ファンタスティック☆パイセン×四千頭身「卒業あるあるのうた」対談 それぞれが卒業したいこととは?

 まほパイセンと、ももパイセンによるファンタスティック☆パイセンが、2月15日に「卒業あるあるのうた」をデジタルリリースした。ファンタスティック☆パイセンは、YouTube Shortsでアップした「あるある替えうた」が話題となり、YouTubeの総再生回数が2億回を突破。2021年にデジタルシングル「他力 HongGung」でアーティストデビューし、2022年にはファッションイベント『超十代』や、フジテレビ『Love music』などにも出演するなど多方面で活躍している。

 そのファンタスティック☆パイセンによる初のレギュラーラジオ番組『パイセンみるく』(FM FUJI)が、2月4日からスタート。今回リアルサウンドでは、そのファンタスティック☆パイセンと『パイセンみるく』がスタートするきっかけとなったラジオ番組『四千頭身の四千ミルク』のパーソナリティを務める四千頭身との対談を企画した。『四千ミルク』にファンタスティック☆パイセンがゲスト出演したエピソードから「卒業あるあるのうた」にちなんだ「卒業」をテーマにしたトーク、お互いの魅力について語り合ってもらった。(編集部)

リアルを求めて作詞しました(ももパイセン)

――去年9月、ファンタスティック☆パイセンは、お笑いトリオ・四千頭身のラジオ番組『四千頭身の四千ミルク』(FM FUJI)にゲストで初登場し、今年2月に同番組で2回目の共演を果たしました。初めて番組に出演した時のことは覚えてますか?

まほパイセン:信じられなかったですよ! 本当に本当に!

都築拓紀(以下、都築):いやいや! 毎週誰かしらゲストに来るし、ビッグゲストが来る番組でもないし。

ももパイセン:私たちは「あ、本物だ!」と思ったよね。

まほパイセン:うん! 出演するのは憧れだった。

後藤拓実(以下、後藤):(怪しげな目で見て)それは嘘だよ。

まほパイセン:本当ですよ! だからすごく嬉しかったです。

――2度の共演を振り返って、印象に残っていることはありますか?

後藤:(ファンタスティック☆パイセンは)ずっとふざけてますからね。

都築:話してる内容だけじゃなくて、存在自体にインパクトがありましたよ。

――読者のために説明しておくと、ファンタスティック☆パイセンは世界地図に載っていないパイセン島の住人なんですよね。

まほパイセン

まほパイセン:その通りです!

――だいぶ思い切った設定というか、なんというか。

ももパイセン:事実ですから!

まほパイセン:設定とかじゃないんでね! 本当にパイセン島はありますから。

都築:そんなこと言ってるけど、今日は南青山で取材してるから。

後藤:前回の放送で聞いた話だと、パイセン島には遊園地があるんですよね? その遊園地に行ってみたいんだよな。

まほパイセン:ぜひ遊びに来てくださいよ。

石橋遼大(以下、石橋):今日行けると思っていたんですけどね。

まほパイセン:この後でよければ行けますよ! 空いてるので! パイセン島の駅ビルに美味しい居酒屋さんができたらしくて。

後藤:駅ビルがあるんですか?

石橋:何駅なんですか?

ももパイセン:(まほパイセンと顔を見合わせて)……パイセン寺駅前。

まほパイセン:それです!

ももパイセン:他にもNewDaysと立ち食いそばがあって。

後藤:ほぼ新橋じゃん!

