日本デビューで話題沸騰中のLE SSERAFIM、新世代K-POPを牽引する理由 世界的反響や楽曲&パフォーマンスから考える

 韓国デビュー曲の「FEARLESS」はずっしり響くベースのリフとグルーヴィなリズムが繰り返される、ファンクベースのオルタナティブポップジャンルの曲だ。2曲目「ANTIFRAGILE」はヘヴィなラテン調のリズムで進むアフロラテンスタイルのポップソングで、繰り返される〈antifragile〉のフレーズが中毒性の高い曲だが、いずれも起伏が少なく聴こえるビート&ベースに、同じフレーズの繰り返しとフラットなボーカルが乗るという特徴がある。起承転結が激しくない代わりにBGMとして飽きにくい、欧米圏でのイージーリスニング的な近年のポップソング傾向を反映したような楽曲と、パワフルで難易度の高いパフォーマンスが今のLE SSERAFIMならではの特徴と言えるだろう。

 韓国の年末に行われる授賞式や歌謡祭では毎回異なる編曲やコンセプト構成を披露するなど、ダンスパフォーマンスには定評がある。以前、「V LIVE」(現「Weverse Live」)の配信で明らかになったLE SSERAFIMの練習生時代のスケジュールは、ジャンピングジャック連続100回、バーピージャンプ25回4セット、コア運動3セットなどを連続して行った後、すぐにライブおよび振り付け練習をするというものだった。これを朝10時から深夜2時頃まで1日2回以上繰り返し、1日12時間を超えるトレーニングを受けていたという。

 カムバック前には毎週、HYBEの議長であり、統括プロデューサーであるバン・シヒョクが振り付け練習をモニタリングするというが、自らが手掛けてきたボーイグループと比較しても難易度が高く、パワフルなパフォーマンスに驚嘆したという。パワフルさとダイナミックさを持つ独自のパフォーマンスは、このようなストイックな肉体改造と練習量に裏づけられたものなのだろう。

LE SSERAFIM (르세라핌) ‘ANTIFRAGILE’ Special Performance Video

 「恐れ知らず」の名前を背負いながらも、曲を通してネガティブな経験も含めた「自分たちの話をする」というのは、繰り返しメンバー自身が語っていることでもある。特に楽曲制作にも関わるYUNJINがリリースした最初の自作曲「Raise y_our glass」にはデビューする前の経験とデビュー直後の感情が込められており、今年1月にリリースしたソロ2曲目の「I≠DOLL」はアイドルとしてデビュー後に新しく遭遇したことに対する考えが盛り込まれた曲だが、外見に惑わされて内面の価値を見失ってしまう人に伝えたいことを歌に盛り込んでいる。

 近年ますます競争が激しくなっているK-POPの世界だが、特に女性グループは新人同士でも群雄割拠の状態と言える。デビューして即その一角に切り込んだLE SSERAFIMは、他のグループとはかぶらない新たな魅力と強みを持って現れた。新世代を牽引する一員として、今後の活動から目が離せない。

LE SSERAFIM 日本オフィシャルサイト

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