カンダニエルは世界で活躍するポップスターになれる存在だ 『Joy Ride』で日本デビューを叶えた足跡を辿る

カンダニエル、日本デビューを叶えた足跡

 カンダニエルが、10月5日にEP『Joy Ride』で日本デビューした。「TPIR」でギタリスト・MIYAVI、「Loser」でラッパー/シンガーのちゃんみなと、日本のアーティストとのコラボ曲も収録されている、音楽的に興味がそそられる作品だ。

 カンダニエルといえば、「Wanna Oneのセンター」というイメージがあるかもしれない。Wanna Oneは、韓国で社会現象を巻き起こしたオーディション番組『PRODUCE 101 SEASON2』から誕生した11人グループ。デビュー即1位を獲得し、他のグループを凌駕。期間限定活動のため2019年1月に解散したが、デビューから解散までのK-POPボーイズシーンは、「Wanna One一強」といえるほどの圧倒的な人気を誇っていた。

 そんなモンスターグループのセンターを務めていたのがカンダニエルだ。しかし、最初から目立つ存在というわけではなかった。オーディション番組での初回順位は101人中の23位と、デビュー圏外。身長180センチ、肩幅60センチというガタイの良さ、そしてちょっとタレ目なビジュアルは、線が細く華奢なアイドル候補生たちの中では目を惹く存在だった。地元の釜山では名の知れたB-BOYダンサーだっただけにデビュー前からパフォーマンスは評価が高く、回が進むにつれ、大型犬のようなかわいらしさと人間性、それとはギャップのある力強いパフォーマンスが注目され順位を上げていき、コンセプト評価「Knock(ヨロジョ)」の男性美あふれるパフォーマンスで一気に人気が上昇。最終回では「圧倒的センター」といわれるほどのカリスマ性と人気を誇り、見事に1位でWanna Oneのセンターの座を勝ち取った。

 Wanna One解散後の2019年7月25日にはミニアルバム『color on me』でソロアーティストとしてデビュー。同作は「Intro (Through the night) 」以外の4曲全曲で自身が作詞を手掛けた、世界のトレンドを意識した佳作R&B作品となった。以降もそのサウンドは世界で支持され続け、2022年5月にリリースした韓国盤1stアルバム『The Story』のリード曲「Upside Down」ミュージックビデオは公開からわずか10時間で1000万再生超えを記録。デビュー曲「What are you up to」から「Upside Down」まで、音楽番組では20冠を達成している。アイドルとしての輝きはそのままに、音楽的にはアイドルの領域から脱皮し、アーティストとしてのカラーを確立した。

 コロナ禍で海外に出られない中、2021年1月には彼の2ndミニアルバム『MAGENTA』(2020年)収録曲「Who U Are」に参加した米アーティストInvernessの「State of Wonder」にもフィーチャリング参加。さらにはMIYAVIのアルバム『Imaginary』収録曲「Hush Hush」にフィーチャリング参加するなど海外のアーティストと交流し、その音楽的な幅を広げた。

 かねてから日本デビューを切望し準備を重ねてきたというカンダニエルが、2022年10月に、ついにその夢を叶えた。日本デビュー盤『Joy Ride』には、表題曲に加え、MIYAVIと再びタッグを組んだ「TPIR」という2曲の日本オリジナル曲を収録。さらに、今年5月に韓国でリリースされ約32万枚を売り上げた1stフルアルバム『The Story』から「Upside Down」、「Loser」、「Ride 4 U」、「1000x」の4曲の日本語版が収録されている。

KANGDANIEL(カンダニエル)「TPIR (feat. MIYAVI)」 Lyric Video

 タイトル曲「Joy Ride」は、「何かにぶち当たっても、楽しみながら進もう」というポジティブなメッセージが込められている。MVは、雨の渋谷や都内近郊のゲームセンター、セレクトショップで撮影された。日本オリジナル曲「TPIR」では、MIYAVIがフィーチャリング及び作詞を担当。大人になりきれない未熟さが表現されたポップロックチューンとなっている。また、韓国版ではヒップホップ/R&B男性アーティストDboがフィーチャリングされている「Loser」の日本語バージョンには、トリリンガルラッパー/シンガーのちゃんみなをゲストに迎えた。これは、ちゃんみなが韓国でのレコーディングを彼の会社のスタジオで行っていた縁で実現したのだそう。

KANGDANIEL(カンダニエル)「Joy Ride」 Music Video

 日本デビュー盤『Joy Ride』をリリースし、10月15日には大阪、16日には横浜で初のジャパンツアー『KANGDANIEL : 1st EP Release Tour JOY RIDE THROUGH JAPAN』を開催。日本オリジナル曲「Joy Ride」と「TPIR」をステージで初めて披露しており、今後このライブからの映像が公開されることを切に願う。

 カンダニエルを聴くにあたっては、“K-POPアイドル”という枠を外したほうがいい。彼は世界で活躍するポップスターになれる存在だ。2022年8月には、音楽フェスティバル『SUMMER SONIC 2022』への出演が決まっていたが、新型コロナウイルスの陽性判定を受け、残念ながら急遽キャンセルとなってしまった。来年はぜひともリベンジして、国内フェスで音楽ファンに衝撃を与えてほしい。

■リリース情報
『Joy Ride』
発売:2022年10月5日(水)
通常盤(CD):¥2,750(税込)
初回限定盤(CD+DVD):¥3,850(税込)
CD収録曲:
Joy Ride
TPIR (feat. MIYAVI)
Upside Down
Loser (feat. ちゃんみな)
Ride 4 U
1000x

DVD収録内容:
「Joy Ride」ミュージック・ビデオ
「Joy Ride」ミュージック・ビデオ メイキング映像

オフィシャルサイト
https://kangdanieljapan.com/

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