LUNA SEA、圧巻の演奏で切り拓く“新しい物語”  延期を乗り越え実現した30周年記念ツアー

LUNA SEAが切り拓く“新しい物語”

 LUNA SEAが、5月28日、29日、30日の3日間にわたり、東京ガーデンシアターにて『LUNA SEA 30th Anniversary CROSS THE UNIVERSE -THE DAWN-』を開催した。本公演は、新型コロナウイルスの影響により約1年延期されていたが、今回は十分な感染防止対策を講じた上で、有観客での開催が実現。本記事では、ストリーミングでの生配信や全国各地の映画館でのライブ・ビューイングも同時開催された、最終日30日の模様を現地からレポートする。

 「声援は心の中で、拍手・手拍子のみでお願いいたします」という開演前のアナウンスに続き、メンバーの登場を待ちわびる観客たちの手拍子が響く中、静かに暗転。真っ暗な会場に荘厳なSEが流れると、3階建てのバルコニーが広がる大空間に突如稲妻のような光がいくつも走る。日常から一気にLUNA SEAの世界へと引き込まれ、思わず茫然としていると、メンバー5人がステージへ登場。割れんばかりの大拍手が降り注ぐ中、“THE DAWN(夜明け)”と名付けられたLUNA SEAのライブがいよいよ始まる。

RYUICHI

 1曲目は「LUCA」を披露。朝焼けを思わせるような眩いオレンジ色の光をバックに、RYUICHI(Vo)の伸びやかな歌声とSUGIZO(Gt)の美しいギターの音色、真矢(Dr)のドラムロールが会場中に響き渡る。INORAN(Gt)は頭の上で大きく手拍子をしてフロアを扇動。観客たちは待ち焦がれた彼らの音を全身で享受するように、ステージへと手を伸ばす。続く「Closer」では、神聖な雰囲気が一気にロックな空気へと変わる。J(Ba)とSUGIZOが向かい合って笑顔を見せたり、ギターソロのパートではINORANとSUGIZOが下手に集まったりと、メンバーのイキイキとした様子が見られた。

 MCパートでは、開口一番に「東京、会いたかったぜ!」と叫ぶRYUICHIに大きな拍手が沸き起こる。さらに、1999年5月に本会場近くのお台場で開催した伝説のライブ『LUNA SEA 10TH ANNIVERSARY GIG[NEVER SOLD OUT]CAPACITY∞』にも触れ、「(あのライブに)来た人!」と観客たちに問いかけると、多くの手が挙がり、「すごい出席率!」と20年以上も応援し続けているファンがいることに嬉しそうな表情を見せた。そして、「ツアーのラストになるはずだったこの会場から、またツアーを始めたいと思います」と力強く宣言した。

 〈君よ恐れずに この空打ち抜け 今 闇さえ切り裂け〉という歌詞が明るい未来を想起させる「Pulse」、RYUICHIの獣のようなシャウト、SUGIZOの暴れ回る神業ギターソロ、Jの繊細なピアノパフォーマンスなど見どころだらけの「PHILIA」へとライブは展開していく。「宇宙の詩 ~Higher and Higher~」では、白く光るレーザービームがあちこちを飛び交い、ステージの上手と下手、そしてステージ中央の上に設置されたミラーボールが回りだし、ガーデンシアターの中に小宇宙を創り上げる。そんな幻想的な光景は、疾走感と美しさを兼ね備えたこの曲を視覚的にも存分に楽しませてくれた。壮大な空気感はそのままに、「静寂」へ。RYUICHIの力強い歌声と熱量溢れる演奏で観客を圧倒し、ディープな世界へと誘う。

 「Hold You Down」では再び空気が一変し、弾むリズムに合わせて観客たちは楽しそうに手拍子を打つ。ステージギリギリまで前に出てきたINORANやSUGIZO、Jは、ファンと笑顔で視線を合わせていく。そしてラストの「THE BEYOND」で5人が奏でる極上のハーモニーで観客を酔わせ、アルバム『CROSS』で構成されたセットリストで最新のLUNA SEAを魅せた一部は終了となった。

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