アニメ『大雪海のカイナ』OP&EDのポイントは? ヨルシカとGReeeeN、それぞれの立場から彩る作品世界
現在放送中のTVアニメ『大雪海のカイナ』(フジテレビ「+Ultra」ほか)は、『BLAME!』や『シドニアの騎士』で知られる漫画家・弐瓶勉が原作を務め、それらのアニメーション化を手がけたポリゴン・ピクチュアズによって制作されているオリジナルアニメ作品だ。
舞台は、「雪海」が地表に広がる滅びかけた異世界。巨木「軌道樹」から広がる「天膜」の上に暮らすカイナと、「大雪海」の国アトランドの王女・リリハが出会い物語が始まる。世界そのものが抱える謎や、人々の営み、国同士の争い……たくさんの要素が詰まったファンタジー作品だ。3DCGアニメ制作のパイオニア、ポリゴン・ピクチュアズによる高クオリティな映像が作品に説得力を与え、声優陣の熱演と相まって、美しく上質な作品となっている。
アニメーションにおいて、オープニング曲やエンディング曲と作品のシンクロは切っても切り離せない。映像とのシンクロや、キャラクターの想いを代弁することもある。まだまだ謎の多い本作だが、オープニングテーマのヨルシカ「テレパス」とエンディングテーマのGReeeeN「ジュブナイル」から、この作品のテーマなどを垣間見ることができる。同時に、ヨルシカとGReeeeNという音楽性やアーティストイメージの異なるように感じる2組の共通点も浮かび上がってきた。
「テレパス」は作品のオープニングにふさわしく、聴く者の心を物語と同じ温度にする作用がある不思議な楽曲だ。印象的なピアノのリフを中心に、シンプルな音数だからこそ、ポエトリーリーディングのようなsuisの低音ボーカルがくっきりと浮かび上がり、コンポーザーのn-bunaによる言葉がまっすぐ飛び込んでくる。そこで交わされる会話は、しんしんと積もる雪のような冷たさと静かに熱く燃える想いが両立しており、『大雪海のカイナ』の持つ空気感に近いのである。何かから解放されたように弾けるサビで、力強く歌の真髄が示されるが、多くの人が経験したことのある感情の揺れが繊細に歌われており、聴く者の心にも物語にも寄り添った曲だとわかる。
エンディングテーマであるGReeeeN「ジュブナイル」も、作品に希望を見出せる一曲として視聴者の共感を得ている。ヨルシカとは違ったアプローチで『大雪海のカイナ』に寄り添うキャッチーでポップなメロディは、変わることなく長く愛されるGReeeeNらしさが全面に出ている。エレクトリックな音色や突き抜ける高音のボーカルが心地いい一曲だ。
この曲のタイトル通り、少年少女の背中を押すような前向きなメッセージを内包している。だからといって単純に“若者向けの応援ソング”というわけではない。大人が聴いても少年少女の心に戻れるような、その頃の自分と今の自分を重ね合わせて励まされる巧みな作りとなっている。