Toshl「歌がさらに愛しくなった」 楽曲カバーから得られる刺激

“ToshI 3択”で受ける刺激

ーーそして「You Raise Me Up」(Celtic Woman)にはゴスペルクワイアが参加。このコラボレーション、本当に感動的ですね。

ToshI:ありがとうございます。自分自身もこの曲に心を救われたし、力をもらってきて。ケルティックウーマンの原曲以外にも、多くのアーティストにもカバーされていて、どのバージョンも感動的で大好きなんです。いざ自分で歌わせていただけるとなった時に「ゴスペルクワイアに参加してもらえないでしょうか?」とリクエストさせていただきました。

——ToshIさんの歌声もそうですが、声のパワーを強く感じられるのも素晴らしいなと。

ToshI:そうですよね。コロナになってからは大勢で歌うことが難しくなっていますが、このカバーはレコーディングだからこそできることなのかなと。ケルト音楽の雰囲気もあるし、スケールの大きいストリングスも相まって、映画を観ているかのようなサウンドになりました。また、レコーディングに参加くださったコーラス隊の皆様や、尊敬する大御所ベーシスト高水健司さんはじめ、名だたるミュージシャンの皆様にも「Toshlさんの歌に引っ張ってもらいました」とお褒めのお言葉をいただいたときには、心底嬉しくて、小躍りしたいくらいの気持ちでした。実際にぴょんぴょんと小躍りしてたかも(笑)。

——さらに高橋真梨子さんの「桃色吐息」、中森明菜さんの「難破船」も。昭和の歌謡曲もToshIさんのルーツの一つなんですか?

ToshI:もちろん、歌謡曲も大好きです。小さい頃はテレビやラジオの音楽番組でいろんな曲を聴いていました。歌謡曲や洋楽、流れてくる流行歌を聴いたり、歌ったりすることが大好きでした。10歳くらいのときにギターやピアノを弾き始めて、“歌本”(楽曲の歌詞とコードが記載されている本)を広げながら、いろんな曲を歌い始めたのが、(シンガーとしての)最初だったんです。一人のアーティストに傾倒していくというよりは、歌謡曲もロックも、男性、女性歌手関係なく、知らない曲でも勝手にメロディーつけて歌っていました。それが子供の頃の僕の遊びだったんですね。

——ジャンルではなく、幼少期から歌うこと自体に興味があったんでしょうね。Superflyの「タマシイレボリューション」は、先ほども話に出た“ToshI 3択”で歌唱した楽曲。

ToshI:“ToshI 3択”は僕にとってすごくチャレンジングな体験。まず、知らない曲も歌わなくちゃいけないですから。しかも候補の3曲をしっかり準備しても、実際に歌うのは1曲。本番の緊張感もすごくて、めちゃくちゃ刺激をもらえるんです。例えば、最新のヒット曲を歌わせてもらうことによって、その曲はなぜ多くの人に聴かれているのかも実感できるんですよね。今の若者が求めていること、潮流みたいなことも感じられるし、自分にとっては学ばせていただくことがたくさんある。他のテレビ番組もそうですけど、いろんな曲を歌わせてもらうことで、“まだまだ先がある”、“自分でも知らない自分の声、表現方法がある”逆にまだまだな自分の不甲斐なさにも気づいて。だからこそ自分への期待を抱かせてもらえるというのかな。大変ですが、それ以上に得られるものが莫大にあるので、守りに入らせてくれない本当にありがたい攻め攻め企画です(笑)。

——歌うことで理解できること、得られることがたくさんある、と。

ToshI:歌わないとわからないこともたくさんあると思います。実際に歌うためにその楽曲と深く関わり、本気で歌い込んでいくことで、「なるほど、このメロディはこうなっているのか」「このフレーズにこういう気持ちが込められているのか」といったことが感じられる。『IM A SINGER』シリーズの楽曲もそうですが、カバーさせていただくのは“僭越ながらおじゃまします”という気持ち。楽曲、その曲を歌っているシンガーの方、その楽曲のファンの皆様になるべく失礼がないように真摯に取り組み、リスペクトを込めることは最低限の礼儀だと思います。なので、まず楽曲をオリジナル通りに歌えるように練習重ねて、そのうえで、本番ではあえてそれを壊して、自分らしく自由に歌うことを意識しています。歌舞伎の世界の「型破り」と「形なし」のお話を何かで読んだことがあるのですが「洗練された『型』の先にある『型破り』、『型』がなければ形なし」と。「型破り」までは行かずとも、形なしにはならぬように、精進する気概は持ち続けたいと思っています。

