Homecomings 福富優樹&畳野彩加に聞く、新たな名曲「光の庭と魚の夢」の誕生 1年に渡り“花束”の言葉とともに届けた思い
『ジョゼ虎』サントラと『BANANA FISH』が曲にもたらしたもの
——曲のアクセントになっているのがストリングスです。ピアノとともにアレンジをくるりの岸田繁さんが手掛けていますね。
福富:みんなでデモを録った時、成美ちゃんがMIDIに打ち込んでいたピアノとストリングスを使ったんです。それはピアノを入れてみたらこうなります、ストリングスを入れたらこうなりますみたいな、雰囲気がわかる程度に入れてくれていたんですけど、それが結構良くて。最初からストリングスを入れたかったんですけど、壮大な感じにしたいわけではなくて、成美ちゃんが入れた音がぴったりだったんです。曲の温度感にも合っていて。レコーディングの段階で、デモのままMIDIで入れてもいいけど、何か他のやり方がないかな、と考えた時に、岸田さんにお願いしたら良いんじゃないかって思いついたんです。
——岸田さんだとロックにもクラシックにも造詣が深いですからね。バンドとの付き合いも長いですし。
福富:(くるりが手掛けた)『ジョゼと虎と魚たち』のサントラが2020年ぐらいにアナログで出たんです。この曲の歌詞を書く時に、それをずっと聴いていたので岸田さんを思いついたのかもしれないですね。
畳野:直接、岸田さんと話をしたのは私なんですけど、曲のイメージを伝えて細かく調整していきました。
——ストリングスが加わったことで、ライブで聴いた時より、さらに映像的な曲になったような気がしました。歌詞について伺いたいのですが、日本語の曲名はHomecomingsには珍しいですね。
福富:最初に「光の庭」「魚の夢」という2つの言葉が、ポンと思い浮かんだんです。その時は、どこから思いついたのかわからなくて。マイノリティとかジェンダーの問題で息苦しく感じるような世界にならないでほしい、という想いを歌にしたいというのは最初からあって、「魚の夢」は息苦しさ。「光の庭」は安心する場所、みたいなイメージなのかなって思っていたんです。それである日、ふと自分の本棚にある(吉田秋生の漫画)『BANANA FISH』が目に入って、「ああ、これも〈魚〉やな」と思って読み直したら、物語が終わった後に、後日談みたいな話があって、その短編のタイトルが「光の庭」だったんです。それはすごく好きな話だったので「ここから来たのか」と気づいて。それで曲のイメージが具体的になりました。
ようやくHomecomingsとしていちばんグッとくるものが見えてきた
——社会的なマイノリティの人たちと社会の関係というのは、近年のHomecomingsの曲で歌われてきたことですよね。昨年発表したシングル曲とこの曲には〈花束〉という言葉が出てきますが、今の世界を息苦しく感じている人たちに捧げた花束のように感じました。
福富:『未来を花束にして』という映画があって、それが去年シングルを出していくにあたってテーマのひとつになっていたんです。この映画は、女性が選挙権を勝ち取るまでの運動を描いていて、その運動のシンボルとして花束が出てくるんです。それがすごくいいなと思って。多分フェミニズムという言葉もない頃の運動だと思うんですけど、時を超えて今のフェミニズムに結びついている、何かを変えたいと思ってやっている運動で、変わることもあれば変わらないこともある。でも、変わらなくても後の時代にちゃんと繋がっていくんだ、という想いはシングル曲すべてに共通して歌われていると思います。花束4部作みたいなイメージははじめからありました。
——そういうメッセージをHomecomingsは自分たちの言葉で歌ってきましたが、今回の歌詞には幻想的な雰囲気が漂っていて、これまでとは少し違った印象を受けました。畳野さんは歌ってみてどうでした?
畳野:私も今までの曲と違うような気がしました。はっきりと言っていないようでいて、メッセージが直接伝わってくる感じがして。歌詞のイメージが映像として浮かびやすいし、ライブで歌っているとお客さんがハッとしているのが伝わってくるんです。私自身、歌っていて気持ちがスッと入っていける。歌っている時に、飛び出して聞こえてくる言葉も多いんです。
——バンドにとって大切な曲が生まれたんですね。今年でデビュー10周年を迎えるなか、こういう曲が生まれたのは大きいですね。
福富:そうですね。これまでは、得意か苦手かわからないけどとりあえずやってみよう、と試行錯誤してきたんですけど、最近、ようやくHomecomingsとしていちばんグッとくるものが見えてきた気がします。
畳野:歌詞が日本語になってから、歌詞のメッセージ性とか気持ちの入り方とか、そういうものをライブで表現するにはどういう方法がいいのかをずっと考えてきました。最近になって、メッセージを伝えるために自分たちがいちばん気持ちよく演奏するにはどうすればいいかが、わかってきたんです。
——そうなると、4月にリリース予定のニューアルバムが楽しみですね。
福富:これまでは時代を見ているというか、こういうのが流行っているからこういう風に料理にしてみよう、みたいな感じでアルバムを出していたところがあって。でも、次の新作ではそういうことは考えず、自分達のことだけを考えて、「これが一番好き!」というのを煮詰めて作ったら結果的に時代を射抜くアルバムになるかもしれない。そんな予感がして、いまワクワクしながら作っています。
■リリース情報
New Digital Single「光の庭と魚の夢」
2023年1月27日(金)リリース
配信:https://lnk.to/hikarinoniwatosakananoyume
■ツアー情報
全国ツアー『Your Friendly Neighborhood Homecomings』
2023年4月22日 (土) 大阪 十三 GABU OPEN17:15 START18:00
2023年4月23日 (日) 名古屋 今池 CLUB UPSET OPEN17:30 START18:00
2023年4月28日 (金) 東京 恵比寿 LIQUIDROOM OPEN18:00 START19:00
2023年6月10日 (土) 宮城 仙台 enn 2nd OPEN17:30 START18:00
2023年6月11日 (日) 北海道 札幌 SPiCE OPEN17:30 START18:00
2023年6月15日 (木) 福岡 the voodoo lounge OPEN18:30 START19:00
2023年6月17日 (土) 石川 金沢 GOLD CREEK OPEN17:30 START18:00
2023年6月18日 (日) 京都 京都 MUSE OPEN17:00 START18:00
【TICKETS】
STANDING 4,500円
学割STANDING 3,300円
https://w.pia.jp/t/homecomings-yfn/
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