ONE OK ROCK、JUDY AND MARY、T.M.Revolution……『るろうに剣心』再アニメ化発表を機に歴代音楽をおさらい
『るろうに剣心』の主題歌といえば、あなたは一番にどの楽曲を思い浮かべるだろうか。
先日、実写映画『るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning』(2020年公開)がテレビ放送されたこともあり、その主題歌を担当したONE OK ROCKの楽曲を挙げる人も多いかもしれない。アニメを見ていたファンであれば、JUDY AND MARY「そばかす」やSIAM SHADE「1/3の純情な感情」など、各々に思い出の主題歌があることだろう。1996年から2年半に渡りアニメ版が放送され、原作漫画のみならず劇場版や実写映画、ゲームなど様々な形で多くのファンを集めてきた『るろうに剣心』。それぞれを彩った主題歌は今でもアニソン界の名曲として、あるいはアーティストにとっても重要な楽曲として長く親しまれているものが多い。
テレビアニメ『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』(フジテレビ系)の初代オープニングテーマとなったのはJUDY AND MARYの「そばかす」(1996年)。時代劇アニメである『るろうに剣心』の作品の内容とは直接関係のない、そばかすというワードチョイスや弾むような明るい曲調は当時の視聴者にもインパクトを与えたが、これは『るろうに剣心』のタイアップが急遽決まり、短時間で書き下ろされたものだったという。しかし本曲はオリコンシングルチャートで1位を獲得し、同年には『第47回NHK紅白歌合戦』にも初出場。タイアップ以前にもアルバム『MIRACLE DIVING』で100万枚近い売上を記録するなど既に人気の渦中にいたJUDY AND MARYだが、この楽曲がさらに多くの人に知られるきっかけにもなった。
その後も『るろうに剣心』の楽曲は注目を集め、2代目のオープニングテーマ、川本真琴「1/2」(1997年)は自身最高のヒットとなった。こちらも「そばかす」と同じく、アニメ自体とは全く関係のない内容。言うまでもなく、アニメのタイアップの多くは曲調や歌詞がアニメ作品となんらかの形でリンクするように作られている。初代と2代目のオープニングテーマはその例外と言えるわけだが、そういった意外なマッチングが作品の魅力となっていた点で言うと、声優の起用も同様であった。2代目エンディングテーマ「涙は知っている」(1996年)を歌った涼風真世は剣心役を務めた女優/歌手だが、彼女は元宝塚歌劇団月組トップスター。時代劇アニメの主人公を彼女が演じたのは、当初大きなインパクトとともに受け入れられた。そういった、ときに大胆な組み合わせを見事に形にしていたのが、『るろうに剣心』であった。
アニメが放送されていた90年代後半はJ-POPシーンでヒットが連発されていたということもあり、『るろうに剣心』の主題歌を担当したことがアーティストの音楽番組の出演に繋がることも多かった。3代目のエンディングテーマを飾ったT.M.Revolutionは自身3作目シングルとなる「HEART OF SWORD~夜明け前~」(1996年)にてロングヒット。初のアニメタイアップである本作をきっかけに音楽番組に多数出演したことで西川貴教のキャラクターの面にも注目が集まり、翌年からはラジオ番組のレギュラー放送がはじまるなど、人気を上昇させるひとつのきっかけにもなった。そのほか、バンドの話題作「JAM」との両A面でリリースされたTHE YELLOW MONKEY「Tactics」(1996年)が初代エンディングテーマに、6代目エンディングテーマとなったSIAM SHADE「1/3の純情な感情」(1997年)はバンド最大のヒットを叩きだすなど、『るろうに剣心』に起用された楽曲はバンドにとっても重要な楽曲として位置するようになっている。