美しい日本語の世界観で綴られた日本の名曲を歌い継げるような歌手になれたら

——『IM A SINGER』には、命のはかなさ、次の生命へと繋ぐことの美しさを歌い上げた「葉ざくら」、そして、『ニンゲン観察バラエティ モニタリング』(TBS系)の企画から生まれた「しあわせになるんだよ」というオリジナル楽曲も収録。「しあわせになるんだよ」は、放送直後から大きな反響を呼びました。

ToshI:番組では、ボーカルオーディション企画で選ばせていただいた林家たい平さんとオリジナル新曲を一緒に歌うという企画でした。視聴者として『モニタリング』を見ていて、いちばん印象に残っていて、感動したのがサプライズのプロポーズや結婚式なんです。たい平さんと一緒に歌うなら、そのような感動のサプライズ企画で歌いたいと思い立ちました。また、たい平さんにはお嬢さんもいらっしゃるので、たい平さんも心を込めて歌えるような楽曲として、親子をテーマにした「しあわせになるんだよ」を書きました。

——「葉ざくら」も「しあわせになるんだよ」も、日本語の美しい響きがしっかりと活かされていて。日本語の歌を生み出すこと、歌い継ぐことに対する意識も強くなっているのでは?

ToshI:これはコロナ禍で思ったことの延長かもしれないですが、世界に〜、とか大言壮語を吐くよりも「身近なところにいてくださり、支え、応援してくれる大切な人たちに届けたい、ご恩返ししたい」という気持ちがあります。そこから楽曲も生み出したいです。そして、願わくば、美しい日本語の世界観で綴られた日本の名曲を歌い継げるような歌手になれたら、そんな幸せなことはありません。

——なるほど。最後に今後の活動ビジョンについて聞かせてください。“匍匐前進”の時期はそろそろ終わって、立ち上がって進めるようになるのでは……?

ToshI:どうですかね? これからも何が起きるかはわからないし、でも、常に中心にあるのは、どんな時代、どんな状況であっても、めげずに進むということなんです。もちろん、めげることもへこむことも多少なりともありつつも、その場に立ち往生するよりも、自分を奮い立たせて、一歩前へ進んでいく方が、きっと楽しい気がします。自分の人生もこれまで紆余曲折あり、心ある方々からの支えをいただいたことで、どん底からなんとか這い上がって「どんな時も人生はやり直せる」と自分に宣言して、腹を括って自分なりに歩みを続けてきたこの8年間。周囲の心ある方々に応援いただき、次第に自分にとって大切なもの、必要のないもの、人や物事の「真偽」もはっきりと見えてきた部分もあります。今、こうしてニューアルバムをリリースでさせていただき、インタビューを受けることができることも奇跡のようなことだとも思います。これからも大切な時間を、大切な人々と共に、明るく、楽しく、嬉々として、一緒に紡いでいきたいと願っています。

■リリース情報
Toshl
『IM A SINGER VOL.3』
9月28日(水)発売 
予約はこちら

初回限定盤【CD+DVD】¥5,500(税込)
通常盤【CD】¥3,300(税込)
※初回限定盤と通常盤のジャケット写真は異なる

<初回封入特典>
特製トレカ(5種のうち1枚ランダム封入)

<DVD収録内容>
「葉ざくら」MUSIC VIDEO
「葉ざくら」MUSIC VIDEO Making & Short Interview
Toshl SELF LINER NOTES OF “IM A SINGER VOL.3”
「葉ざくら」(弾き語りLive)
「桃色吐息」(弾き語りLive)
「しあわせになるんだよ」(弾き語りLive)

<収録曲>
1.タマシイレボリューション(Superfly)
2.イントゥ・ジ・アンノウン~心のままに
3.美女と野獣 Toshl & 石丸幹二
4.三日月(絢香)
5.難破船(中森明菜)
6.葉ざくら(オリジナル曲)
7.Hero(安室奈美恵)
8.桃色吐息(高橋真梨子)
9.スピーチレス~心の声
10.You Raise Me Up(ケルティック・ウーマン)
11.しあわせになるんだよ(オリジナル曲)

<Amazon.co.jpオリジナル特典>
メガジャケ
<CDショップ共通特典>
秘蔵写真ポストカード(4種ランダム)

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