木村拓哉ら“キムタク一家”はなぜ特別? ファミリーで芸能界を席巻するタレントパワー
海外ではリアリティ番組の影響で家族全体でのタレント化が定着
ちなみに“一家総出”のかたちで脚光を浴びることは、海外ではいくつか例がある。その背景にあったのは、海外で流行した家族にスポットライトをあてたリアリティ番組。家族も“ビジネス化”させる風潮があったのだ。
たとえば“メタルの帝王”ことオジー・オズボーン、妻のシャロン・オズボーン、次女のケリー・オズボーン、長男のジャック・オズボーンはMTVのリアリティ番組『オズボーンズ』で人気になった(長女のエイミー・オズボーンは出演を拒否していたが、女優として知られていたほか、後に歌手デビューも果たした)。当時、ケリーは放蕩娘として認知され、ジャックもヤンチャ少年として知られるようになった。ジャックは2005年、イギリスの日刊紙『The Sun』のインタビューで「オズボーン家の一員でいる限り、普通ではいられない」「みんなが俺たちをクレイジーだと思っているのはわかってる。まあ確かに、俺たちはそうかもね。」と語っていた(※1)。ロック史にその名を残す父・オジーの印象を凌駕するほど、家族全体がタレント化された。
リアリティ番組『カーダシアン家のお騒がせセレブライフ』などで人気のカーダシアン家も、父親のロバート・カーダシアン、母親のクリス・ジェンナー、子どものコートニー・カーダシアン、キム・カーダシアン、クロエ・カーダシアン、ロブ・カーダシアン、さらにその子どもたちまで脚光を浴びた。家系そのものがタレント化されたのだ。セレブの日常や巻き起こるトラブルがおもしろがられ、「アメリカでもっとも有名な家族」と称されるように。「家族」を大々的に売り出してビジネス化していった。
“木村・工藤一家”は家族であることをオープンにしている
その点、日本は伝統芸能の分野以外で、“一家総出”の形でそれぞれがタレントとして高い注目度を誇るパターンは意外と珍しい。しかも“木村・工藤一家”は、海外のように「家族」を押し出してビジネス化しているわけではない。各自がやりたいことをやっていて、4人は“畑違い”で活躍を見せている。
もちろんそこには間違いなく、木村、工藤が芸能界で大きな成功をおさめたことによる影響がある。芸能一家に生まれた子どもは、その恵まれた環境から「親の七光り」「ゴリ押し」という偏った印象で見られがちになるので、それを避けるため「家族であることを隠す」「家族のことは一切話さない」といった風潮も一部である(もちろんそれが良い、悪いという話ではない)。ただ“木村・工藤一家”は比較的、オープンである。そういうところも日本の芸能一家として特異なのかもしれない。
ビジネス的ではなく、自分の能力が生かせる異なった分野に位置し、やりたいことを信念を持ってやる。そして家族であることをタブーにしない。それらが、“一家総出”で注目を集めている理由なのではないか。
※1 https://www.barks.jp/news/?id=1000005544
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