水曜日のカンパネラ、「エジソン」の大ヒットは予想外だった? ユニットの過渡期から飛躍を遂げた“上”を目指すマインド

面白くなかったら楽しくはやれない(詩羽)

ーー水カンとしての将来像に関してはどうでしょう? おそらく「この時期までにこれをやって、この位置まで行こう」みたいなことで動いているグループではないようにも思いますが……。

ケンモチ:そうですね。もともと「こうあるべき」だとか「こういうふうになっていくんだ」という確固たるゴールを設定してはいなくて、「こうなったから次はこうしよう」「こういう曲ができたからこうしてみるか」みたいな……行き当たりばったりという意味ではないんですけど、「その場その場で面白いことをいかにより面白くしていくか」みたいなことでやってきたので。詩羽が入ったことでたまたま今のカンパネラの形になっていますけど、もし詩羽じゃない人が入っていたとしたら、まったく違う方向へ舵を切っていたんじゃないかなと思いますね。

ーー「上を目指す」という言い方で合っているかわからないんですが、そういう思いは?

詩羽:私はもともと、この活動を始める前から「誰にも負けたくない」って気持ちと「自分自身にも負けたくない」って気持ちが強くて、ハングリー精神がすごくあるほうで。だから常に上を目指しているところがあると思います。意識的にというよりは無意識的にですけど。

ケンモチ:その「上を目指す」にも、いろんな意味がありますよね。僕の場合で言えば、売上的な意味での“上”と、自分の中で作りあげたい音楽の理想形という意味での“上”とあって、その折り合いが最近ちょっとずつつけられるようになってきた気がするんですよ。昔はもうちょっと自己中心的に「作りたいものを作るんだ」「認められるかどうかはそのあとだ」みたいな感じもあったかもしれないんですけど、今はそれだけだとあんまり面白くないなと思っていて。

ーー「面白くない」という感覚なんですね。

ケンモチ:みんなにもわかってもらえて、自分の中でも「面白くできたな」と思える、チャレンジ性と大衆性のバランス感みたいなところで上を目指したい。そこの達成度をどんどん自分で更新していけたらな、という感じですかね。

ーー「エジソン」の広がりを経てその意識が芽生えたのか、その意識があったから「エジソン」に結実したのかで言うと?

ケンモチ:どちらかというと後者ですかね。以前はカンパネラも含めて特定のアーティストの曲だけを書いていたんですけど、コロナ禍に入ってからわりといろんな方面の方々に曲を書かせてもらうようになって、それまであまり触れてこなかったシーンの音楽を聴く機会も増えたんですよ。そこで「もっとポップなシーンで自分の武器を振るえる方法があるんだな」ということに気がついたんです。それがちょうどカンパネラが新しくなるタイミングとも重なったので、自分の中にあった音楽の枠組みを少し広めに取って、「大衆性を持ちながら面白いことをやれる音楽を」という意識になっていきました。その実験の一環みたいな感じで「招き猫」とか「エジソン」を作っていったような気がします。

ーーただ、それって口で言うほど簡単なことではないですよね。よく「音楽性が高ければ高いほど売れない」とも言われますし、かといって楽曲を広めるために自分のやりたいことを抑制してしまったら、まず面白いものにはならないわけで。

ケンモチ:それについては……まあポップスというジャンルに関して言えば、“耳に残るメロディ”というものさえ担保できればわりとうまくできるとは思うんですよ。たとえば今K-POPで人気のグループとか、アメリカでヒップホップをやっている人たちにしても、売れているものはどこかに必ずポップな要素が入っていて。それは音楽性の高さと共存できる部分なので、そのあたりの音楽を少し参考にしながら目指しているところです。

ーーなるほど、メロディが肝になるんですね。

ケンモチ:おそらく、みんなが聴いて「ポップだな」「キャッチーだな」と思うポイントはそこなんじゃないかと。

ーー歌詞に関してはどうですか?

ケンモチ:歌詞に関しては……あんまりほかのヒット曲に寄せて書かなくてもいいのかなと思っていて。「水曜日のカンパネラだったらしょうがないよね」っていう(笑)、みんなにそう思ってもらえるところに行けてたらいいなと。もちろんそうは言っても「まったく理解できないものを作りたい」とは全然思っていなくて、「みんな知ってる言葉なんだけど誰も使ってこなかった組み合わせで、新しい聞こえ方を打ち出したい」みたいなところを意識しています。

ーーそれも音の作り方と同じなんですね。こだわりは強いけど、わかりやすさにもすごく気を遣っている。

ケンモチ:そうですね。そこでいかに自分の納得できるものを作るか、というのが今は一番楽しいです。

ーー詩羽さんは、そんなケンモチさんの書く歌詞について何か思うところはありますか?

