『アイドリッシュセブン オーケストラ』はクラシック好きも必見? 制作スタッフ対談と共に紐解く新しいアニメ×オーケストラ表現

『アイドリッシュセブン オーケストラ』の魅力

 2015年にリリースされたゲームアプリを起点に、音楽・コミック・ノベル・アニメ等と様々なメディアにその世界を広げてきた『アイドリッシュセブン』。父親の経営する「小鳥遊芸能事務所」で働くことになった主人公が、所属する7人組男性アイドル IDOLiSH7のマネージャーを担当することになり、彼らをトップアイドルに成長させるために奮闘するストーリーが描かれる。特に2018年に放送されたTVアニメ(1期)でその人気に火が付き、2020年放送の『アイドリッシュセブン Second BEAT!』(2期)を経て、2022年に3期『アイドリッシュセブン Third BEAT!』が第2クールの第27話まで放送され、好評を博してきた(2月9日現在)。

 2020年2月の横浜公演からスタートした、アニメを彩る楽曲を各地のプロオーケストラで演奏する『アイドリッシュセブン オーケストラ』も大きな反響を呼び、2021年には3月の大阪を皮切りに横浜/仙台/名古屋で『アイドリッシュセブン オーケストラ -Second SYMPHONY-』公演を開催。2022年4月には指揮者に西谷亮氏を迎え、新日本フィルハーモニー交響楽団とゲストプレイヤーによる『アイドリッシュセブン オーケストラ -Third SYMPHONY-』公演を大阪と東京で成功させたのも記憶に新しい。

 その千穐楽である4月30日の東京公演(Bunkamura オーチャードホール)の模様に加えて、全曲全景定点映像も収録したBlu-rayがこの度ついにリリースされた。本盤には公演の音楽監督を務めてアイドル達の楽曲をアレンジした三宅一徳氏と、TVアニメの劇伴制作から携わり本公演のアレンジも手掛けた作曲家・加藤達也氏による、特別対談と全曲解説もブックレットで同梱されており、ファンには嬉しい内容となっている。

 プログラムは基本的に3期『アイドリッシュセブン Third BEAT!』のストーリーをたどるように構成。デビュー1周年を迎え、記念のライブツアー開催が決まったIDOLiSH7の7人は、良きライバルである3人グループのTRIGGERや先輩であるトップアイドル・デュオ Re:valeと、しのぎを削りつつもお互いに高め合って華やかな活躍を続けるが、その一方で噂/敵意/臆測/仕掛けられた駆け引きなど芸能界の闇の部分にも翻弄される。

 そんな彼らの想いやそれらをとりまく様々な思惑が複雑に絡み合う人間模様を時にはシリアスに、劇伴を中心にアイドル達の楽曲も交えて紡いでいく流れが見事だ。サウンドも多彩でフルオーケストラを中心に、コーラスやドラム、ギター、シンセサイザー、ピアノ、サックスのゲストプレイヤーも加わり、ポップかつクラシカルな音のドラマが展開。

 どのトラックも聴き応えたっぷり。アイドル達の日常を表現する「fun everyday!」や「Be okey!」といった劇伴曲はオーケストラ編成の厚みと深みでよりゴージャスに。ゴスペル調のバラード「雪混じる熱い誓い」はよりお洒落に、ピアノソロだった「それぞれの夢」は原曲とは違う雰囲気に、「揺れる想い」はカルテットを中心とした小編成にそれぞれが生まれ変わった姿で演奏される。

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