LUNA SEA、『復活祭』でSLAVEに届けた愛と想い RYUICHIが”新しい声”披露した一夜を観て

 アンコールでは、RYUICHIから「俺たちの留守中を温めてくれた存在」と紹介され、お笑い芸人・かまいたちの山内健司率いる「GACHI SEA」が登場。バラエティ番組『かまいガチ』(テレビ朝日)から誕生した彼らは、RYUICHI役の山内、SUGIZO役の濱家隆一(かまいたち)、J役の高木晋哉(ジョイマン)、INORAN役の布川ひろき(トム・ブラウン)、SLAVE役のみちお(トム・ブラウン)、そして本家の真矢で結成されたLUNA SEAのコピーバンドである。LUNA SEAメンバーがステージ袖で見守る中、2カ月間の猛練習の成果を見せるべく、「TRUE BLUE」を全力で披露。GACHI SEAメンバーは緊張している様子で、さらにギターソロでは、SUGIZOが至近距離まで近づいて濱家の手元を見つめてプレッシャーをかけるという場面もあったが、無事演奏を終え、盛大な拍手を受けた。

 ここでGACHI SEAは「LUNA SEAさんが復活されたので我々の役目は終わった」と活動休止を宣言するが、「もうちょっと聴きたい」というRYUICHIの言葉から、10人で「ROSIER」を演奏することに。山内の煽りで、この日2回目の「ROSIER」がスタート。LUNA SEA復活の場を大いに盛り上げた。

 ステージが5人に戻ると、ライブはいよいよラストスパートへ。「IN MY DREAM(WITH SHIVER)」で、武道館は再び一つになる。RYUICHIは集まった全てのSLAVEたちに感謝を届けるべく、真後ろや2階席まで見渡しながら、その伸びやかな歌声を響かせた。そして「みんなに心配かけてるかもしれないけど、もっともっと進化して強くなるし、新しい声を届け続けるので、心から楽しんでください。最後に、集まった全員に5人から愛をこめて」と心からのメッセージを伝えた後に、「I for You」を歌い上げた。客席には、復活したLUNA SEAからの愛と想いを受け取り、思わず涙するSLAVEの姿も見えた。

 冒頭に記した通り、まるで不死鳥のように見事な復活を遂げたRYUICHIだが、それは魔法や奇跡などではなく、RYUICHIが自身の力で掴んだ結果である。この日のMCでも手術への不安を吐露する場面があったが、手術後の4月、5月に予定していたソロライブは万全な状態での復帰が困難と判断し中止に至った経緯もあり、当然プレッシャーや苦悩も抱えていただろう。しかし、常に前向きに自身の身体と向き合い、リハビリを続け、約6カ月半という短期間で、再び重厚なバンドサウンドの中でも引き立つ歌声を手に入れた。そしてさらに、声を元に戻すのではなく、“新しい声を育てていきたい”とファンの前で宣言したのだ。このどこまでも前向きで貪欲なボーカリストとしての姿勢には驚かされる。RYUICHIは、30年以上のキャリアの中で自身の限界に挑み続けてきたが、その挑戦はまだまだ終わらないようだ。

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