オーラル×フォーリミ×ブルエン、ロックの聖地で熱狂的なステージ 辻村勇太の渡米を見送った『ONAKAMA 2023』レポ

BLUE ENCOUNT

 高村佳秀(Dr)がバウンシーに鳴らす8ビートに観客が手拍子で応えた「1%」から、田邊駿一(Vo/Gt)のラップ調の歌に辻村がスラップで掛け合った「HAPPY ENDING STORY」、タイトルコールに客席から歓声が沸き、観客も一緒に歌った明朗ロックナンバー「NEVER ENDING STORY」と繋げ、トリを務めるBLUE ENCOUNT(以下、ブルエン)は序盤から大きな盛り上がりを作っていった。そして、「誰がバナナ農園や。こういう日に限って、衣装が黄色って(笑)」とオーラルの山中が張った伏線をしっかりと回収した田邊は「(ここまで)楽しかった? そう。その楽しいという思い出、全部追い越して1位を取りに行きます!」と宣言。その闘志を裏付けるようにバンドはオルタナパンクの「KICKASS」を披露。そこに江口雄也(Gt)がタッピングでリフを閃かせたブルエン流のミクスチャーロックなんて趣もある「LIVER」を繋げると、「今までで一番の『ONAKAMA』の景色を作ろう!」という田邊の言葉に応え、観客がタオルを回しながらジャンプ。大きな一体感が生まれた。そこからさらに「VS」「バッドパラドックス」とダンサブルなロックナンバーをたたみかけるように繋げ、観客を存分に踊らせる。

 「またやろうね。『ONAKAMA』は俺達にとっての大事な居場所です」と弾き語りからなだれこんだ「PLACE」は、アンセミックな展開を持つ2ビートのメロディックパンクナンバー。辻村がベースをバキバキと鳴らしながら披露したソロに田邊の歌と江口のギターが再び重なり、4人の演奏がひとつになる。

「10年ぐらい前に全然お客さんがいなかったライブハウスで出会った3バンドがこうやって武道館を満員にしている。自慢したいわけじゃない。オーラル、フォーリミという仲間とあの頃は想像もしてなかった未来の上に立てていることがうれしい」(田邊)

 その感動を噛みしめるように言葉にしながら、田邊はもちろん、ブルエンの未来について語ることも忘れなかった。

「俺達は4人の新しい未来を考え、4人で考えた新しい道を歩き出そうとしている。最初は不安だった。でも、オーラル、フォーリミという仲間に、さらに心強いことにあなたという仲間が加わった。だから何も怖くない。ここにいる全員で想像もしていない、驚いちゃうような未来に一緒に行きましょう。その約束の曲!」

 田邊が弾き語りで歌い始めた〈灯せよ〉という言葉を受け止めようと、観客全員が手を伸ばした。この日、ブルエンがラストナンバーに選んだのは、「灯せ」。〈灯すよ 時代を 僕らここにいる 君と共に行く〉というパンチラインを持つブルエンのエモいアンセムだ。4人の渾身の演奏に観客が手拍子で応えた。その光景は『ONAKAMA 2023』の大団円のみならず、田邊が言った「想像もしていない、驚いちゃうような未来」をまるで祝福しているようにも思えたのだった。

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