DISH//、Chilli Beans.、女王蜂、YUKI、スガ シカオ……2月1日リリースの新譜5作をレビュー

 毎週のリリース作の中から注目作品をレビューしていく連載「本日、フラゲ日!」。今回は2月1日リリースのDISH//『TRIANGLE』、Chilli Beans.『mixtape』、女王蜂『十二次元』、YUKI『パレードが続くなら』、スガ シカオ『イノセント』の5作品をピックアップした。(編集部)

DISH//『TRIANGLE』

 今回の新作は、DISH//にとって大きな転換点となる作品である。あいみょんからの提供曲「猫」の大ヒットが象徴的なように、DISH//は、この数年で幾度とないブレイクスルーを果たしてきたが、一方で彼らの中には、「自分たちが作った曲で売れてきたわけではない」というコンプレックスがあったようだ。そのコンプレックスを闘志として燃やしながら生み出したのが今作であり、全12曲中11曲の制作にメンバー自身が携わっている。これまで懸命に磨き上げてきた演奏技術、ソングライティング技術が、今作において美しい結実を見せていて、特に、北村匠海(Vo/Gt)が作詞、泉大智(Dr)が作曲を手掛けた「しわくちゃな雲を抱いて」がドラマ『ユニコーンに乗って』(TBS系)主題歌に起用されたことは、彼らにとって大きな自信となったはず。また今作には、メンバーが作詞作曲に加えて編曲も手掛けた「ブラックコーヒー」も収録されており、各メンバーのミュージシャンとしての成熟をたしかに感じ取ることができる。産みの苦しみを何度も味わいながら今作に辿り着いたDISH//は、かつてよりずっと逞しく、しなやかなロックバンドへと進化を遂げた。DISH//の“次の10年”への期待は、ますます高まるばかりだ。(松本)

DISH// - 万々歳 [Official Video]

Chilli Beans.『mixtape』

 コロナ禍で台頭した数多くのニューカマーの中で、Chilli Beans.は瞬く間にしてシーンからの大きな期待と支持を集める存在となった。3人のメンバーが、それぞれ好きな音楽のエッセンスを無邪気に選び取り、それらを大胆に配合したカラフルなロックサウンドはポップな輝きを放っている。そうした既存のジャンルの枠組みをフラットに乗り越えていく独自のミクスチャーロックは、今作においてさらなる自由を獲得した。例えば、盟友のVaundyをゲストに迎えた「rose feat. Vaundy」は、彼女たちのルーツの一つである海外のポップスの影響を色濃く反映したファンクナンバーで、日本の音楽シーンにおけるポップ観を大きくアップデートしようとする果てしない気概を感じる。それは、その他の新曲や代表曲「アンドロン」のリミックスも同様で、今作によって2020年代のシーンにおける彼女たちの存在感は今まで以上に大きなものとなるはず。何にも縛られることなく、自由に、高らかに、自分たちだけの音を鳴らす3人の姿がとても眩しい。(松本)

Chilli Beans. - rose feat.Vaundy (Official Music Video)

女王蜂『十二次元』

 「MYSTERIOUS」(『後宮の烏』オープニングテーマ)、「バイオレンス」(『チェンソーマン』第11話エンディングテーマ)などを収めた約3年ぶりのフルアルバムで女王蜂は、神話的なスケールと市井のリアリティを内包しつつ、生と性を巡る生々しいストーリーを描き出してみせた。本作の奥に分け入れば、そこには人間の業が渦巻いているのが分かるはず。その全てを肯定し、解放するパワーこそが、このアルバムの核であり、女王蜂がたどり着いた最初の境地なのだろう。グッチのスーツにドンキホーテで買ったアクセサリーを合わせたようなサウンドメイク、脳を刺激すると同時に快楽的なグルーヴを直接注入されるようなアヴちゃんのボーカルも最強にして最高だ。(森)

女王蜂『油(OIL)』Official MV

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