週替わりテーマソングが作品にもたらす効果 『チェンソーマン』機に『ドロヘドロ』『高木さん』ら過去事例を振り返る
10月11日より放送開始のTVアニメ『チェンソーマン』(テレビ東京)。そのEDテーマを12組のアーティストが書き下ろし、週替わりで担当するという情報が驚きを与えた。劇場アニメで複数の楽曲が使われるケースは昨今多いが、TVアニメでは異例だ。全話異なるEDテーマというと『ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン』(2015年)が思い出されるが、全曲が書き下ろしではなかった。
『チェンソーマン』はチェンソーの悪魔を体に宿した少年・デンジが悪魔と戦うダークヒーローアクション。暗く重いムードの中にあるシュールさや、激しい戦闘の中にあるギャグや笑いなど目まぐるしいテンポで物語の要素が切り替わっていく作品だ。毎週その回のために書き下ろされた異なる曲が流れることで各話がより特別なものになる可能性が高い。一方、徐々に曲が馴染み愛着が湧く従来のテーマソングとしての楽しみ方には至りづらいという懸念も。
今回は、過去に週替わりで楽曲が使用されたアニメ作品を振り返ってみる。『チェンソーマン』と同じMAPPA制作の『ドロヘドロ』(2020年)にはクリエイティブユニット・(K)NoW_NAMEが6曲を書き下ろし、その独特な世界観を拡張させていた。似た例としては『悪魔のリドル』(2014年)があり、こちらは作詞家・中村彼方が全曲を手掛けた。固有の作家やチームが一貫した世界観を持つ楽曲を提供したケースだ。
『からかい上手の高木さん』シリーズ(2018年~)は主人公の高木さん(CV:高橋李依)が歌唱する形でいきものがかりから大瀧詠一まで様々な年代のJ-POPナンバーが各話のEDを飾っていた。『ReLIFE』(2016年)は「主人公が高校生の頃聞いていた自作MDに入っている楽曲」をコンセプトに、奥田民生やポルノグラフィティの楽曲が週替わりでEDテーマに起用された。いずれも物語に寄り添うというよりは作品全体の雰囲気や登場人物の魅力を立体化させるアプローチだった。
“物語に寄り添う”なおかつ“複数のアーティストによる書き下ろし”の楽曲が使用された例で言えば『Sonny Boy』(2021年)が特徴的だ。toe、カネヨリマサル、ミツメなどアニメソングのイメージが薄いアーティストが各話ごとに挿入歌を書き下ろした。異世界を放浪する少年少女の物語であり、各話のトーンも多様であるため劇中音楽にも個性と振れ幅が必要だったのだろう。