都築:終始こんな感じで、番組中も「変な人だな」と思いながら絡んでましたね。

――ゲストコーナーが終わった後、お三方で「嘘つき女性ボーカルグループだ」と言ってましたね。

後藤拓実

後藤:ゲストで嘘つきってあんまり来ないよね。

都築:年齢を言わないとか黙秘する人はいるけど嘘つきは……(笑)。たまに「永遠の15歳」みたいな人は来るけど、ずっと嘘つきっていうのはなかなかね。

後藤:あとブレないっすよね、フォームが。

まほパイセン:事実をお伝えしているだけなので、ブレようがない。

都築:こういう系のアーティストで一番プロ意識が高いんじゃない? 小倉優子さんのこりん星以来だよ、こんな本気の人は。

ももパイセン:ラジオのエピソードで言うと、最初に出演させていただいた時、「私は生まれてこのかた、一度も椅子に座ったことがない」と言ったんですよ。

石橋:(ももパイセンを指さして)いやいやいやいや!

都築:完全に着地しちゃってるけど。

ももパイセン

ももパイセン:今日初めて座ったんですよ。

後藤:あ、でも部屋に入った時は確かに立ってたわ。

都築:ラジオでリモート出演した時は、バストアップしか見えていなかったけど「下半身は浮いてる」と言ってたんだよな。

まほパイセン:クラスでも一人は浮いてる子っているじゃないですか。

都築:存在感って意味ではね! 

石橋:本当に浮いてる子はいないから。

ももパイセン:その椅子の話だけで初登場の出演シーンの前半が終わっちゃったのが印象に残ってます(笑)。

石橋:まほパイセンは?

まほパイセン:初めて出演させていただいた時に、パイセン島のことを知ってもらえたし、何より私たちの虜になっちゃったんじゃないかなって。

後藤:正直そうですね。話を聞いていて、ワクワクするんですよ。

都築:絵本の世界みたいで、次のページをめくるのが楽しみなんだよな。

後藤:ゲストゾーンが終わった時に、夢から覚めた気持ちになるんですよ。

都築:「アレって何だったんだろう?」みたいな。

――出演後に反響はありましたか?

まほパイセン:ありました! 一番の収穫は『四千ミルク』に出演したことで、私たちのレギュラーラジオ番組『パイセンみるく』(FM FUJI)が決定しまして。

後藤:どういう経緯だったんですか? 突然だったじゃないですか。

まほパイセン:突然でした。

都築拓紀

都築:じゃあ誰が動いたんだよ(笑)。誰が動いて番組ができたの?

まほパイセン:住職パイセンっていうお偉い方がいるんですよ。

後藤:住職パイセンにファンタスティック☆パイセンを有名にする命を受けて、地球に来たんだもんね。それでTikTokを始めて、いろんなことをしてね。

ももパイセン:そう! めちゃめちゃ覚えてくださってる!

――両番組の関係性はどうなっているんですか?

後藤:それこそ『四千ミルク』の放送中に『パイセンみるく』のCMが流れるんですけど、そこで「某番組の姉妹番組」と言ってたんです。……なんで隠してんの? 

まほパイセン:番組名を明かすと、いろいろ問題があるみたいなんで。

都築:じゃあ、姉妹番組って謳っちゃダメだよ! 姉妹番組を謳うなら番組名を言わないと意味わかんないから。もはや「名前は言えないけど、みんな聞いたことがある人だよ」みたいな犯罪者の扱いじゃん。

まほパイセン:最後まで某番組って言い続けます。

――ファンタスティック☆パイセンが感じる四千頭身の魅力を教えてもらえますか。

まほパイセン:お三方の漫才が本当に大好きで、深夜に観ながら爆笑しているんです。で、後藤さんはお二人にツッコミをする時、絶対に目を合わせないんですよ。腰元を見ながらのツッコミがマジでカッコいいなと思って。私も、ももパイセンの顔を見ないようにしようと決めました。

後藤:こっちは人見知りなだけだからね。

都築:実は、俺も人見知りだからずっと目が合わない。

まほパイセン:なんで漫才中に人見知りしてるんですか(笑)!

