何より、時に満面の笑顔で、特に眼光鋭く歌うKUMIの表情を、ステージ上のカメラを通して間近で観られるのも貴重。ファルセットと地声を巧みに使い分けながら歌う「Shadow Behind」の声のニュアンスなど、映像も込みだとその唯一無二さがより伝わってくるし、「Good To Me」で踊る姿など彼女のチャーミングな一面を垣間見ることもできる。

　また、こうして映像作品で観て改めて気づくのは、ここ最近のLOVE PSYCHEDELICOは民族楽器を積極的に導入し、それをロックミュージックのフォーマットで鳴らすことによって、これまでにないサウンドスケープを追求しようとしていることだ。前述した「Free World」のウォッシュボードもそうだが、「Carnation」では深沼がブズーキを、松本がマンドリンを、そしてNAOKIがアコースティックギターを用いて、アコースティックだがどこか異国情緒あふれるアンサンブルを奏でていたのが印象的だった。

　そして本作のハイライトは、やはりNAOKIのギターソロ演奏「Good bye moon」から、「neverland」へとなだれ込む演奏だろう。寄せては返す波のように緩急を繰り返しながら、じわじわと盛り上がっていくアンサンブルと、声を振り絞るようにシャウトするKUMIのボーカルが圧巻だ。

　他にも、NAOKIとKUMIが向き合いながらギターをかき鳴らす場面や、高桑と深沼が美しいファルセットボイスでコーラスをする場面など見どころはたくさんあるが、一つひとつ説明していくのも野暮だろう。ともあれ、こんな素晴らしい音響で鳴らされる素晴らしいパフォーマンスを自宅で楽しめるのはとても贅沢。家族や友人とワイワイ観るのもよし、ヘッドフォンで音の隅々まで堪能するのもよし。現場に足を運んだ人も、そうでない人もLOVE PSYCHEDELICOファン必見の1本だ。

■リリース情報
『Live Tour 2022 "A revolution” at SHOWA WOMEN'S UNIVERSITY HITOMI MEMORIAL HALL』
2023年3月29日（水）発売
【Blu-ray】￥6,600（税込）
【DVD】￥6,600（税込）
【LIVE CD】￥3,630（税込）

＜収録曲＞
1. It’s not too late
2. It rains
3. Shadow behind
4. Carnation
5. Almost Heaven
6. Hallelujah to you
7. You are the reason
8. Good to me
9. Milk and honey
10. Swingin’
11. Your Song
12. Free world
13. Good bye moon ～ Neverland
14. Last Smile
15. Radio song
16. Calling You
17. Lady Madonna～憂鬱なるスパイダー～
18. A revolution
En1. Everybody needs somebody
En2. Freedom

■ツアー情報
『LOVE PSYCHEDELICO Live House Tour“LIVE PSYCHEDELICO 2023”』
5月14日（日）福岡県　福岡DRUM LOGOS
5月16日（火）愛知県　名古屋DIAMOND HALL
5月18日（木）東京都　恵比寿LIQUIDROOM
5月24日（水）北海道　札幌PENNY LANE24
5月31日（水）大阪府　心斎橋BIGCAT

チケット：前売￥6,900（税込）
オールスタンディング / 整理番号付き/ 未就学児入場不可 / 全会場ドリンク代別途必要