ザ・リーサルウェポンズ、上坂すみれや眉村ちあきらゲストと迎えた大団円 “地元愛”に溢れた中野サンプラザ公演

 驚いたことに、本公演のゲストは予告されたものだけではなかった。三三七拍子で盛り上げる「東海道中膝栗毛」、叙情的なメロディにコロナ禍への想いをのせた「雨あがる」、映画『トップガン マーヴェリック』の応援ソングとして非公式ながらも話題となった「デンジャーゾーン」と続いた後、ステージに登場したのはなんと中野区長の酒井直人氏。アイキッドは会場に来る前のバスで一緒になったそうで、「挨拶をしたかったけれど(ヘルメットをかぶっていないから)誰だか分からないだろうと思ってできなかった」というエピソードで会場の笑いを誘う。その後は「中野に捧げる曲」として、本公演のサブタイトルの由来にもなっている「特攻!成人式」を披露。歌詞の〈中間〉は〈中野〉に変えて歌われ、中野区への熱いリスペクトが感じられた。

 楽曲テーマの“猫(タマ)”にかけて“おたま”を持って現れたのは、事前告知されていたもう1人のゲストの上坂すみれ。すぐにコラボ曲「ねこねこヘヴン feat.上坂すみれ」の披露に移るかと思いきや、さらにシークレットゲストとして同曲の作曲・編曲を務めたShinnosuke (ex.SOUL'd OUT)が登場。客席のあちらこちらに視線を向けながら高らかに歌い上げる上坂、華麗にショルダーキーボードを奏でるShinnosukeを含めた4人での演奏は、なんとも嬉しいサプライズだ。Shinnosukeは続いて演奏された「マハラジャナイト」にも参加。ミラーボールが美しく彩る中で、会場は幸福感に包まれていた。

 アンコールではゲーム『ストリートファイターII』をオマージュした「昇龍拳が出ない」、ライブ定番曲である「きみはマザーファッカー」の2曲を演奏。「きみはマザーファッカー」は、コロナ禍以前のライブでは観客をステージに上げる演出も行われていた楽曲。今回は観客を呼べない代わりに、ゲストメンバーがステージに勢ぞろいしての大団円となった。

 本公演を通して印象深かったのは、ほとんどの楽曲でバックのスクリーンに歌詞が映し出されていたこと。加えて、サイボーグジョーの歌唱パートが白文字、合いの手部分が赤字と丁寧に色分けまでされていた。そのため、仮に曲を知らなくても、どのタイミングで盛り上がればいいのかが一目で分かるようになっていたのだ。終始会場に生まれていた一体感は、このような演出の工夫があってのことだろう。ザ・リーサルウェポンズの楽曲には、ほぼすべてと言っていいほどコール&レスポンスが含まれている。今回は観客が声を出せないルール上、合いの手では歓声を模した音声が流されていたが、2,000人の歓声だったらどんなに凄まじい光景が生まれていただろうか。アンコールでは2023年の全国5都市ツアーと東京・Zepp Shinjukuでのライブ開催が発表された。次はぜひ、生の歓声を含めたライブが観たい。

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