Dannie May、“歌”と“普通”を武器にしたパンク集団 「ええじゃないか」ブレイクで勢いに乗るバンドの現在地

 2019年3月に結成、その後コンスタントに楽曲とMVを発表し、それがじわじわと注目を集め、代表曲「ええじゃないか」の再生回数はついに165万回を突破。つまり、ものすごく今っぽい流行り方で大きな波を起こしつつある3人組、それがDannie Mayである。

 もともと歌が好きな3人が集まり、コンセプトを企画する監督、作曲、アレンジと役割を分担しながら、ポップスはもちろんロック、ジャズ、ファンクなどなどあらゆるジャンルを取り込んだバラエティ豊かな音楽を次々と繰り出す……というそのあり方は、もしかすると非常に戦略的に見えるかもしれない。だがこのインタビューでの3人の発言を読めば、彼らが実はめちゃくちゃエモーショナルで、ある意味パンクな集団であることがわかるだろう。

 今年7月には大阪・心斎橋JANUSと東京・LIQUIDROOMでのワンマンライブも成功させ、2000年代のJ-POPをDannie May流に落とし込んだ新曲「ぐーぐーぐー」をドラマ『イケメン共よ メシを喰え』(テレビ大阪・BSテレ東)のオープニングテーマとして投下。いよいよ本格的に盛り上がってきたDannie May、要注目だ。(小川智宏)

「こうじゃなきゃいけない」みたいなのはあまりない(マサ)

Dannie May「ええじゃないか」(Music Video)

ーー結成以来、状況的にどんどん良くなってきていると思うんですけど、自分たちの中で潮目が変わったなと思った瞬間はありましたか?

マサ:やっぱり「ええじゃないか」が大きかったですね。最初はインド映画のMAD動画みたいなもので注目され始めて、人が集まってきて。でもそれにはまるかどうかって楽曲の勝負じゃないですか。そこでちゃんと世間の目を引きつけられたのはよかったなと思いました。

ーーDannie Mayは楽曲を結構なハイペースで発表してきましたけど、それには理由があるんですか?

Yuno:コロナの影響もあったけど、そうやってどんどん制作をするというのが自分たちのスタイルに合っていたんだと思います。たくさん曲やMVを作って、配信リリースしていくっていうのを3年半やっていたので。Spotifyなどを見ると、同時期に結成したバンドに比べて俺らの曲数多くね? と思って(笑)。そこで初めて気づくくらい、自分たちが曲を出してきたことを自覚していなかったんですよね。

ーーすごいなと思うのは、楽曲にいろいろなバリエーションがあって、サウンド面でもビジュアル面でも、必ず新しいものを取り入れていくじゃないですか。「俺たちこれなんで」とは絶対にならないですよね。

マサ:そうですね。もともと3人の好きな音楽が違うのもありますし、やれるならいろんな面を見てもらった方がいいと思うんです。それでどこに引っかかってもらってもいいなとは思っているので、いろんな曲を作ることにそんなに抵抗がない。毎回いろいろな音楽を勉強して、これとこれを掛け合わせたら面白いんじゃない? って、それこそ「ぐーぐーぐー」の“飯”じゃないですけど、ごはんを作るみたいな感覚で曲を作っていますね。

マサ

ーー7月に心斎橋JANUSとLIQUIDROOMで行ったワンマン『Dannie May ONEMAN LIVE “五行”』はどうでしたか?

マサ:コロナがまたちょっと拡大してきた時期だったので、「チケットを買ったけど行くのを悩んだ」というお客さんも結構多かったんですよ。お客さん側も歓声を我慢する、僕らも無理に煽らないとか少し気を遣いながらやった感じもしたので、心から楽しめなかったというわけではないんですけど、気になっちゃったなっていうのがあって。そういう意味で言うと、コロナ禍での楽しみ方もお互いわかったので、もう1回リベンジしたいなって思いますね。

ーータリラさんはどうですか?

田中タリラ(以下、田中):どうだったかなあ……。終わった直後にSNSに感想をめっちゃ書いて、それで消化しちゃって。でも集中できたライブではありました。あとは黒い衣装で揃えたんですけど、そういうのも初めてだったので、映えてたなって。

ーーなるほど。ライブのやり方はだんだん変わってきました?

マサ:変わってきているかもしれないですね。最初の頃は本当に曲がなかったので、ある曲をどうにか繋ぎ合わせてっていうライブだったんですけど、今はセクションごとにSEを組んだり、始まり方をちょっと凝ってみたりとか。ゆくゆくはバンドっていうよりはエンタメっぽいライブがしたいなと思っているんです。僕らは映像制作ができるっていうのもあるので。どんどんそこには近づいていってるのかなって思います。

Yuno:LIQUIDROOMのアンコールで「ぐーぐーぐー」を初披露したんですけど、3人ともハンドマイクで歌ったんです。それも従来のバンドっていう見方で考えたらあんまり思いつかないようなことだと思うんですけど、3人とも歌うことが好きというところで繋がってるからこそできたことだし。ライブでは音源と歌割りを変えてみたり、そういう遊びはどんどん広げていきたいなって思いますね。

Dannie May「ぐーぐーぐー」-Music Video-

ーーだからめちゃくちゃ自由ですよね。バンドなんだけどバンドじゃないというか、バンドにもなれるし、バンドじゃない形でもやれるっていう。

マサ:そうですね。何かをやったからといって「こうじゃなきゃいけない」みたいなのはあまりなくて。今の時代って「面」で切り取られて見られることが多いというか、線で繋がってずっと見られることってあまりないと思うんですよ。だからどんな僕らを見てもらってもそんなに気にならないというか、「その時それがやりたかっただけだし」っていうスタンスでやってるので。そこはそんなに気にしなくていいのかなって。

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