マネスキン、来たる新作『ラッシュ!』はバラエティ豊かなロックアルバムに? 先行曲から高まる、さらなる快進撃の予感

 今や“ロックの救世主”として全世界のロックリスナーからの熱い期待を一身に引き受けるMåneskin(以下、マネスキン)。彼らの約2年ぶりとなる最新アルバム『ラッシュ!』のリリースが、1週間後の1月20日に迫っている。今作は、イタリア出身のマネスキンが『Eurovision Song Contest 2021』の優勝を契機として全世界的なブレイクを果たして以降、初めてリリースする待望の新作アルバムとなる。

Måneskin - Zitti E Buoni - Italy 🇮🇹 - Grand Final - Eurovision 2021

 この約2年間における4人の快進撃はあまりにも破格で、特に世界各国のライブ/フェスシーンにおける彼らの存在感は、“ブレイクを果たした新世代ロックバンド”という域を遥かに超えて、時代のポップアイコンとも呼ぶべき巨大なものとなっている。彼らは、昨年の8月に来日を果たしており、筆者は『SUMMER SONIC 2022』(東京)におけるステージを目撃した。そして、ダミアーノ・デイヴィッドの強靭さと流麗さを兼ね備えた歌声、徹底的に磨き上げられた屈強なバンドサウンド、何より4人が放つ圧倒的な自信に裏づけされた壮絶な覇気に圧倒されてしまった。前々から世界各地で沸き起こる熱狂の声に触れていたため事前に期待値も高まり切っていたのだが、その期待を上回るどころか、この先何年も語り継がれていくような熾烈なロックアクトであった。

 筆者以外にも、昨年の来日公演を観て、あるいは次々と発表されてきた先行シングルを聴いて、やがて来たる新作アルバムへの期待を膨らませてきた人は多いはず。本稿では、本日1月13日に配信リリースされた「ゴシップ feat. トム・モレロ」をはじめとした先行配信曲にフィーチャーしながら、アルバムの全容に迫っていく。

 現時点で、音源やYouTubeのライブ映像を通して聴くことができる『ラッシュ!』の楽曲は、計7曲。そのうち、全世界的なブレイク後にリリースされた最初のシングル曲「マンマミーア」(2021年10月)と、初めてマックス・マーティンをプロデューサーとして迎えて制作したシングル曲「スーパーモデル」(2022年8月)は、昨年夏の来日公演においても披露されており、すでに現在のライブにおけるハイライトを担う重要なピースとなっている。

Måneskin - MAMMAMIA (Official Video)
Måneskin - SUPERMODEL (Official Video)

 なお、今作の日本盤の初回限定盤には、豊洲PIT公演のライブ音源が収録されている。同公演は、チケットが即日完売したプレミアムなライブとなったため、このライブ盤を通して、あの夜の熱狂を初めて追体験するリスナーは多いはず。筆者も、豊洲PIT公演に参加することが叶わなかった一人で、この音源を通して、ライブハウス公演ならではの濃厚なグルーヴを深く堪能することができた。マネスキンが誇るライブバンドとしての底知れぬポテンシャルを存分に感じられる素晴らしいライブ盤だ。

 2022年10月には、壮大なロックバラード「ザ・ロンリエスト」がリリースされた。余計な要素を一切排したストイックなバンドサウンド、果てしないロマンを描き出していくダミアーノのボーカル。そして、まるで空を切り裂くように高らかに轟く鮮烈なギターソロ。この曲を聴いて、マネスキンがこれほどまでに王道なハードロックナンバーを撃ち込んできたことに驚かされたリスナーは少なくなかっただろう。この楽曲には、歴代のロックレジェンドへの果てしない愛とリスペクトが滲んでいて、何より、この2020年代において自分たちこそが新時代のロックアイコンを担うのだという気概が全編から伝わってきて思わず胸が高まる。

Måneskin - THE LONELIEST (Official Video)

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