後藤:それでも、たまに目が合うことがあって。そしたら笑いが止まらなくなっちゃうんだよね。

都築:ラジオ中は普通に喋れるんだけど、漫才中は笑っちゃうんだよな。立ってる時の(後藤のほっぺたを指さして)この辺とか笑っちゃう。

後藤:たまに石橋を見るんですけど、パッて見た時にこいつがめっちゃ俺を見てる。それがもう怖くて。

石橋:パッと顔を向けるから目が合っちゃっただけで、僕も目を合わせてる気はないです。

まほパイセン:事故みたいな。

都築:そう! お互い事故らないようにしてるのよ。

――ももパイセンはどうですか?

ももパイセン:YouTubeで四千頭身さんがZARDさんの「負けないで」を歌っていて。そこに「石橋さんがずっと判子を押しながら歌ってる」ってコメントがあって。どういうこと? と思って観たら、本当にそういう動作をしてるんですよ。で、途中から都築さんも判子を押してたんですよ。じゃあ後藤さんも押すのかなと思ったら……押さないんですよ!

後藤:え、何? 魅力を聞かれてるんだよね?

石橋遼大

石橋:後藤の裏切りが良かったんだね。

ももパイセン:あとは、いろんなネタを観て「前半に畳みかけるな」とかめちゃめちゃ好きです。

――四千頭身のお三方が感じるファンタスティック☆パイセンの魅力は?

後藤:やっぱり嘘の瞬発力じゃないですか。

都築:そうだね。堂々として焦らないっていう。

後藤:本当のことを教えてほしい時ってあるじゃないですか? そういう時にちゃんと教えてくれそうな感じはありますよね。テープレコーダーが止まったら全部聞きたいんですよ。

――本当はどうなんだっていう(笑)。

ももパイセン:本当とかないですからね。

まほパイセン:もはや全部をお伝えしてます! テープが回ってるから、とかじゃないですから。

ももパイセン:停止しても絶対に“ブラさない”!

まほパイセン:ブラさないも違うから!

都築:肝が座ってんだよね。これで一周しようとしてる感じ。「これで行こう!」「これで出て行ってやろう!」って自信に満ち溢れている。そこはすごいよね? 俺らも乗っかれるだけ乗っかろうと思います。

後藤:変に自分を持ってるミュージシャンより全然やりやすい。

一同:(笑)。

都築:「俺はこういう世界観なんで」みたいなのを素でやってる人よりも、これだけ作ってきてくれる人の方がね。

後藤:むしろ嬉しいよね。

まほパイセン:作ってないですから!

――そんなファンタスティック☆パイセンは、音楽活動を通して10代から20代前半の女性を中心に人気を集めています。中でも、YouTube Shortsに投稿した『あるある替えうた』がバズり、チャンネルの総再生回数は2億回超えを記録しているそうで。

まほパイセン:きっかけはTikTokでした。日常のあるあるを集めて、それを流行りのJ-POPで替え歌にしていたんです。作詞はももパイセンが書いてくれていて、そこから派生して生まれたのがオリジナル曲「校則あるあるのうた」でした。

【MV】ファンタスティック☆パイセン - 校則あるあるのうた

――今年2月には「あるある替えうた」第二弾の「卒業あるあるのうた」をリリースされましたね。

石橋:この歌詞も、ももパイセンが書いたんだね。

後藤:作曲と編曲の本田光史郎さんはパイセン島の人?

都築:これは……パイセンがついていないから関係ないよね?

――今、厳しい検閲が始まりましたけども。

ももパイセン:ま……地球の方ですね。ちょっとお力をお借りして。

後藤:地球の方に?

まほパイセン:やっぱり地球でリリースするには、地球人の力を借りないといけないので(笑)。

都築:あー、なるほどね。

ももパイセン:歌詞はどうですか?

