声優・アイドルで進む“マルチタレント化”のメリットとデメリットは? 本業とのバランスが懸念に

 声優の宮野真守が、『ぐるナイ』(日本テレビ系)「ゴチになります!24 」の新メンバーに抜擢、また現在放送中のドラマ『女神の教室~リーガル青春白書~』(フジテレビ系)に出演するなど、様々な分野で活躍している。ドラマ、バラエティはじめ得意分野で活躍するアイドル・声優は今や定番になっているが、“マルチタレント化”に拍車がかかっているようにも思う。今回はそのメリット・デメリットについて少し考えてみたい。

 「ゴチになります! 」新メンバー発表のオーラスはこれまで、田中圭、高杉真宙、松下洸平といった人気俳優が担当してきた枠。歴史あるゴールデンタイムの人気番組の新メンバーとして宮野が迎えられたことは、バラエティ界において新しい波を感じさせた。宮野はバラエティ初レギュラーにも関わらず、早くもレギュラーのNEWS・増田貴久と「マモ」「まっすー」と呼び合うノリの良さを見せ、早くも番組に馴染んでいた。

 元々は、俳優業の傍らに映画の吹き替えやアニメのアテレコをしていた俳優もおり、顔を出すことは珍しいことではなかったが、今のように声優を足掛かりにアイドルやタレント活動を行うのは珍しかった。そういった意味では、1990年代後半から『おはスタ』(テレビ東京系)のMCを務めた山寺宏一が、声優のマルチタレント化へのパイオニアだったようにも思う。2000年代からは、宮野や水樹奈々など声優アーティストが活躍し、2010年からの『ラブライブ!』シリーズなどを経て声優のアイドル・マルチタレント化に拍車がかかっていく。そして最近では、宮野をはじめ、木村昴や津田健次郎など、声の仕事をベースに、タレント・俳優として活躍する声優が増え、新たなフェーズに突入している。

 声優がタレント活動を行うメリットでいえば、アニメなどに興味のある層以外のファンも増え、顔や名前を覚えられることで新たな仕事を得られること。一方で、タレントとして人気が出ると、本業である声優業に専念できないことや、ビジュアルや自身のキャラが先行してしまい、演じる役のイメージが固められてしまう恐れがあること。また、アイドル的な扱われ方をする場合、私生活もアイドル的な態度でないと批判されることもある。マルチな活動を通じて知名度を上げていくことが求められる一方、他の活動をしている間に新たな声優がその席を奪っていく可能性もあり、声優としてのファンは複雑な心境もあるのではないか。

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