悠介〉
※初回製造分のみ
「スペシャル透明ジャケット(3枚重ね)」「中王区ロゴ型ブックレット」付属
購入:https://hpmi.lnk.to/chuoku1st
■イベント情報
『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- 9th LIVE ≪ZERO OUT≫』
日時:
2023年4月15日(土)開場/開演 15:30/17:00
2023年4月16日(日)開場/開演 14:30/16:00
会場(両日):東京有明アリーナ 〒135-0063 東京都江東区有明1丁目11-1
出演:木村昴、石谷春貴、天﨑滉平、浅沼晋太郎、駒田航、神尾晋一郎、白井悠介、斉藤壮馬、野津山幸宏、速水奨、木島隆一、伊東健人、岩崎諒太、河西健吾、黒田崇矢、葉山翔太、榊原優希、竹内栄治 、小林ゆう、たかはし智秋、DJ-UICHI
DAY1ゲスト:大門弥生、あっこゴリラ
DAY2ゲスト:Awich
https://hypnosismic.com/special/hm9thzo/