『KNOTFEST JAPAN』開催前に知っておきたいSlipknotのライブにまつわるエピソード クレイジーさの裏にある揺るぎない信念

ライブとマスクの精神性

 Slipknotにマスクという要素は欠かせない。時代や作品によって何度もデザインが変わったマスクだが、コリィはマスクをする理由についてこうコメントしている。

「最初にマスクをつけはじめたときは、自分の反骨心や敵対心を引き出すいい方法だと思っていた。演出とも言える。まだ自分たちが何者なのかを知ろうとしていたし、音楽的にも空欄を埋めていく感じだった。でも今では、マスクは全く新しい意味を持っている。マスクは、過去の自分を表すものだ。みんな変わっていくし、進化もする。俺はもう20年前のようなブチギレたクソ野郎ではない。でも俺は“彼”を覚えているし、彼がなぜそうだったのかも覚えている。だからマスクをつけることは、彼の思考回路に戻ることでもある。過去と繋がることは、忘れたいことを思い出すことでもあるけど、それをやることによって他の人を助けることもできる。ファンにとっての初ライブでも、20回目のライブでも、ファンは自分たちが抱えているものを発散できる。自分たちを傷つけるのではなく、自分の気持ちや痛みを叫び出し、発散させることができる」(※4)

Slipknot - "Psychosocial" (LIVE from Day Of The Gusano)

コスプレしたファンだと勘違いされる

 Slipknotのライブにはメンバーのコスプレをしているファンも見受けられるが、セキュリティがメンバーをコスプレをしているファンだと勘違いして追い出そうした事件は記憶に新しい。

 Slipknotが昨年12月5日に行ったメキシコのグアダラハラ公演で事件は起こった。「Spit It Out」のブレイクで観客に座ることを要求するおなじみの流れであるが、その最中にセキュリティは、2019年に正式加入したパーカッショニストのマイケル・ファフ(通称:トルティーヤマン)本人をコスプレしたファンだと勘違いをし、力ずくで会場から追い出そうとしたようだ。トルティーヤマンはもちろん抵抗したが、ショーンが怒るまで、セキュリティとの取っ組み合いは続いた(※5)。

Slipknotのライブでは定番のコスプレしたファン(Knotfest Roadshow, Barclays Center, New York, USA - 20 May 2022)

 創設メンバーの死や脱退を乗り越え、デビュー時から所属したRoad Runner Recordsからも去り、葛藤しつつ、今でもそのエネルギーをステージにぶつけているSlipknot。彼らが織り成す狂気のスペクタクルは、人生で一度経験しておくべきライブとも言えるだろう。

※1、3、4(筆者訳)https://youtu.be/jqsW3_4D-RQ
※2(筆者訳)https://www.revolvermag.com/music/sid-wilson-i-became-member-slipknot-headbutting-clown-show
※5(筆者訳)https://www.revolvermag.com/music/slipknot-see-security-mistake-tortilla-man-fan-and-try-eject-him-show

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