ずっと真夜中でいいのに。“完璧なライブ”でアリーナを支配 集大成にして新趣向も満載の『「テクノプア」~叢雲のつるぎ~』

ずとまよ、“完璧なライブ”でアリーナを支配

 そのように限界知らずに進化し続けているずとまよのライブだが、例えば先述したサブステージへの移動で使用された改造チャリは、「コンビニ」がステージセットのモチーフだった2020年の『やきやきヤンキーツアー(炙りと燻製編)』でステージにメンバーが登場する際に使用されたもの(そこからさらにカスタムが加えられていたが)。今回のステージセットのモチーフが今や全国的に絶滅の危機に瀕している「ゲームセンター」であったように、どんなにライブの規模が大きくなってステージセットがゴージャスになっても、ずとまよは「コンビニ」や「ゲームセンター」やそこに集う「田舎のヤンキー」といった、アナログな過去の現実世界の痕跡を残し続けている。あるいは、今回サブステージで演奏した「夜中のキスミ」のMCでACAねも触れていたように、ずとまよの楽曲の主旋律やコード進行がしばしば昭和の歌謡曲をレファレンスとしていること。日本の音楽シーンにおいて突然変異的な存在であり続けているずとまよだが、それでも大衆のニーズと乖離することがないのは、そのバックグラウンドにおいて我々オーディエンスと地続きの文化的原風景を共有しているからだろう。ACAねの世代的には、もしかしたらその一部はバーチャルなものであったとしてもだ。

 そんなノスタルジックな感覚とバーチャルな感覚が入り混じった、ずとまよだけが持つ特別な時間と空間を象徴していたのが、今回アンコールで演奏された「綺羅キラー (feat. Mori Calliope)」で実現したMori Calliopeとの共演だろう。ステージ上でVTuberであるMori Calliopeとのリアルタイムでの掛け合いが展開したのは、LEDのビジョンでも3Dホログラムでもなく、ずとまよのステージでは「打楽器」として欠かせない存在としてお馴染みのズラリと並んだブラウン管の画面を通してだった。今回初めてずとまよのライブを体験した人は、一見カオティックにも見える情報過多なステージセットや衣装、演奏における特殊楽器の役割の大きさ、奇を衒ったかのような趣向の数々に面食らったかもしれないが、それらすべてには意味と意図と理由とストーリーが張り巡らされていた。そうした表現のインテンシティこそがずとまよの凄みであり、そこに到るまでのアナログ的な思索と作業の積み重ねが今回の奇跡のようなライブを実現させたのだ。

■オンライン配信情報
ずっと真夜中でいいのに。
『ROAD GAME「テクノプア」~叢雲のつるぎ~ 解』
・配信日:2023年3月11日(土)19:30配信開始、20:00開演
(リピート配信は24:00から)
・販売期間:2023年2月10日(金)20:00〜3月11日(土)24:00
(見逃し配信や追っかけ再生はなし)

※今回行った公演を配信限定の特別版として、ABEMA PPV ONLINE LIVEで独占配信。当日の会場模様やACAねのゆる解説を含めた配信限定の映像も新たに制作。

配信に関する詳細
https://abema-ppv-onlinelive.abema.tv/posts/40108723

ずっと真夜中でいいのに。公式オフィシャルサイト

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