詩羽:思うところ……?

ーーたとえばですけど、「歌いにくいな」とか「もっとこういう歌詞がいいな」とか。

詩羽:あんまりそういう感覚はなくて、受け取ったものを素直な気持ちでやっている感じですね。できてきたものをどこまで持っていけるかというのが私の役割だと思っているので、「歌詞はこれなんです」と渡されたら「これなんですね」って。「はい、エジソンは発明家なんですね」って素直に受け取るだけなので、そこに「これ違くないか?」って疑問を感じたりはしていないです。

ーー「面白い」とか「好きだな」という感覚はあります?

詩羽:ありますよ。面白くなかったら、やらないかな。

ーーとなると、仮に受け取った歌詞が「つまらない」と感じたら「やらない」と言うかもしれない?

詩羽:そうですねえ……まあ「やらない」とはきっと言わないんだろうけど……。

ケンモチ:言ってないだけで、思ってはいるかもしれないという(笑)。

詩羽:いやいや(笑)。それは結局自分の表現力に直結しちゃうかなと思うので。本当に自分の中で「これ、あんまりだな」と思っちゃったら、きっと表現としてすごく幅が狭まっちゃうだろうし、面白くなかったら楽しくはやれないんじゃないですかね。

ーーつまり現状の水カン楽曲に関しては、十分に楽しめるものがそろっている感覚?

詩羽:そうです。

ケンモチ:ならよかった(笑)。

ーーでは最後に「来年どんな年にしましょう?」という話で締められたらと思うんですが、何かありますか?

詩羽:うーん……(ケンモチに)何かありますか?

ケンモチ:そうですねえ……(取材に同席していたDir.Fに)何かありますか?

Dir.F:(笑)。これまで水曜日のカンパネラには“ヒット曲が続く”ということがなかったので、それをやれたらいいなという思いはありますね。2022年が“「エジソン」の年”になったように、2023年も“何かの曲の年”と言えたらいいなと。あとはやはり、サブスクの時代になって以降ずっと国内マーケットだけでは限界があるなと感じ続けているので、これは来年に限らずですが、外を見ていかないとよくないだろうなと思っていますね。それから詩羽に関しても、今は音楽領域だけの活動になっていますが、もうちょっと違うフィールドにも露出の場を作って可能性や認知の幅を広げていけたら、と思っています。

詩羽:個人でやりたいことももちろん明確にあるはあるんですけど、もともと「こういうふうになろう」という思いよりは「どうなるかな?」という気持ちでこの活動を始めているというのがすごく大きくて。だから本当に「もらったものを全力で、相手が求めているよりも上で返してやろう」というくらいですね。どこを目標にするというよりは、その姿勢でいることが目標というか。

ケンモチ:僕は曲を作ることが仕事なので、今Dir.Fが言ったようにヒット曲を作りたいというのはあるんですけど、それが「エジソン」っぽいものじゃなかったらいいなと。人の曲を聴いたときに「これってあの人が作ってるんじゃない? やっぱりそうだ」みたいなものより、「え、この曲をあの人が?」みたいに驚かされるほうが好きなんですよ。だからそのパターンをカンパネラでもできたらいいなというのはありますね。

ーーたぶん「『エジソン2』を作れ」みたいな声は多くなると思いますが……。

ケンモチ:それは数年後くらいにやります(笑)。「今だったらまた『エジソン』っぽいのを作っても、もういいかな」ってタイミングになったら。

水曜日のカンパネラ「赤ずきん」

■リリース情報
「赤ずきん」
配信日:2023年1月25日(水)
収録内容:赤ずきん
作詞/作曲/編曲:ケンモチヒデフミ
Pre-Add/Pre-Saveリンク:https://wed-camp.lnk.to/LRRH 
※Pre-Add/Pre-Save 期間は2023年1月24日(火)23:59まで

「エジソン - From THE FIRST TAKE」配信リンク
https://wed-camp.lnk.to/Edison_THEFIRSTTAKE

「バッキンガム - From THE FIRST TAKE」配信リンク
https://wed-camp.lnk.to/Buckingham_THEFIRSTTAKE

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