PUFFY、「愛のしるし」や「アジアの純真」がなぜリバイバル? 世の中に求められる“ちょうど良さ”と“親近感”

 昨今より、女性ボーカルデュオ・PUFFYの再評価が高まっている。2022年秋頃からTikTokをひらけば、PUFFYの名曲「愛のしるし」(1998年)にのせて足踏みしながら肘を曲げて横に振るユーザーたちの動画がたくさんオススメにあがってきていた。そんな「愛のしるし」の振付動画は、年を跨いでも根強く見ることができるほど“ロングバズ”を記録。また2023年1月31日より放送されているマクドナルドのCMのなかでは、俳優の西野七瀬と飯豊まりえが期間限定ユニット・アジアのジューシーを結成し、1996年にリリースされたシングル曲「アジアの純真」の替え歌を披露。こちらも話題をあつめている。

 大貫亜美、吉村由美によるPUFFYは1996年、奥田民生プロデュースのもとでCDデビュー。ユニット名は、奥田と親交があり、PUFFYの楽曲も手がける元Jellyfishのアンディ・スターマーの発案がもとになった。日本語で「ふっくら」という意味を持つほか、発音も気が抜けた感じがあって、大貫、吉村が醸し出す雰囲気にぴったりのものだった。

PUFFYが普通の格好でテレビに出てきたときの驚き

 そんなPUFFYがテレビに出はじめたときはなかなかの驚きがあった。特に印象深いのが、『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP』(フジテレビ系)1996年5月27日放送回だ。

 番組初登場となった同回の彼女たちの衣装は、水色のTシャツにビンテージ風のジーンズというラフな格好。当時の女性ミュージシャンとしてはかなり異色だった。MCの浜田雅功(ダウンタウン)から「ほんまに普通の格好させられてんなあ」「プロデューサーもいつも普段着やからなあ」、松本人志(同)も「もうちょっと考えた方が良かったんじゃないですか」とツッコミをいれるほど。さらに一緒に出演した奥田も、プロデュースした理由について「同じ事務所だったから」「歌も(事前に)あまり聴いたことがなかった」と拍子抜けな回答。さらにデビュー曲「アジアの純真」を歌っているときの亜美、由美のスタイルも、脱力気味に体を揺らすというもの。ここで、PUFFYの肩の力が抜けたユルいアーティストイメージが定着したといえる。

 また同番組の同年10月28日放送回では、PUFFYがヒットしたことで「自分たちの冠番組などを持つのではないか」ということが話題に。松本は「『パパパパパフィー』とか」と冗談で口にしたが、1997年に始まった冠番組はそっくりそのまま『パパパパパフィー』(テレビ朝日系)を採用。そういった軽快さやユーモアもPUFFYの印象として刻まれた。

 このように「ユルいアーティスト」「脱力系アーティスト」の代名詞的存在として語られるPUFFY。だが、WEBメディア「withnews」のインタビューで、亜美は「20年間、脱力したことなんて一回もない」、由美も「「もっとやる気を出せ」「頑張りを見せろ」って人もいるかもしれないけど、大丈夫。必死だから。見えてない、見てないだけでしょ」と自分たちのあり方について語る場面も(※1)。脱力したイメージはあくまでまわりがつけたもので、自らそれを肯定も否定もしてこなかっただけなのだ。また駆け出しの頃は当然ながらアーティストとしてできないことも多く、しかし「できない=なにもしていない」という風に見られ、それが「ユルい」「ダラダラしている」とも思われる要因につながったと振り返っている。

 実際に2016年には『非脱力派宣言』というタイトルのベストアルバムもリリース。自分たちに向けられていたイメージに対する、デビュー20年目のアンサーとして受けとることができた。

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