都築:(歌詞を見ながら)うんうん、こういう人たちは確かにいたなって感じがする。

後藤:「校則あるあるのうた」とまた違うというか。ラストサビ前の〈いつか思い出した時/素敵な日々だったなと/誇れるほどのいい過去ばかりじゃ/なかったとしても/後悔しない青春を最後まで!!〉がすごくいいですよね。

ももパイセン:嬉しい! 泣かせにいきました。

都築:ちょっとエモくしようとしてるよね。

まほパイセン:まさに「エモおもろい」をテーマにしています。

後藤:この歌詞があるとないとでは、曲の印象がだいぶ違うと思いますよ。

都築:「うわ、自分もやってたな」と思ったのは〈最後の通学路感慨深い/なんとなく写真撮る〉。俺、1時間半かけてチャリで学校に通っていて、茨城を跨いで千葉まで通学していたのよ。卒業式の日に、思わず千葉県突入と茨城県突入の看板を携帯で撮っちゃった。

まほパイセン:まさにじゃないですか!

後藤:この曲で言ってること、なんとなく全部分かるな。〈最後のHRなんかエモい/先生の話もエモい/教室の匂いもエモい〉とかね。その後の〈もういっそのこと住みたい〉は思ったことないけど。

一同:(笑)。

石橋:とはいえ、共感できる部分はありますよ。

ももパイセン:ありがとうございます! リアルを求めて作詞しました。

後藤:女性が聴いたらもっと共感するんでしょうね。

都築:〈第二ボタン貰いたい…/けどやっぱり制服/ブレザー〉とかね。

石橋:俺らもブレザーでしたよ。

まほパイセン:私たちもブレザーでした!

後藤:あ、パイセン島もそうですか。

まほパイセン:地球の文化を取り入れてました。

石橋:何て名前の学校だったんですか?

まほパイセン:(ももパイセンと顔を見合わせて)パ……パイセンハイスクールです!

後藤:それ予備校でしょ?

まほパイセン:パイセンエレメンタリースクール、パイセンジュニアハイスクール、パイセンハイスクール、今はパイセンユニバーシティに通ってます。

石橋:あ、エスカレーターなんだ。

まほパイセン:そうですそうです。

後藤:嘘つかないでくださいよ。『パイセンみるく』と言ってること違いますよ。

まほパイセン:え、聴いてくださっているんですか!?

後藤:聴きましたよ。

まほパイセン:え……鳥肌立ってます!

後藤:まほパイセンは受験でしたもんね?

まほパイセン:受験でした!

後藤:ももパイセンは指定校推薦って思いっきり言ってましたよね。

ももパイセン:うふふ。

石橋:うふふ、じゃないですよ(笑)。

卒業あるあるのうた - Official Audio【2023年2月15日配信】

――ちなみに、ファンタスティック☆パイセンが思う「卒業あるあるのうた」の聴きどころは?

まほパイセン:メロディがエモいです。サビの〈振り返れば…〉とか〈花束とか貰いたい…〉とか〈第二ボタン〉も同じ音程で、そこがエモいったらありゃしない。

都築:曲調がギャグっぽく仕上がってるわけじゃないですもんね。曲としてはちゃんとJ-POP調になっている。

ももパイセン:そうなんです! 私が思う聴きどころは、〈第二ボタン貰いたい…〉とか〈花束とか貰いたい…〉とか〈貰いたい〉が被ってるところ。あと〈振り返れば〉には2つの意味があって、過去を振り返るのと、物理的に後ろ振り返る。これが浮かんだ時は、決まったなと思いました。

後藤:お、すごいじゃないですか。

都築:同じ作詞家から見ても、うまいことやってますか?

後藤:素晴らしいですね。

都築:後藤さんもロッソ・ビ・アンコの楽曲「ヒカゲ」と「空想」を書いてますからね。

後藤:(ライターの目を見ながら)……こっちの宣伝もお願いしますね。

――かしこまりました(笑)。でも、ロッソ・ビ・アンコは後藤さんと瓜二つの別人ですよね。

後藤:いえ、僕が曲を作って歌ってます。

都築:パイセン島みたいな設定を早めに諦めたんだよね。

後藤:半年ぐらいでね。

まほパイセン:こっちは設定じゃないですから! 危ない危ない!

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