三宅健、丁寧なコミュニケーションで寄り添うスタンス 手話習得に象徴されるファンを大切にする姿勢

 振り返れば三宅のファンファーストな姿勢を、最も象徴しているのは手話との関わり方だったように思う。三宅が初めて手話を意識したのは、V6デビュー10周年(2005年)の握手会だった。ろう者のファンから手話で話しかけられたにも関わらず、何を言っているのかどう返せばいいのか全くわからなかったという三宅。しかし、その心残りを放置しないのが三宅らしいところだ。

 区で主催している手話講習会に自主的に参加し、一般の主婦たちに混ざって週に1回講習会に通い始めたのだ。いつかまた手話を言語としているファンに会ったとき、ちゃんと自分の言葉を届けられるように。そんな願いにも近いモチベーションで、多忙を極めながらも手話を学び続けることができるのが、彼をアイドルの鑑と呼びたくなる理由だ。2014年には『みんなの手話』(NHK総合)のナビゲーターにも就任。そこから9年にも渡って、手話を身近なものに感じさせてくれた。ジャニーズに三宅がいることと同じように、『みんなの手話』に三宅がいるのが当たり前と思えるくらい、手話との密接な関係を築いてきた。だからこそ『三宅健のラヂオ』にも番組卒業を惜しむ声がたくさん届いたようだ。ただ、その声は寂しがるばかりではなく、三宅をきっかけに手話を学び「今では手話通訳をさせていただけるまでになりました」「健くんの丁寧に努力を積み重ねてきた姿やまっすぐな心に私は幾度となく背中を押され、今も福祉に携わる職業を目指して、国家試験に向けて日々福祉の勉強に励んでいます」と前向きな気持ちの波及効果を感じさせるものばかりだった。

 三宅も「ろう者の人と関わっていかないと、手話を習得するっていうのは難しいことなんですよ」「TVで観るけど、そのコミュニティーに入っていくのは難しい、ハードルが高いことなんじゃないかと思います」としながらも、「そのなかでも彼女たちは深いところまで学んでいるっていうのが素晴らしい」と喜び、「自分が携わったことで少しでもお役に立てたんだったらよかったなと、長くやってきた甲斐があったなと思います」と語った。

 ろう者であるファンと出会った2005年から実に18年。三宅の手話を通じて感じられる、決して途切れることのないファンに寄り添う心持ちを鑑みれば、彼がこれからどのような形でアイドル活動をするにしても、間違いなくファンを大切にし続けてくれるはず。そう確信が持てる。

 次回2月25日は退所発表後、初のオンエアとなる。三宅はどんな言葉でファンに語りかけてくれるのだろうか。きっとV6が解散を発表した後に、この『三宅健のラヂオ』でその思いをしっかりと受け止めてくれたように。5月2日の退所まで、この番組でファンの想いを抱きしめてくれるのではないか。Twitterで26年前の写真と共に「大丈夫だよ。必ずいつか会えるから」とつぶやいてくれた三宅のこと。また「さすが三宅健」と唸らせてくれるような、心温まるオンエアになるのではないかと期待している。

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